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Logo Mark歯を磨く様に演じる宇都宮市「男性の育児休業取得促進・多様な性の理解促進事業」の講師として

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、宇都宮市「男性の育児休業取得促進・多様な性の理解促進事業」に絵本の読み聞かせ講師として関わらせて頂いた。
講座は男性の育児休業取得を促すものなので、父親だったり、将来父親になる事を希望する男性の募集が中心だが、その妻や子供も参加可能である。
私の知人ももうすぐ子供が生まれるので「いついつから育児休暇を取る予定」なんて通常の会話に交えて話してくれた。 振り返ると自分の結婚適齢期と言われた時代“男性の育児休業”なんて言葉は存在しなかったのではないかと思う。女性でさえ、肩身の狭い思いをして育休を取っていたり、やり甲斐のある仕事を辞めて育児をする時代だった。時代も変わったもんだとつくづく思う。
事前に「定員はフルになりますよ」と担当者から言われていたのだが、なんとももう少し前の時代を過ごしてきたものだから、こういう類の講座の定員が満員になるなんて少し不思議な感覚がした。
さて、参加者は男性おひとりでいらっしゃった方、ご夫婦でいらっしゃった方と両方で、どの方も育児と真剣に向き合う様子が見受けられました。
そして私の担当絵本講座は、
“子供の心をつかもう!”
という事で少々コツを…。
まず第1に、このコロナ禍の時代のせいもあるのだけれど、以前に比べ、発音が不明瞭だったり、声が出ていなかったりする。これは子供の心を掴むとはあまり関係ない気がするかもしれないが、でも大切なのだ。子供が幼稚園や小学校に入った時、子供達の輪の中で“モニャモニャ”何を言っているかわからない子は仲間から外されてしまい、ちゃんと言える子がシキを取ったりする。なので子供の側にいつもいるパパさんママさんは出来るだけモニャモニャ不明瞭語りは避けて欲しいなと思う。子供が自然とそれを身に付けてしまうから。
そんな事を話しながらアイウエオの口の開き方から滑舌の練習をして、表現の練習に進む。
話はそれるのだが、外国人が習う日本語の教科書にはちゃんとアイウエオの発音時の舌の位置や口の形など細かく書かれているのだが、なぜだか本家の日本人は一部の人を除いて知らないし、習わない(笑)。
表現と言っても奥ゆかしい私達は外国の方みたいに通常大きな喜怒哀楽の表現をしない。
最初『うさぎと亀』の話を使いうさぎと亀が「互いに仲が良かったり」「互いに嫌いだったり」「亀がウサギに怯えていたり」といった条件で読んで頂いたら、まだまだ緊張がとれないのかして、少々条件による語りの違いがわからなかった。
それではと『桃太郎』の話を「泣き」「笑い」「怒り」で内容関係なく読み分けてもらったらそれぞれの個性と笑いで会場が温かくなった。
『そうそうそんな感じ。こんな雰囲気が読み聞かせにあるといい。』
ここに参加されている皆さんはとっても真面目な方々なんだと思う。
何はともあれ、言葉がよくわからない幼い子供達は感覚がとても大切で、それを絵本を読む時提示してあげると子供達がお話の世界に入りやすいのではないかと思う。
そしてまず第一に私達の様な専門家ではなく、自分のパパやママが自分の為に絵本を読んでくれる、これが子供にとって最も大切なんだと思う。
最後に私が谷川俊太郎作の絵本「もこ もこもこ」を読み終了致しました。
この絵本に出てくる言葉は「もこ」「にょき」「ぽろり」と奇妙な擬音ばかりで、色や形も不思議?なんですが何故だかその世界に引き込まれてしまう面白い絵本なのです。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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