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Logo Mark歯を磨く様に演じるコロナ禍での劇場公演

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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『宇都宮、コロナ感染者残1名』遂に来たよ! カウントダウンで間も無く0。そうなると思っていた。そこで第2波が来る前に、朗読公演を我が小劇場で開催し、再び表現の小さな明かりを灯し再スタートしよう。まずは4月に開催するはずであった坂口安吾『桜の森の満開の下』朗読公演。桜の季節は過ぎたが、やっと出来る! そんな明るい思いを抱いてこの公演を再計画したのが6月の中旬。公演日は7月30日(木)。
ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間。その時を境に公演前日まで見事に感染者が増えていくという結果に終わった。公演前日にはなんと宇都宮感染者1日の最高人数。
何に疲れたかと言うと、作品作りではなく、このコロナ感染者の増加状況と向き合っているのが一番疲れた。今回、声を仕事にしている方と一緒に行った公演だが、彼女も同じことを言っていた。
感染者増加に従って
『非接触体温計いりますよね。インターネットで頼まなきゃ! でも日本製はなく、すべて中国製なんです。当たるも八卦当たらぬも八卦で、とにかく頼んでみました。』海外から届くからか、品薄なのか、なかなか届かない…。やっと届いた。ほっと一安心。
『朗読1時間やるとマスクは厳しいね。』
『インターネットで3方向が仕切れる透明な格安の卓上パーティションあったよ。一応(私の分)頼んどいたから。』
『これならマスク外して朗読できますね。』
『そういえばフェイスシールド私も必要かなって思ってたんです。』
『どうやらどっかのデパートでは、マスクしてフェイスシールドして受付してるそうだよ。持ってる?』
『私持ってないから、インターネットで探して作る。クリアファイルで作ってるの見たことあるから。』
こんな感じの会話が、内容の打ち合わせより沢山LINE等でかわされた。勿論、チラシには、当日体調が悪い方はご入場いただけない旨も記載してある。
公演日は市内の生涯学習センターの方も、今後、センターで行うイベントのコロナ感染症対策の参考にといらっしゃることにもなっていた。
前日も2人で合わせる朗読の稽古より、当日の準備に追われたという感じ。
うちの劇場は幸運にも窓が開けられるようになっている。通常は外の光が入らないよう、黒い板のようなものが打ち付けられているがそれも外し、劇場内が明るい。しかし、この梅雨時、窓を開けると雨が降り込むのが心配。どうやら明日は曇りらしい。椅子も公演満席時は60弱は並ぶのだが、今回は19。おっと! なんとすきすきソーシャルディスタンス! 早く来られる方には、受付後開演前までは外でお待ちいただくのを事前にお勧め連絡。もちろん完全予約制。脱3密!連絡先名簿も作成。もちろんアルコールスプレー。ゴミ分別、スリッパ使用なしで自分の靴はお席まで持っていく用意。取れるだけの予防策をこれ以外にもとった。
又、前日の練習では、どのタイミングでフェイスシールドをとり、何のタイミングでマスクを外して席に座ったりの練習も加わった。
当日は彼女と私とスタッフ最小限でマスクにフェイスシールド、ビニール手袋姿で受付。何と言う格好だろ…。素敵なお衣装にパンプスにこれ。
開演中、上手下手の防音扉も開けっ放し。外へ通じている扉も開けっ放し。まぁ朗読だから騒音問題にはならんだろう。昔、小学校の体育館で演劇公演をやっていたら、犬が入ってきてしまった。ちょっと会場が広かったものだからそのワンチャン、出口に迷ったのと何か人慣れをしていて、なかなか出ていってくれなかった。今回不覚にも犬や猫が遊びに来ても、誰も相手にできない。静かに聞いてるか、近くの扉から勝手に出て行ってもらうしかない(笑)。
最後には彼女が2週間、ご来場の皆様が遠方への外出など控えていただき、無事に健康を維持していただけるよう本当、上手くアナウンスを入れてくれた。流石、その道の首領(ドン)。
こちらはご覧になった方から頂いた感想です。
『とっても面白かったです。お二人の声のおかげで話の世界に入れました。なんて女だ、うげーっと思ったりドキドキしたり。満開の桜を想像したり。題名は素敵だけど怖い不思議なお話ですねえ。』
私たち演者2人にとっては“公演を行う現実ほどドキドキで、不確かな、怖い状況”でございました。
でも、これにもめげず、表現の明りを灯し続けていきたいと思います。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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