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Logo Mark歯を磨く様に演じる東京ドキュメンタリー映画祭ノミネートその後

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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昨年の12月東京ドキュメンタリー映画祭に作品『コロナとアーティスト』がノミネートされ、東京新宿のケイズシネマで上映された。観客賞受賞は逃したものの割といい線までいっていたとのこと。
私もその映画出演のメインの1人で、幸運にもその恩恵を受けた。これがなかったら映画館の大きなスクリーンに大々的に映る事はなかったかもしれない。
このドキュメンタリー作品を作ったのが鈴木智監督で有名な作品を数多く手がけており通常ならほぼ関わることがない人物だったが、これを機にお近づきになれた。
やはりノミネートされたと言うことで宇都宮でノミネート記念上映が行われることになったのだが、去年の暮れに『コロナとアーティスト』の作品の元になったイベント“アートヴィルスat be off”の立役者である妻木律子さんのダンス公演でこのドキュメンタリーの上映をした。ほんとサプライズで、突然決まった。
私もこの時観せてもらったのだが、ずっと前に完成した映像とはだいぶ違っていた。伝えたいメッセージや状況が変わっていたと言うわけではなくて、以前撮られていなかった映像、アーティストの人となりなどが特に沢山付け加わっていた。監督がギタリストの小川倫生くんと川沿いの道を歩きながらいろいろ話をしていたりとか…。
さて、今回はどうするのかと考えていたら、同じ物は観せられないと思われたのか、鈴木監督やっぱり動き出した。
イベント開催後から1年が経ちコロナが当たり前となった時代のアーティストの動きを撮影すべく、妻木律子さんにも私にも改めて撮影依頼が入ってきた。
私は急いで日程を空け、当日はうちの小劇場で最近私がやっていたシニア劇団の振付の動きをしたら、ささっとカメラで撮り出された。
また、最近の様子を聞かれて、まだまだコロナ禍と言うことで思う様に動けていない事、でも何とかこれからも進んでいきたいと言う事を話した。
“コロナのせいにしているんだけど、本当はコロナじゃなくて自分自身の理由で動けていないのかもしれない…。”これを書いていて少し思う。
さて、鈴木監督もやっぱりアーティストだなと感心する。観るたびどんどん作品が進化していく。作品にゴールは無いのだろう。
コロナを機に東京のオフィスをたたみ、郷里宇都宮に生活を移した監督。今後作品作りに使えそうな映像やインタビューをどんどんカメラに収めていた。
『どうして私が演劇に足を突っ込んだか?』
『どうして東京じゃなく栃木なのか。』
『宇都宮に拠点を持ち銀座に公演しに行ったこと。』
この映像を撮ってくれた鈴木監督も先輩に今回できた『コロナとアーティスト』を見せた時にこう言われたそうだ。
『東京じゃなく地方都市でこういった映像を撮ったらいいんじゃないか』と。
私も、その方の言うようにここ栃木県の宇都宮でそういった作品が作られ、他の地方、都会東京にも運ばれていったら嬉しい。
私が活動始めた頃、都会から来た今はとても親しくなっている知人が『この地域はまだ文化が根付いていないので、その土壌作りから必要だね』と言っていた。また、中心部にあるカフェの昔支配人だった方は『この地域、文化になかなかお金を出さないんだよね』と話していた。
それが徐々に改善され、面白いものができる街になってくれると良いし、それに自分も今後とも創作で関われたらいいなと思っている。
※ちなみに画像は『コロナとアーティスト』の続編撮り。宇都宮市オリオン通りでの撮影の合間の一場面。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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