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Logo Mark歯を磨く様に演じる「好きなことを仕事にしよう!」って本当?!

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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『ご趣味は?』この質問は、自分も他人には聞くが、自分が聞かれたら即答できない問だ。私は未経験の物事を自らやるのが特に好きで、それを仕事である芝居や表現の仕事で出来てしまうからだ。どこから仕事でどこから趣味でどこから毎日の生活かがいまいち不明瞭だ。
朗読(仕事)の準備で声に出して物語を読むし、気晴らしで声に出して本をも読む。
『好きな事を仕事にしょう!』
これは良く言われる文句だが、あれは当たっている様で、あたっていない気もする。
私においては現在、芝居や朗読公演、その指導、発声指導、音響・照明・舞台監督等舞台の裏方の仕事をしている。台本を書いたりもする。その中で最近1番多いのが、朗読に関する仕事だ。
もともと自分は学生時代本は嫌いで、漫画さえ読まなかった。字が羅列されているものは全く駄目だった。プロで芝居をするようになってさえ、演出家に「(価値が下がるので)初見で人前で朗読をするな!」と言われていた程だ。そんな私が、朗読舞台を仕事にする様になり、朗読が好きになり、本を好きになり、今では漫画より字が並んでる本が好きだという大変化をとげた。漫画は自分が空想しているのに絵がちょっと邪魔なんですよね。
また、国語の苦手だった私は、もちろん文章を書くのも苦手だった。小学校のときヘレンケラーの感想文を書いて入賞した。しかしそれにはゴーストライターがいて、母が書いたものだった。
しかし、ある時芝居の台本を書かなければいけないこととなった。最初は二人芝居の相手方に書いてもらうつもりだったが、彼女が忙しそうで「台本、書いて!」とは言い出せず、不意にぽっと出た「台本は…、うん。じゃぁ、私書くから、書けたら連絡するね!」と言う安易な言葉が招いた結果だった。
それから毎日、台本を書くよう、書けても書けなくても朝1時間パソコンと向き合って、何とか1時間の台本が完成した。その芝居は宇都宮市内の小さなスペースで公演し、計画した3公演ともほぼ満席だった。
それ以降、小さな公演は誰かに頼むと脚本代がかかるので、自分で書き、自分で芝居公演をするスタイルをとっている。15分ぐらいのものなら、マクドナルドで2、3時間で書く。たまには、駄作過ぎて読み返して捨ててしまうこともあるが…。
なぜだか私の場合、苦手なもの、どちらかと言うと嫌いなものが現在の仕事になっている。
表現だってそうだ。高校時代少しだけ同級生の映画研究会の映画に出た。その時のセリフ回しは、いやぁー、お世辞にも「いいんじゃない。」なんて言えたものじゃない。芝居の場合一筋縄でいかないところも面白く、現在も続けられている要素ではないかと思う。
そして、人生最大の苦手がフリートークだ。これは今まで避けて通ってきた。これまでやってきた芝居や朗読は台本、本に自分の発する言葉が書かれている。フリートークが克服できたら人生生きていて良かったと思うだろう。
そこで一昨年から、トークの多い披露宴の司会も始め、今年からはラジオのパーソナリティーをも務めさせていただいている。
こう考えてみると、芝居、表現、文章を書く、トークにしろみな、仕事にすると苦手が克服され上達し、好きになる。好きになるからもっとやりたくなる。
私の場合「好きなことを仕事にしよう!」ではなく、
『好きにしたいことを仕事にしよう!』だ。
これを知った私は、自分の身につけたい物事はどこかスクール等で習うのではなく、最近は仕事としていただく様にしている。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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