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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくてYAMAGAMI FACTORYさんで感じた独自スタイルを発明するために大切なもの

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 シミズの中に強力なインパクトを残しているアーティストさんを紹介するシリーズ、今回はYAMAGAMI FACTORYさんです。
 YAMAGAMI FACTORYさんは、マッチ箱の中に、好きな景色や行ってみたい場所、思い出の風景などを作るマッチ箱作家。そのオリジナリティーあふれる作品や活動については以下ご覧ください。
 YAMAGAMI FACTORYさんの紹介情報はこちらのページをご覧ください。
 アーティスト紹介・YAMAGAMI FACTORY

 いやぁ正直言うと、初めてX(旧Twitter)かなにかで見たときには全く理解できなかったんですよ。「なんだこれ?」…という感じでした。しかし見たことがないものですから興味や好奇心が湧いてきて、Xのアカウントに貼り付けてあったYouTubeの動画を見てびっくりです。なんと、自分たちが小さい頃から知っているあのマッチ箱の中にミニチュア的世界を作っている。しかもそれがかなり立体的で、その上光ったり、その色が変わったりする。思わず「お〜」っと声が出ました。
 しかもそこに作られている風景がまたちょっと心にグッとくるんですね。どことなく懐かしいとか、映画の一場面のようだったりとか、作品によって感じる感覚は少しずつ違うんですが、それぞれになにかしら感じさせるものがある。ものによってはその小さな世界の中に物語さえ想像してしまうような世界があったんです。
 思わず想像してしまいました。このマッチ箱な作品をた〜くさん並べて飾ったら壮観だろうなと。それぞれがそれぞれの世界を、まるでその箱が小さなのぞき穴であるかのように、その穴の向こうに広い世界が広がっているように見せてくれる。その穴が自分の自宅の壁にたくさんある…みたいな。すごいだろうなぁと。
 そしてさらに、作品に描かれている情景を想像しながら順番に並べたりしたら、作品が連作のようになって紙芝居のように勝手に自分の物語を作ったりもできちゃうかもなぁとかも思いました。

 本当にすごいなと思います。そして新しいとも思いました。いやいやそんなもんじゃない。いわばこれ、発明だと思うんですよ。
 アートや表現って、多くのジャンルでそうだと思うんですが、「〇〇と言えばこんな感じ」的な手法的典型があって、その延長上でより高い技術や、違う表現発想への試みなんていうことをやっていくことが多いと思うんですが、(私が知らないだけかもしれませんが)YAMAGAMI FACTORYさんのこの手法はおそらく過去にない手法なんじゃないかと思うんですね。いや、こういう細かい世界を作っている方は他にもいるかもしれないですが、そこに独自のアイディアを加えていって、磨きまくって、ここまでの完成度にまで高めているのがYAMAGAMI FACTORYさんの作品世界の発明なんだろうと思うんです。
 新しい手法を作るってなかなかできないですよ〜。よく「守破離(しゅはり)」なんて言いますけど…え? それなんだって? めっちゃくちゃ簡単に言えば、最初は先人たちの基礎を守って学び、それができたらそれをどうにかして破れないか試行錯誤し、そして最後はそれから離れていく…なんて感じの意味かなと。まぁ自分も恥ずかしながら40歳も過ぎた頃に、その当時お世話になっていた会社の会長さんから教えていただいたんですけどねw つまりこの「破」がなかなかできないし、当然「離」になんてなかなか到達できないというのが普通に多いんじゃないかと思うんですよねぇ。それをYAMAGAMI FACTORYさんはやって見せてくれているということと思います。
 そしてそれが、YAMAGAMI FACTORYさんの作品に触発された次の作り手の方にとってまた、学ぶべき先人の「守」になって、その人たちの中からまた新たな「破」が生まれていく。その結果またさらに新しい表現が生まれていく。こういうのいいですよねぇ。

 ではどうやって磨けば新たな「破」を生み出していくことができるんでしょう。いや、YAMAGAMI FACTORYさんは、なにを磨いたから独自の発明にたどり着くことができたんでしょう。これはYAMAGAMI FACTORYさんにお聞きしてみたいですね…というか今の時点ではまだ取材できてません(しとけよですねw)ので想像してみると、それって技法というよりイメージが先だったんじゃないかなぁなんて思うんですよね。おそらく最初はどなたかの作品を見て触発されて、自分もマッチ箱の小さな空間の中になにかを作ってみようなんていうことをやっているうちに、こういう雰囲気が欲しいな、こうしたらもっと良くなるかもな、なんていうイメージが湧いてきて、次の段階で、それはどうしたら実現できるだろうなんていろいろ試したりして、また試している間にも別のイメージが湧いてきてさらにまたそれを試したりして。
 いや、これはもう本当に想像なので、実際は違うかもしれませんが、ことモノ作りという世界では、やみくもになにかをやってみるというよりは、こんな流れを辿っていくものなんじゃないかななんて思うんです。だから大切なのはイメージすること。もっとこんな風にしたいとか、もっとこういうことを表現したいとか、とにかく自分の作品と向き合いながら、頭の中でさらに磨かれた未来予想を想像してみるとか…そういったことがもっとも重要になるかもなぁと思います。
 ですのでみなさんも是非、いろいろなことをイメージしてみてください。ただなんとなくそれらしく作っているより、はるかに高い満足レベルに到達できるのではと思いますよ。YAMAGAMI FACTORYさんの作品は、そんなことを思い出させてくれる凄さがあると思います。

 え? 他の手法もあるだろって? いやありますよ…多分w
 例えばライトハンド奏法で有名なエディー・ヴァン・ヘイレンなんて、アラン・ホールズワースの曲がどうしても弾けなくて(アラン・ホールズワースっていう人は手がデカくて、人差し指を1フレットに置いたまま小指で8〜9フレットまで押さえられたなんて話も聞いたことがありますから)、じゃあ右手で押さえちゃえとやってみたら面白いことができちゃったなんて言ってるのを読んだことがありますから、こうした技法的なものは、まったく違うきっかけから生まれるいい例かなと思います。
 そう言えば陶芸家の方のお話を聞いた時などは、いろいろやってうまくいかない時は、もうどうでもいいからセオリーを無視して適当に土をカタチにしてみると、滅多にないけど時々思いがけず面白いものになったりすることがある…なんて話も聞いたことがあるなぁ。まぁこれも技法的な「破」と言えるかもしれませんね。もっともそれをそのまま焼くと、大抵は割れちゃって失敗するんだそうですが、そこから、じゃあどうしたら焼きにも耐えられるモノとして確立できるかなんていう、別の試行錯誤が始まるなんてこともおっしゃってましたっけ。お聞かせいただいて、面白いなぁと思いますよね。けっこうな年齢の、落ち着いた感じのおじさんが、いろいろ悩んだ末にやぶれかぶれになって「えいやっ!」とかなっている絵を想像するのも面白かったんですけど。

 ということでみなさん…アーティストや表現者じゃなくて、一般のお仕事を頑張っているみなさんもそうだと思うんですけど…きっとまだまだなにかしらブレイクスルーできる方法はあるのだろうと思います。そして要は、そういったことをいろいろ考えてみたりやってみたりすることかなとも思います。ですので是非ね、新たな…小さくてもいいので…なにか自分の発明を生み出すべく、いろいろやっていきましょうね…え? もちろん私もです。だって私自身まだまだなんにもこの世に残せてないと思いますから。

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