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Logo Mark音にのせる胸のうち乗れなかったバスに挑戦した話

ツルタハル

小中高を通して吹奏楽部に所属し音楽の楽しさを知る。20代から本格的に音楽活動開始。主に美術館、カフェ、レストラン、ホテル等で演奏し好評を得る。
結婚、出産を経て子育てに専念。11年...

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ついに乗れた!
15年ぶりに乗れた!

そう…当時5歳だった息子と母と一緒に、実家へ行く時、
最寄駅までバスで行き、
そこから電車で向かうのだけど、
バスに乗車中、体調が悪くなってしまって、途中で降りた事があったのだ。
前日から楽しみにしていた息子には悪いが、ママはもう乗りたくない…ごめんよ…息子…。
欲しかったおもちゃ買ってあげたんだっけなぁ。

その時から、もう苦手。電車も、新幹線も、乗り物全般乗りたくない。
その時からずーーっと乗っていない。

それが、なぜ15年ぶりに乗ったか。
それは、眼科へ行くため!
左目が霞んだり、飛蚊症みたいになった。
行こうと思っている病院のHPを見てみたら、こんな事が書いてあった。

「初診の方へ
初診の場合は瞳を大きく開いて検査することが多く、
その場合、約5時間ほど眼がかすむことがありますので、
初診の方は、なるべく自分で車を運転してこないでください。」

おおお…バスで行くか…。
バスで…ん…バスで行こう!!!
もしかして、もう大丈夫かもしれないし、ダメだって思い込んでいるだけかもしれない。
これを機に、バスに挑戦してみよう。
これは、神様が与えてくれたチャンスだ、きっと(壮大

当日の朝、バス停に向かうと、
バスが来ているー!ワタシは駆け足。後ろのドアが開いて、私はあっけなく乗った。そうあっけなく15年ぶりに。
もしバス停でバスを待つ時間があったら、
「大丈夫かなぁ」なんて考えていたかもしれないけど、
走って乗り込んだのだ。
それはそれは、あっけなく。

15年ぶりのバス…。
フロントガラスの上にある料金表が、なんだか未来的だ。凄い。
あのアナログなオレンジ色の数字じゃないぞ。

で、ワタシの様子はとううと、いたって普通。
イヤホンで音楽は聴いていたけど、
聞かなくてもまったく大丈夫な感じ。
あれれ、思ってたのと違うな…。
不安要素はない。

車だったら、ぶーーんと行くところを、バスはバス停にちょこちょこ停まる(当たり前
あー、これは「バス時間」だ。
バスの中で流れている時間。
車だったらもっと早く着いたのに。などと考えるのはナンセンスで、
バスにはバスの時間があるのだ。

乗り物全般を苦手になってしまったワタシは、乗り物=不安なもの、避けたいものだった訳だが、そこを変えたい。
乗り物に乗ることをワクワクとするものに記憶を変換したい。

よし、バスの良いところ考えよう。
・自分で運転しなくていい
・だから外の景色を眺める事が出来る
・普段の生活とは違い時間がゆっくり流れてる
・「早く着きたい」とせかせかした気持ちを持たず、バス時間を楽しむ

今、みんな急いでいる。
時間は無駄に使いたくなくて、
“効率的”なのを求めている。
そこで、ちょっとその中から飛び出して、それをやめてみる。
そしたら、いつもの生活に変化が出て、なにか大切なものを思い出せたり、見つけられたりするかもしれない。

これから、電車、新幹線にも挑戦したいんだ。
バスに乗れただけで世界が1個増えた。
今までなかった世界。
停留所一覧の地図を眺めたりしてるワタシ。

怖いものがひとつなくなった。
〈乗り物=苦手なもの〉じゃなくて、
〈乗り物=ワクワクするもの〉にしたい。
そしたら楽しみだもの。
時間の効率を考えず、
電車でガタンゴトンと、旅をする。
ワタシ、Suicaを作ったんだ。
カードに名前を付けれるんだね。
何枚か所有している人が区別出来る様にするためなのかなぁ。

ワタシは「旅するハル」と名前を付けたよ。
バスや電車に乗る事を、ワタシは“旅”と呼ぶことにする。
例えバス停留所5個分でも、
それは「旅」だ。
旅…うん、この響きいい。
どこまでも行ける感じがする。
縛られる事なく、自由な感じ。

ワタシのSuica「旅するハル」。
大活躍するかな?笑

苦手な事に挑戦するって、勇気がいる。
でも、もしその挑戦が上手くいったなら、すっごく嬉しいよ。
知らなかった世界が広がるよ。
これからも、なにも大きい挑戦じゃなくて、小さい事でも挑んでいこう。
もし、その挑戦がうまくいかなかったら、それはそれ。その時なにかを感じる事が出来るだろう。

焦らずに。
ゆっくりワタシのペースでいいんだ。
挑戦する時は、付き合うよと言ってくれるお友達もいる。
しみじみ思う…。
この世界は優しさで溢れているよ。

とにかく、15年ぶりにバスに乗れて、最高に嬉しかった。
目的地に着いた時、
「ワタシ!バスで来ましたぁあああ!」と叫びたくなるほど(笑)

オカリナ曲「小さな冒険」

この曲は、
大きな冒険じゃなくても小さな冒険だって、勇気がいる事で、
その小さな勇気を応援する曲。

music&ocarina:ツルタハル
photo:Tomoko Kamioka

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ツルタハル

小中高を通して吹奏楽部に所属し音楽の楽しさを知る。20代から本格的に音楽活動開始。主に美術館、カフェ、レストラン、ホテル等で演奏し好評を得る。
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