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Logo Mark歯を磨く様に演じる炊飯器と電子レンジはホント役に立つ!

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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調理の仕方の話だが、うちにはガス台は有るのだが、なるべく火を使って、調理をしたくない。むしろしない様にしている。ガス台を使うのは例えば焼餅、フレンチトースト、スクランブルエッグくらい。
何故かと言うと第1には料理が特に好きでもないから。だからといって料理が出来ないわけではない。商業劇団にいた時は食事当番が有り、その時は朝食、夕食(必須項目:おかず2品、汁物)劇団員分作っていたし、飲食店の商品開発もした事がある。でも、基本、料理をやりたいとなかなか思えないのだ。いつもというわけにはいかないが、食べ物はそれを美味しく気持ちよく作れる人にお任せして、それを食べに行ったらいい。お互い得意分野の事をしよう!と常々思っている。
第2に、ガス台調理は食べている時間より、調理と後片付けに時間がかかる。それに調理をすると、材料が残ってしまう。その残った材料が気になる。仕事をしていても冷蔵庫の茄子、そろそろ食べないとな〜と気になる。
第3には、外出する時ガスを止めたか凄く気になる。1度確認はしているものの『あれ、確認したか?』と不安になる。そして『もしかしたら…家に居ないうちに火事になっては大変だ!』と想像が入道雲の様にモクモク大きくなって困る。ある時なんか表現の講師に招かれ、会場に着いたが、どうしても心配になって家に1度戻り、又、会場へ行った事もある。
第4には火を使っているのでガス台から離れられず、仕事が出来ないからだ。仕事といっても、好きなことをやっているので遊び兼、趣味の様な仕事。そして面白そうだと、いろいろな事に手を出す。だから時間がかかる。仕事に関してなかなか断捨離が出来ない私。
最近お願いされたのが、文章講座、文章表現を教えるというもの。もともと文を書くのが大の苦手の私が、朗読の仕事をやり出してからなんとなく前より文章がでてくるようになった。又、書いた文章を読んでいると小説などを読み慣れてきたせいか、読みづらい文章と読み進めやすい文章が有り、読みやすく修正出来る様にもなってきた。
ここでまた、芝居表現が生きてくるのだ。もともと口下手だった私は物に対して言葉以外の感覚を大分貯め込んできた様だ。視覚、触覚、嗅覚、聴覚。
言葉がなかなか出ないからこそ言葉以外の身体の何かを使って表現する。
昔、演出家が私に言った『台詞で伝わらなければ、違ったものを使いましょう!』だ(笑)。
文章で物を伝える時、それらの感覚を利用して伝えると相手に理解され、印象に残りやすい。その中では視覚が最も強力だが、画像がない場合、それ以外の感覚を利用し、相手に追体験させるのは効果的な方法。今回教えさせて頂いている方は、その文章力を使ってご自分で作られた商品の価値を届けたい。そんな思いでやられている。
こんなことを思いながら、始まったばかりの“文章講座”のlessonの準備をする。そして、あーでもない、こーでもないと、まさに今、ビストロでランチを済ませ、この文章を書いている。最後に声に出して読んでみないと文章がフィニッシュとはいかないが、とりあえず大まかは書けた。やっぱり食事は得意な人が作ってくれるのがいい。
最後に『炊飯器と電子レンジはホント役に立つ!』と命題したが、本当に家ではお母さん的存在だ。それも文句を言わないお母さん。
カレーは材料を全部炊飯器に入れたらOK。煮物もそう。豚の角煮なんかは、本当にプロ級で到底私は勝てない。どうやら私だけでなく、お料理が上手くない人よりずっと炊飯器の方が煮物系は得意だと昔料理人だった人が言っていた。味噌汁も炊飯器で作ったことがあるが、これは電子レンジだね。
レンジもそこそこの物は作れる。レンジで私がよく作るのはリゾットやおじや。
そして、炊飯器や電子レンジが調理している間、私は私の仕事をする。
お互い得意分野の仕事をすべし!

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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