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Logo Mark歯を磨く様に演じる凄いぞ、高校生パワー!

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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3月10日に私の担当しているラジオの映画番組に足利の高校生らがゲスト出演した。3月21日に足利の映画館で自主映画を上映するので、ラジオでお知らせしたいとの事。昨年夏のオリオンスクエアー(宇都宮市)でのムービーフェスティバルにも、自主映画を上映し参戦してくれた。
グループ名は「Bad Guys ART work」。高校生の映画製作チームだ。(今年高校卒業)昨年春も映画製作について、パワーのある話をラジオで語ってくれたが、今回もそれに負けず劣らず、パワー全快だった。でも、今回は様子が少々違う。
2022年度、彼らは受験生であり、受験中は映画制作は自粛していた様子。
『受験が終わり次第、すぐに撮影がスタート出来る様に脚本は準備してある。』
これを聞いたのが3月10日の生放送の時。映画館は既におさえてある。チラシも放送当日発注したらしい。しかし、撮影はこれからだそうで、単純計算して2週間もない。でも余裕の姿である。
この製作期間の短さには驚きだ。大人なら、
『又今度にするか…。余裕があれば練り直しも出来るし…。』
ってな事になり、いつになっても“今度”が来ないのはよくある話(笑)。
それで、どんな作品になっているか気になり、3月21日仕事が終わった後に車を飛ばして足利まで観に行った。
可愛らしい街角の映画館とばかり思いこんでいたが、着いてみたらなんと大きなショッピングタウンの中の大きな映画館。宇都宮でいえば、福田屋インターパーク店とMOVIXみたいな感じ。なんとその映画館での上映。
彼らの作品は約1時間ものとなり、映画館の大スクリーンに映しだされた。
『やっぱり出来たんだ⁉︎』
これが私の瞬間的な一言だった。
タイトルは「踊る探偵」“誰かを笑顔にしたい。それを教えてくれたのは、ジャズが好きなじいちゃんでした。”(彼らのチラシより)
将来の夢や恋愛をモチーフにしたとても高校生らしい作品でとても爽やかである。
『私にもこんな時代があったんだ!』
彼らの映画作りと作品が自分の学生時代の思い出と重なる。
映画制作の協力者、出演者(出ていたじいちゃんもいた)、応援団、彼らの友人、シニアの方々まで出来たてホヤホヤの映画を楽しんでいた。
映画の終わりに舞台挨拶があり、その中で、お礼とそして、
『学生で資金がないので募金箱を出口の所に置いておきます。宜しくお願い致します。』
とかなんとか言ったものだから、帰りには出口の透明な募金箱はお札で溢れかえっていた。
彼らの真っ直ぐな思いや行動に、大人になった人達は自分の夢を重ねているのかもしれない。
こうやって高校生のパワーを見せつけられると私もまだまだ走らねばと思うし、「高校生に負けるか!」といきたい。
でもやっぱり凄いね。
徹夜とかしたんだろう。車の免許を持っていないので、撮影場所には機材を抱え自転車移動だそうだ。この有り余る体力と気力、羨ましい。かつては私も…。
あと、凄いと思うのが(自分達が作りたいから)撮影場所の交渉をしたり、エキストラをお願いしたり出来る事。他人に物事を頼むのはいい大人になっても難しい。特に私も苦手としているところ。
だから私はいろんな事を1人でやってしまう。その方が気軽でいいから。でも、限界があるし、どうしても上手く出来ない事もある。協力者を得るのはとても大事な事。
通常、学生時代に戻りたいなんて決して思わない私だが、今回だけは彼らを見ていて少しだけ思いました。
体力には自信のある私ですが、やっぱり若者の突進力には勝てないなぁ。
ここも見習いたいところ。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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