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Logo Mark歯を磨く様に演じる観劇!シニア劇団公演

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日足利にあるシニア劇団「燦 SAN」の公演を観にいった。こちらの劇団は国内では珍しいのではなかろうか、足利市民プラザ付属の“シニア”劇団。そして10周年だそうだ。
公共施設付属のシニア劇団とはちょっと羨ましい。
昨年初めてこの劇団の公演を観た。作品は堤泰之作『煙が目に染みる』。火葬場での面白い話だ。地元のアマチュア劇団からの客演もあり、とても迫力ある大がかりなものだった。
見応え十分。
シニアさんの中には70代半ばの方もいらっしゃり、また、その方の声の出る事には驚いたし、台詞も多かった。よく覚えられたなと申し訳ないが少し上から目線で聞いたところ、
「覚えるのが面白い。」
そんな様な事と、
「声だけは大きいんです。」
なんて照れながらお話されたことを覚えている。これを聞いて、高齢になると声が出なくなるのは嘘だと思った(笑)。
さて、そんな記憶の残るシニア劇団の公演に今年もお邪魔した。
今年はO・ヘンリーの作品で“魔女のパン”“最後の一葉”“ワン・サウザンド・ダラーズ”“エピローグ”と小作品4つ。最初の2作品は私も知っているし、“最後の一葉”なんか割と有名なんじゃないかな。
私はと言うと、正月の失敗を繰り返さぬよう、体調万全で芝居観劇に臨んだ。というのは、今年の初め、見たかった映画を早朝からの仕事を終え、映画館に行ったのだが、あっけなくものの数分で寝落ちしてしまい、1度起きたら、途中の馬が機械を引いて耕しているシーンだったし、そして次起きたらもうエンディングだった。あの時はとても心地良い音楽がバックに流れていてマズイ!と思ったが、やっぱりその通りだった。
さて、今回は我がシニア劇団でも小作品を連ねたらいいかなと思い、意識もしっかり観はじめた。
しかし、登場人物が少ない小作品は稽古はしやすいが、一方で作品としては難しいですね。登場人物が少ないので、その少ない人々で会場の空気を変えなければいけない。観客全体に魔法をかけ、芝居の世界に皆を送り込まなくてはいけない。個々の力量が問われるわけで…。
芝居は案内人の語りから始まり、O・ヘンリーにはない独自の物語“エピローグ”で締められた全体的に落ち着いた芝居になっていた。昨年とは違い、舞台と客席の間に薄いオブラートの幕がかかっている感じ。
若手が多いの劇団の芝居だとパワー。熟年になってくるとどっしりとした力強さが感じられると思う。
そしてもっと先のシニア劇団となるとなんだろうか?
私は役者が楽しそうに生き生きやっている姿が見せ場かなと思っている。
2月19日のシニア劇団スターライトの公演もシニアの素敵な姿が出せれば、台詞を間違えても構わないし、途中とまりそうになっても構わないと思っていた。まあ今回は、生憎そんな事にはならなかったが。
さて、シニア劇団「燦 SAN」の公演が終わり、役者方々の見送り。昨年より心なしか生き生きと見送られている役者さん達。観客でいらっしゃったご友人方と写真を撮ったり、会話をしたりと楽しんでいる。まるで同窓会の様に。マスクはつけているけれどコロナ禍になる前の芝居後の様子だ。
そうそうこの状況がいい。
“自分も生き生きと演じ楽しみ、観客も応援してくれる”
これがシニア世代が芝居をやる一要素なんじゃないかと思う。

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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