連載記事2025/11/03
なにか創るとうれしくて怪談? 夜中誰かに起こされるアパート
先日ハロウィンも終わりましたし、それにちなんでというか今回はこんなお話を。
夜、ふと目が覚めた。それも突然すっきりと覚醒した感じでスパッと目が覚めた。防犯のため雨戸まで閉め切っている部屋の中は真っ暗。枕元にある時計の上部にあるボタンを押すと点灯する小さな灯りに目をやると、表示されているデジタルの数字はまだ深夜2:34を表示していた。今日帰ってきたのは深夜0:00を回っていて、ベッドに入ったのは1:30近くだったので、まだ寝てからさほど時間が経っていない。傍には家内の寝息が聞こえる。
とりあえずそのまま目を閉じてまた寝ようとするが、あまりにスッキリと覚醒したこともあってかすぐには眠りに落ちなかった。しかし明日も仕事だ。なんとかして寝なければと目だけは閉じている。
すると足元になにやら気配を感じる。その気配はやや大きなもののように感じた。最初に思い浮かんだねずみのような小動物ではないと思える。人のような大きさを想像させる気配と思えた。もちろんこの部屋に誰かがいるはずもない。
うっすらと目を開ける。もちろんなにも見えない。しかしその瞬間その気配はベッドの足元に隠れたように感じた。反射的に身体を捻り、ベッドの下に常備していた木刀に手を伸ばす。
実は以前住んでいたアパートで、自分の就寝中に空き巣狙いと思われる侵入者に襲われたことがあり、以来ベッドの脇には必ず木刀を常備するようになっていた…ちなみにその時の侵入者は私が寝ている部屋のドアを開け、その音に寝覚めた私と目が合った瞬間ものすごい勢いで逃げた。咄嗟にその後を追ったが、Tシャツにトランクス姿で裸足の私は簡単に振り切られ、そのまま逃げられてしまった。もちろん警察に通報し、その後来た警察は部屋の中の指紋を取ったりくだらない悪口を振りまいて行ったが、結局その後なにも進展がないままになった。
木刀をつかみながらその気配の方向に目を凝らし、自分の気配もできる限り消そうと努める。しかしその方向からはもうなんの気配もしない。
するとふいに、ベッド脇にある小さなテーブルの向こう側にある衣類を大量にかけてある回転ハンガーの方向から微かな気配がした。反射的に飛び起きて部屋の照明を点け、そのハンガーにかかった衣類をかき分けその最深部までを確認する。しかしなにもいない。そればかりか、それだけ激しい動きをしたにも関わらず、その後まったく気配はしなかった。例えば小動物的ななにかであれば、そういった激しめの攻撃的な行動をすれば恐れをなして逃亡を試み、まさに尻尾を出すのではないかと考えたが、その考えは完全に失敗に終わった。
念のため最初に気配を感じたベッドの足元も確認する。しかしなにもいない。家内も変わらず寝息を立てている。自分がいきなり照明を点けて動いたことで起こしてしまったかという考えも外れたようだった。
感じるのは自分の肋骨を震わせるほど強く感じる自分の鼓動。その後照明を消し、しかし念のため木刀を握りしめたままベッドの脇のテーブルの前に座り周囲に気を配る。しかし以後なにも起こらず、次に気がついたのはベッドにもたれかかったまま冷え切った状態での目覚め。時計を見ればまだ4:30過ぎ。もぞもぞと、ずっと変わらず寝息を立てている家内の横に潜り込んだ。
翌日、同じく深夜に目が覚めた。しかし昨日とは違う感触。なんと、足先になにかが触れているように感じて目を覚ました。真っ暗な部屋。仰向けの状態。そのままの体制で目だけをそぉっと、しかし精一杯自分の足先の方へ向ける。しかし当然なにも見えない。だから意を決してとにかく素早く起き上がり部屋の照明を点けた。もちろんなにもいない。
そのままベッドから這い出て足側のベッド下も覗き込む。もちろんなにもいない。
この日はさすがに少し激しく起き上がったので家内も目を覚ました。部屋の照明に眩しそうな目を向けつつ言う。
「どうしたの?」
それに対し「なんでもない」と応えつつも、目はベッドの足元を中心に検索することをやめられず、それは側から見ればやや異様な緊張感に見えたかもしれない。だから家内はもう一度聞く。
「どうしたの?」
それに対しても同じように「なんでもない」と応え、これ以上心配させてもなと思い照明を消してベッドに入り、時計を確認してから仰向けになった。
時刻は2:37。昨夜とほぼ同じ時刻だ。そんなことが気になりながらその後もしばらくの間暗闇の中で目を開き、辺りに気を配った。ほどなく家内の寝息。それが気になって周囲の様子が分かりにくくなることに苛立ちながらも自分もいつしか眠りに落ちていた。
さらに翌日、今度は太もも付近になにかが乗っているような気配に目を覚ました。その重さや圧力の範囲はそれが間違いなく人のような大きさと重さのものであることを示している。布団が間にあるとは言え、感じる弾力もそれのようだと感じた。
さすがに恐怖が勝つ。だから目を開けることにも迷いがあった。しかし恐る恐る薄目で見てみる。しかしそこには誰もいない。しかしそれでも尚太ももには重さを感じていた。
そぉっと首を起こして太もも付近を見ようとする。布団が邪魔をしてその場所がうまく見えないだろうとも思ったが、そもそもそれ以前にそこは真っ暗な部屋の中だ。もとよりなにも見えるはずがなかった。
するとふと突然太ももの重さが抜ける。その感触に戸惑いを感じて反応はだいぶ遅れたが、その後そぉっとベッドから横へと転がるように床に降りた。
部屋の照明をつける。もちろんなにもいない。
ふと、一昨日気配を感じた衣類をかけてある回転ハンガーの脇にある物入れが気になった。
幅は半間ほど。高さは1m程度の間口に、和風の襖風ながら指をかける取っ手がついた外開きの扉がついており、中はちょうど半分のところで上下2段になっているものの、上段はその上にある階段のせいで奥に向かって斜めに下り、その間口からの見た目の割には大して物が入らないような構造になっていた。
そこにはこの部屋に越してきてから一度も開けていない段ボールがいくつかと、下の段には来客用の予備の布団が入っている。
その扉をそおっと開く。部屋の照明は点けてあるがしかし奥は暗くて見えない。だからその部屋の隣にある台所につながるガラス引き戸をこれもそおっと開け、皿類を収納していた家具の中段に置いてあった懐中電灯を手にした。
その間、家内を起こしてはならないとかなり抜き足差し足である。電灯を持ってさっきの収納の前へ、電灯をつけて段ボールや布団の隙間から腕を差し込み奥の方を照らしてみた。しかしなにも異常はない。小さくため息をつきつつ、止まらない激しい自分の鼓動に困惑する。
正直言えば怖くて照明を消す気にならない。しかしまた気が付けば眠りに落ちていたらしい。ベッドの脇、テーブルとの隙間に横になった状態で目が覚めた。また自分が冷え切っている。照明は煌々とついている。時刻は4:30過ぎ。ほどなく陽が昇るとは思えたがやはり照明を消す気になれずそのままベッドにもぐりこんだ。
さすがに家内に問い詰められた。原因は朝、家内が起きた時に、寝る前に消して寝たはずの照明が点いていたこと。その前日の不審な行動も合わせ、なにか異常を感じたものらしい。
しかしそうたやすく信じてもらえるとも思えない。だからどう説明したものかだいぶ迷った。しかし説明しないという選択肢は取れない。だから表現は抑えめながらも一応事実を話した。
「じゃあ引っ越す?」
その返答は意外なほどあっさりしたものだった。まぁ自分はなにも感じていないからきっと怖さも感じていなかったのかもしれない。そもそも言っている内容をハナから信じていなかったかもしれない。しかしそういうことを言い出したら引かないとも思われていたかもしれなくて、だからその解決方法としてあっさりそういう選択を口にしたのかもしれなかった。
そうなると早い。すぐにその週の内に既知の不動産会社に連絡し、次の休日には訪問し、早々に何軒かの見学も実施した。しかしいいと思える物件はなく、そこから別の不動産会社が管理する物件を紹介していただき、その別の不動産会社ともコンタクトを取って翌週には別の物件を見学したりもしている。その後比較的早い段階で次の物件を決め、早々に引越しした。
その間おそらく1ヶ月程度だっただろうか…しかしその間も毎晩ではないものの同様の現象は起こっていた。ある時などは休日の昼間、2階のPCに向かって(そのアパートはメゾネット型だった)ヘッドフォンをし、音楽アプリ(確かこの時はCubaseだったっけ)をいじって曲を作っていた時、ふと肩を叩かれたように感じて慌ててヘッドフォンを外して振り向いた。しかしもちろんそこには誰もいない。しかしそうなるともう曲作りどころではない。ヘッドフォンで耳を塞ぎ周囲の気配を感じ取れない状態でいることなどできなくなってしまう。だからすぐにその場を離れた。だってシンプルに怖かったんだもの。
さて引越し以降はどうだったかと言えば、新しい部屋で同じような現象はまったく起こっていない。だからこの現象が、例えば自分の心理的ななにかであった可能性を考えれば、それよりはその場所に理由があったのではないかとは考えている…まぁ、居住環境が変わって気分が変わって心理的にも変化があったという可能性もないとは言えないけれど。
そうそう、これが霊現象だったのかと言われれば、まぁそれについては正直分からないと思うけれど…まぁ今の自分の感覚で言えば、実はそんなものではなかったんじゃないのかなとも思ったりはしている(いや、当時はマジでそう思って本当に怖かったんだけどさw)。
なぜ霊現象だと思わないかと言えば、
1. その後に住んだ場所が実はもっと霊現象が起こりそうな場所だったけどそんなことなかったから
実は次に住んだ場所は、東京の中でも特に多くの方が一度に亡くなった歴史を持つ場所だったりしたので(しかもそういう機会に二度も…それも2回ともかなり悲しい亡くなり方をしている場所だったりする)、もし霊現象等というものがあるのであればその場所での方が圧倒的に発生確率が高いわけで、しかしそこではそんな雰囲気は一度も感じたことがないので、どうも道理に合わないなぁなんて思ったり。
2. 普通に考えたらそこら中に例がいるよなぁなんて思ったり
また、この世の中これまでとんでもなく多くの方が亡くなっていることを考えれば、それこそそこいら中霊だらけになるだろうなんてことも思ったりするなぁと。
3. その物件にいた人の思念が強かったとかなくね?…と思ったり
たまたまその物件にかつて住んでいた人が強い遺恨を抱えたまま亡くなって、まだその場にいるんだよ的な話だとすれば(よく「成仏」できずにそこにいる的な話ね)、その人はとんでもなく強力な特殊能力を持っていたことになるとも思えるとすれば…う〜ん…どうもそれも確率が低すぎるんじゃないかなぁなんて理屈をこねてみたり。
4. そもそも「成仏」なんていう現象が怪しいだろうとかも思ったり
だって大した修行も特殊能力も持ち合わせていないと思われるお坊さんがよ、もとの言語としての発音も正しいかどうか分からない意味不明な文章を読み上げただけでできる「成仏」ってなに?…とか。
なのでこの現象はおそらく、磁場や電磁波的な、なんらかの科学作用によるものなんじゃないの?…なんてことも思っているという次第。
まぁ霊現象なんてものがあったらあったでちょっと面白いかもなぁとは思えるようになったけどねw…これも歳をとったということですなぁ…だってもう別に殺されたっていいしねw
ということで、これまででほぼ唯一、めちゃくちゃはっきりと強く感じた不可思議な現象について…これもまた不思議なんだけれど、唐突に思い出したので書いてみた。
ちなみに画像はChatGPTに適当に依頼して作ってもらいましたとさ。
準備中