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Logo Mark歯を磨く様に演じる脚本、泣けるパターンを探せ!

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、ラジオ放送のゲストに脚本家であり映画監督でもある鈴木智さんをお迎えして放送をしておりましたところ、番組のメインパーソナリティがこの質問をしました。
『脚本を書くときのポイントは』と。
それに対し鈴木監督、
『自分の泣けるパターンを探せ』とのこと。
いろいろ脚本を書くが、人を泣かせるには、自分が泣けないと駄目で、それにはパターンがあるのだと。沢山映画を観て、分析をして自分のパターンに沿って書いていくと良いと話してくださいました。そして観る時も分析の目を添えて観ると良いと。
泣けるか…。どうしても一歩引いて観てしまう私はなかなか泣けないのだが、感動ポイントはある。これは個人の好き嫌いの好みとして括られてしまうところかもしれない。
今年から映画のラジオ番組の担当となり、映画を観る機会が増えた。そして最近気づいたのだが、その中で選んで観ているものがドキュメンタリーに偏っている。
勿論、それ以外の創作ドラマも面白いには面白いが、映画鑑賞後の『観たぞ〜!』という感覚の重みがドラマでは、いまいちなのだ。ドラマ好きを否定する気は毛頭無い。これも好みなわけだから。
最近観た映画の1つにコー・チェンニエン監督の『無聲(むせい)The Silent Forest』という台湾のろう学校で実際に起こった性的暴行・セクシャルハラスメント事件を題材に描いた強烈な作品がある。なんと表現したら良いんだろう、観ていて心臓をじんわり握られている様な感じで、衝撃的な場面も多々あった。台湾でもやはり深刻な社会問題として注目され、多くの映画祭にノミネートされていた作品。
そこに登場する学生達は、ろう学校という囲われた社会の中で過ごしており、被害者になろうとも、次の日には何事も無かったかの様に加害者と遊んでいる。その囲いの外にはなかなか出て行けないのか、出ていかない。
『このこと(被害)を我慢しさえすれば学生生活を過ごせる。外の世界では(障害があるので)変な目でみられるから。』
なんとなく生活出来てしまっている自分には、強烈に心動かされる作品であった。
また、コー・チェンニエン監督、長編映画としてはこれがお初だそうで、こんな作品を作った彼女のパワーにも感動する。
どうやら人間の生き方や心情を事細かに表現した作品が私の好きなパターンの様だ。
また、以前からとても気になっている作品がシェイクスピアの『マクベス』で、その中に出てくるマクベス夫人が私にとって、とても魅力的で心惹かれる人物。このマクベス夫人の人生も泣ける話では全くないのだが、私の心をおおいに揺さぶる。
まだ女性が権力を持たない時代、夫を上手く操り王を殺害させて自分の欲しかった王位(=権力)に夫を就かせる。惹かれるわ。物事に対しどちらかというと、サッパリ味の私は彼女の執着を羨ましくさえ思う。
マクベス夫人の一人芝居をやってみたいと冒頭登場した鈴木智監督の前で話したら、
『演出してあげるよ。…(途中略)…女性はそういう救いのない話に惹かれるらしいねぇ。男性は往々にして救いが無いとね。』だそうで。
『無聲 The Silent Forest』にしても『マクベス夫人』にしてもある意味激しい物語。泣けない私の感動ポイントは“ドロドロした刺激”の様です。
『監督、すいません。まだ、台本がないのですよ。』

劇団スターライト第2回公演「見えざる敵」2022年4月24日(日)

令和元年11月11日にスタートした宇都宮のシニア劇団の公演です。
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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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