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Logo Mark歯を磨く様に演じる自分と他人

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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物事を行う時、素の自分を出せない、出したくない時がある。何故かというと、元々の性質に自信がなくて、なんだか頼りなく、相手に心が見透かされている様で、恥ずかしいのである。今ではその気持ちも多少は薄れてはきたが、劇団を辞めて数年はとても強かった。
劇団を辞めた後、少しだけ美容室で仕事をしたことがあるが、美容業界は初めてなので、年齢がいっているのに技術が伴わない。それを悟られない為に、一緒に仕事をしていた素敵な先輩を演じ、お客様のシャンプーをしていた。動きも、話し方も彼女のつもりで。するとシャンプーがスムーズに進む。
またあるときは、飲食店のマネージャー職で、クレーム対応が神業の彼を演じていた。その時は、不覚にも突然のクレーム電話を私がとってしまったからだ。まあ、私の担当店舗のものだから、しょうがない。その時代、ちょうど私の前のデスクには、クレーム対応が見事な男性が座っていて、彼は、いつでも、風に揺られている“のれん”のごとく、サラサラとクレームを処理してしまう。本当、神業だった。私もその時は心の中で「私は〇〇(彼の名前)。〇〇。」と唱えた後、彼を演じ、無事にクレームを処理いたしました。
なんで、自分に自信がないのだろうか??? 商業劇団時代、常に役を演じ、役の事を考えているので、その時の役の状態で生活することが多くなっていたせいだろうか?
生活といえば、毎日の様に5時半前に起き、6時前に劇団を出発して公演先に向かう。もう、起きた時から芝居関係の思考に突入し、学校に到着して舞台を建て、演じ、舞台撤収、帰宅。おそらく帰宅が16時頃。それから何もなければそれで終わるが、大抵は終わらない…。明日の別の芝居の用意や確認をしたり、バレエのレッスンに行ったり、事務処理したり。そんなこんなで、夜になる。夜は疲れて、脳は呼ばれて面倒くさそうに尻尾だけふる犬状態で、殆ど働かない。そして寝る。夜中に地震が起きても目が覚めたためしがなく、次の日交わされる「夜の地震凄かったね。」の話題にはいつもついていけない。
こんな生活を続けていると、もともとの自分の性格的思考で考えたり、行動したりする時間がおのずと少なくなってくる。なので、突然、素の自分でやろうと思ってもどうしてよいかわからず、戸惑う。なんせ、やってこなかったから、自信がないのだ。それで、『ガラスの仮面』の北島マヤではないのだが、仮面をお借りする。ただし、私の場合、手段としてお借りしているので、似ているかどうかは別にいいのです(笑)。
話が少しそれてしまうかもしれないが、役を演じていると、当然といえば当然だが、不思議な変化が起こる。例えば勇ましい男性の役を頂くと、それを演じている期間はやはり男顔になり、歩き方もがに股っぽくなる。
ダメ男に騙されて、いつもお金を渡してしまっても、「ジョニーはホントにね、私の事が好きなのよ。フフフ。」と言っていられる可愛らしい?女性を演じている期間は、なんとなくその風貌になる。舞台から降りても勿論そうである。
最近は三の線、色物担当になりがちなので、少々実用性に欠ける部分がある。道化とか、おかしな幽霊とか…。
劇団にいた時、9歳の女の子(主役)をやっていた先輩が突然入院してしまった。そこで、急遽その主役を私がやることとなった。それも明後日本番(こんなことも演劇業界は珍しいことではない)。そして、その時まで、やっていた私の役は子分を2匹連れているボス猿。高い所から飛び降り、ロンダートなどマット運動の技をやっていた。歩き方も、目の動かし方も猿である。この猿役はご覧になった学校の先生に「あの猿、表情からなにまで凄いですね。」とお褒め頂いたことがあった。その猿が進化して主役の人間に。2日後の当日は進化が及ばず、少々猿ぎみの小学校3年生の少女となってしまった。まあ、そんな子もいるよね(笑)

8月9日(日)14時〜 オンラインZOOM 公演★小河知夏劇場×鵜飼雅子二人会

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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