[ Spinart(スピナート) ] - あらゆる表現者・アーティストと出逢えるサイト

Logo Mark連載記事

Logo Mark歯を磨く様に演じる4時間で短編映画を作る

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

続きを読む

最近はラジオで映画番組を担当しているせいもあって、映画にも以前より興味が湧いてきた。内容もさることながら、どうやって作ってるんだろうかと。
昨年だかは、前の年の暮れから、正月三が日に短編映画を作るぞと硬く心に決め、YouTubeで“1人でできる短編映画の作り方”なるものを参考にし、映画もどきも作ってみた。
YouTube作品をこのカットはどこの部分⁉︎体全体なのか足だけなのか、はたまた風景なのかをイラストでメモし、そこに何秒を使っていると細かく分析してとりかかったのだが、肝心のストーリーは何も考えておらず、即興で“建物の中から何か音が聞こえてくる場面”から撮影をスタートした。撮影隊も役者も全て私1人。
分析の結果からもわかったのだが、3分位の短編映画に数10の映像が使われていてこれには驚いた。私の場合はそこまでは細かくはないが、でもそこそこの数の動画を撮り、つなげて3分少々の物にした。
その後ドキュメンタリー映画にも出演し、映画熱はほどよく膨れ、どうしたもんかと過ごしていると見つけてしまったのだ。
【4時間で短編映画を作る講座】を。しかも初心者対象と。
何もないところから4時間後には短編映画が1本できるなんてまさにマジックだ!
さて、当日会場に行くと若い男性がお出迎え。その時点ではわかっていなかったが(私がわかっていなかっただけかもしれない…)、まさに園田新映画監督様様にお出迎えいただいて、直々に教わるというなんとも贅沢な講座であった。
待っていると『おはようございます』の挨拶とともになんとなくその場に慣れた感じの若い男女2人が入ってきた。同じ講座生かと思ったら実は役者さんらで、この講座の中では私たち素人が作る作品の出演者となるお2人であった。
参加者は私を含め初顔合わせの5人。このメンバーで4時間で短編を1本作る。本当にできるのだろうか…? この思いがいまだ拭い去れない私。
まずはどんな話を作るかという案を数10分で出し、出てきた案をもう少し詳しく膨らませていき、出演者男女2人の設定も考え 繋ぎ合わせたものをパートに分け、2人(1人)1グループで数10行のシナリオを作っていく。案外皆さんのさらさらとスムーズに進む鉛筆のかすれる音が聞こえる。
この講座ではそれぞれの制作過程を何分で作るという時間が設定されており、なおかつ書く用紙の升目の数も指定されていて、講師の園田新監督の導きにより、思ったよりすんなりシナリオができていくのにも驚いた。
そして私たちの作った数枚のシナリオを若い男女2人が短時間で覚えカメラの前で演じてくれるのだ。
『私、こっちもやってみたい!(短時間で覚え演じる方)』
最近、のらりくらりやっていた私は、こんなところで役者心が頭をもたげたのだが、この講座では役者部分は若いお2人で私には関係ないのだ。
さて、撮影だが、参加者は作ったシナリオを元に数コマの絵を書き、それをもとに撮っていく。
カチンコも使うし、スマホじゃない本格的なカメラも使う、長い棒のついた本格的なマイクもすべて参加者が実際に使って撮影した。
ありがたいことに講師がどんな画像を撮りたいのかを詳しく聞いてくれ、それに基づいて初心者の私たちがカメラを動かし撮っていった。
最後に撮影したものを専用のパソコンと大画面のモニターを使ってトリミングし合体させ、1本の短編映画完成。4時間で5分程の作品ができたのだ。
勿論、園田監督の導きも充分に大きいが、淡白な1行ストーリーから内容はともあれ、手軽に短編映画ができたのには驚いた。

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

続きを読む