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Logo Mark歯を磨く様に演じるモチベーションを考える

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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シニア劇団をスタートして間もなく丸3年となる。朗読講座もスタートしてからもうだいぶ長くなってきた。その中で自分とメンバーさんとの温度差というものがあり、どの温度で対応すれば良いか分からなくなる時がよくある。
ある方は、
『職業でやっている役者の生活を一般の方が持ち込んだら、家庭が崩壊すると言っていた。』
ごもっとも。
自分にとって芝居や朗読舞台を作る事は仕事でもあり、日常生活でもあるのだが、一般の方にとってはそうではない。幾つかの何か趣味的な選択肢の中の1つであり、健康術のひとつであるかもしれない。その中で芝居や朗読舞台というものを選んでやっているのだ。
わかってはいるのだが、なかなかね…。
社会人劇団にいた時、稽古の途中で明日仕事が大変だからと早く抜けたメンバーがいた。その時は、
『エッ!そんな事があるの?エッ!…』
口には出さなかったが、心の中で動揺していた。今はもう大分慣れたのだが。
稽古は役者皆揃って行い、芝居を作っている間、大物だと約1ヵ月弱、小作品だと2週間位芝居制作中心で自分の生活が組まれる中で育ったからだろう。
余談だがこうやって芝居を作っている間は大病でもない限り、医者へもなかなか行けない。
一度この時期に歯の銀の詰め物が取れて、仕方がないからセメダインでくっつけてこの期間をしのいで、芝居の初演を迎えたところで医者に行ったのを覚えている。『セメダインで(詰め物)はってあります。』の言葉を聞いた医師の何とも言われぬ顔になんと対応していいのかわからない私がいた。どうやらこれは私だけではなくて、私のいた劇団の先輩もそうだった。やっぱり彼女も歯の詰め物が取れて、彼女はセメダインじゃなくて“瞬間接着剤”でつけたと言っていた。瞬間接着剤でつけたのかぁ…。永遠にそのままの状態で歯を使おうと思ったのだろうか?
この状況は極端だろうけれども、温度差の違いは今になってもやっぱり慣れない。
私も別の公演が入ったり、残務があったりするとやっぱり両方に登場は出来ないので稽古を休ませていただく時もあるが、芝居や朗読をするのは自分自身の仕事であり、やっぱりドライブや他の趣味とは絶対に同じ天秤には乗らないのである。
それでは、何が職業としてされていない方が芝居や朗読を続ける為のモチベーション維持のなのか?
楽しい事?
やり甲斐?
自分の進歩?
自分の居場所?
皆それぞれ違うとは思うが、楽しくないとやらないと思うし、やり甲斐がないと続けられないだろうし、いくつになっても自分の進歩が見えないと辞めちゃうだろうし、そこに自分の居場所がなかったら、別の居場所を探すだろうし。
いろいろな事を考える。
それと言うのはそろそろ次回のシニア劇団の公演台本を決める時期で有り、朗読講座の発表会も控えている。私は私なりにいろんなことを考え企んだりしながら台本や本を読む。そして彼らを頭の中で動かしてみたりする。彼らにこっちの方が良かれと思ってみたりすることもある。
しかし、これはあくまでも私の中の企み希望的空想であって、それ通りには実際なかなかいかないのが現実である。

8月21日(日)14:00〜 オンラインZOOM 舞台公演 谷崎潤一郎『刺青』

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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