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Logo Mark歯を磨く様に演じる言葉と人格について

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、役者をやってる学生の知り合いと話をしていたら、
『そんな風に言っていたら関係者⁉︎になめられるから。』
なんてセリフが出てきた。
久しぶりに聞いたわ。私も昔、思っていた。
私の兄弟は3人で私が長女で妹と弟とが順に続いていた。
我が家はちょっと古い考えの家で男は跡取りだからと女より男、つまり弟が私や妹より母から可愛いがられていた(と当時感じていた)。その為「男に負けるか!」との気持ちもあり、高校では男子と男勝りに活動や遊びをしていたので、女性を意識させる言葉使いは、何かと不都合であった。
その結果、男子の様な言葉を使う様になった。
大学に入って女の友達も割とできたが、皆やはり男性的な言葉を使っていた。
そんな感じで男性的な言葉、後腐れが少ない言葉を使っていたせいだろう。私の考え方はどちらかと言うとさっぱりしている。ONかOFFに区分けできそうな感じなのだ。
かといって言葉に対してこだわりがなく何でもいいじゃんて言う訳ではなく、私なりのこだわりがある。
先日ある雑誌の取材後に出てきた原稿が、
『夢は生涯現役の舞台役者…』
と書かれていたが“夢”ではなく、“目指すは”に変更して頂いた。遠く夢のうちは叶わないと思っているので。というか叶うとか叶わないじゃなくて、やるかやらないかの問題の事なのですよ。こんな感じで、ある所は面倒な程にこだわるのが私。
最近の言葉に関する面白い事例は、11月27日公演の一人芝居の台詞の話。芝居なので、台詞を覚えるのは当たり前なのだが、その後が問題で…。
とうの昔に覚えたのだが、日常生活鵜飼雅子としての生活を送っているので、4、5日1本その芝居を通さないと覚えた筈のセリフが変わっていくのだ。
台詞を忘れたとか内容を忘れたと言う訳ではなく、登場人物が藤岡八重子ではなく鵜飼雅子になるんですよね。
私の友達の演劇関係者にそれを言ったら『私はそんなことにはならない。』と思いっきり否定されたが、私の場合はそうなってしまう。
そういえば昔の稽古の時、
『この女の子だからこういう言葉を使う。台詞が変わってはいけないんだよ。』
なんて事を演出家や役者先輩に言われたことがあった。私もやっぱりそう思う。そしてその上私の場合その役になるとその役で動いたり生活しているところがあって、その芝居の期間が長ければそれで生活してもよかったんだが、最近はその役より、朗読の先生をしている鵜飼雅子だったり、ラジオ放送している鵜飼雅子だったり、はたまた自由奔放に生活している鵜飼雅子だったりこれらが多出するので台詞も変わってしまうのも当然なんだよね。なんていう自分なりの言い訳にしている。その為に毎日とはいかないまでもたびたびその芝居を通し演じている。
先日放送局の方に『今度の芝居の台詞覚えた⁉︎』と聞かれたので、
『いや私なりの初演は終りました。』
とお答えしておきました(笑)。
何度の何度も1本の芝居を通すには別の理由もあって、昔は1本の芝居を1年間180ステージ位やっていたんですけれど、そうすると演じていくにつれ、どんどん役の人間の性格が熟成されていって、一年終わった時には初演とは全く違うような人間に成長していたりするんです。それをちょっと目指しているところもあるんですよ。だから何度でも演じる。
今回の『モノロオグ』に出てくる25歳の女性、藤岡八重子がどんな風に育つか今は私も楽しみなんです。

鵜飼雅子一人芝居『モノロオグ』

11月27日(日) 14:40開場、15:00開演 お申込みは、携帯電話のメールアドレスはPCからのメールが受け取れないことがありますので、下記のものをご記入の上、PCメールでお申込みください。
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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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