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Logo Mark音にのせる胸のうち息子が小学一年生の頃…

ツルタハル

小中高を通して吹奏楽部に所属し音楽の楽しさを知る。20代から本格的に音楽活動開始。主に美術館、カフェ、レストラン、ホテル等で演奏し好評を得る。
結婚、出産を経て子育てに専念。11年...

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小学校の前を通ると、いつも思い出す。
息子がピカピカの小学一年生の時の事。
いつも通りの朝。
起きて朝食を食べて、それから…。
玄関で靴を履くときに、
「おなかがいたい。」と。
ん、これは仮病だな…と母親の勘。
お腹が痛いという事を信じて、
お休みさせるか。
それとも、奮い立たせて行かせるか。
悩むとこだ。
毎朝、元気に普通に登校していたから、
ワタシ、こんなのは初めて経験だ。
ワタシは、
「ママも一緒に歩いて行くよ♫」と、
一緒に登校した。

ワタシの頭の中…。
昨日なにか嫌な事があったのかな?
どうして行きたくないんだろう。
原因はなんだろう…と考えながら歩いた。表向きは、ニコニコしながら。
小学校の前の歩道橋を登る前で、
「いってらっしゃい♪」とバイバイした。
階段を登って降りるところも見ていた。
そして、校庭に入ったとこで、
泣きだした…。
あーー、ワタシ、そんなとこまで見てないで、さっさと帰れば見なくて良かったのに、見てしまったのだ。
そうしたら、行ってしまう…(笑)
息子のところに行き、
「教室まで一緒に行こう♫」と。
小学一年生は、まだまだママと一緒でも平気な時。
授業参観の時だって、ママを見つけると、みんな嬉しそうだ。
今じゃ、考えられないけど(笑)

あ、思い出した。中学の卒業式の時、
式が終わって、まだみんな校庭でガヤガヤしてる時、
「もう帰っていいよ」って言われたんだわ。
そうよねそうよね、もう高校生になるんだものね。
母親がいない方がいいわよね。
と、ワタシは一足先に帰宅したのだ(笑)
成長してるなぁって嬉しい気持ちにもなったっけ。
さて、ワタシを見つけると嬉しそうにしていた小学一年生の時の話に戻そう。

泣き出した息子と一緒に教室へ向かった。
息子はだんだん泣き止んで普通の顔になっていた。
その時のワタシの頭の中…。
「教室まで一緒に行くって、どうなんだろう…甘すぎる?過保護?」などなど。
教室に着くと、いつも息子になっていた。
ケロッとしている。
ワタシはほっと安心して帰った。
でも、また明日の朝、お腹痛いと言ったらどうしよう。
あーー、もしかして不登校が始まるのかなってどんどん深刻に考えてしまう。
その日の放課後、小学校に電話して担任の先生に相談した。
子供達にたくさんの愛を持っている先生だ。
今朝あった事を話した。
先生は、「まったく普通でしたよ」と。
で、
「今度、またそういう事があったら、
是非電話してください。
そうしたら、気をつけて様子を見れるから。」って。
なんていい先生なんだ!(泣)
「いつもでも連絡くださいね」と。
ワタシは、安心した。
もしも息子になにかあっても全部ワタシ一人が考えなくてもいいって。
話を聞いてくれる先生がいる。
もしもの時に、頼れる人がいるってとても心強い。

その日、帰宅した息子は、
「きょうはいっしょにきょうしつまできてくれてありがとう」とワタシに言った。
あーー、ワタシのやったことは、よかったんだ!
息子は、ワタシが心配して元気付けようとしていた事を分かっていた。
自分は大切に思われていると、ちゃんと伝わっていた。
息子が困っている時は、
いつでも一緒に寄り添うよ。とワタシは伝えたかった。
分かってもらえていて嬉しかった。

子育てって色んな意見がある。
このワタシの行動に、甘すぎるなどの意見もあるだろう。
でも、ワタシはこれでよかったと思っている。
子育ては色んな考え方があるから、
人に押し付けてはいけない。
一緒に寄り添って学校まで行った場合と、
奮い立たせて行かせた場合と、
どちらが良かったかなんて、
分からないと思う。
そう、それが子育ての難しいところ(笑)

そして、
「いっしょにきょうしつまできてくれてありがとう」
の後には続きがある。
「ママ、おひるねできなくなっちゃうのに、きてくれてありがとう」と(笑)
そんな朝からワタシだってお昼寝しないわよ(笑)
息子は、ワタシのやりたい事を犠牲にして自分に寄り添ってくれたと感じたのだろう。
どうして泣いたのか聞いたら、
「ママとバイバイするのがいやだった」って。
そうだったのかーーー!
色んな原因を考えちゃうけど、
そうだったのかーーー!!(笑)

朝お腹痛いというのは、その日一回だけで終わった。
不登校が始まるんだ…って思っていたから、翌日、元気に登校して行って、
本当に嬉しかった。
息子が普通に元気に学校へ行くと言う事は、どんなに幸せな事なんだって気づいた。

そんな息子は現在高校生。
デカいお弁当と、早弁用に、おにぎり2個を持っていったよ。

ワタシは結婚してから音楽活動をやっていなかったが、
先生にオカリナの話をしたら、是非、子供達の前で演奏してほしいと言ってくれて、
一年生の前でオカリナの演奏したっけ。
それが、ワタシの音楽活動をまた始めるきっかけになった。

目をキラキラさせて演奏を聴いてくれた子供たち、本当に可愛かった。
息子もすごく嬉しそうだった。
今では、ワタシより大きくなってしまったけどね(笑)

写真は、宇都宮市昭和町にある古民家のカフェ、
カフェマリオさんにて。

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ツルタハル

小中高を通して吹奏楽部に所属し音楽の楽しさを知る。20代から本格的に音楽活動開始。主に美術館、カフェ、レストラン、ホテル等で演奏し好評を得る。
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