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Logo Mark連載記事

Logo Mark歯を磨く様に演じる生で声が聞けてよかったです

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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『美大は確実に受かるとは限らない。』
そう言われた言葉が引っかかり、浪人する事を避け、内申書の高点数を武器に、受けたら必ず受かる学校推薦で経済学部に入れてもらった。皆さんが学習塾で勉強をしているときに、一生懸命石膏像を造形スクールでデッサンしていた。
そんな過去もあり、今年の1月から私の希望でラジオでアートの番組『気軽にArt Talk』を担当させてもらっている(毎月第3金曜日19時から、「アート」や「表現」にフォーカスし、「アート」「表現」をもっと身近に感じられるよう、ゲストをむかえてお話をする番組)。
そして先日、建築家の隈研吾さんと幸いにも生放送で対談させて頂いた。
対談の前には、隈研吾さんの設計された建物を幾つか訪れたし書籍も読ませて頂いた。芦野にあるとても素敵な石の美術館にも行った。そこの一室では隈研吾さんと俳優の森山未來さんの対談ビデオが流されており、穴が開く程じっくり見た。外国で椅子を買ってきたエピソードがとてもユニークだ。
“石の美術館”での私の1番のおススメは、焼くと色が赤っぽく変化し、含有されている鉱物が表面に現れてもくる芦野石を巧みに使った茶室。
さて、予習は割と完璧なのだけれど、番組がスタートするとなかなか難しいもので、台詞が流れる様にとてもとても出てこない。ラジオ放送なので、視聴者には音声しか伝わらないが、私の目の前の画面には確かにあの隈研吾さんがいらっしゃる。
事前に担当者と打合せも済んでいるので、番組始まる直前の登場は大丈夫なのだが、私にとってはなかなかの迫力のライブ感。その空気を十分に受けながらの番組スタート。気分は武将だったらもう戦に行ける感じ。
舞台では最初が肝心なんても言われていたが、イヤイヤ舞台だけではない、こちらもだ。頭の中の文言をサーチライトでぐるぐる照らしつつ、雰囲気を探りながらの冒頭数分間。
『質問に答える感じで良いですか』と担当者からの事前確認で『はい』と返答したものの、私としてはある程度質問したらそのまま最後まで、番組という名の舟が岸にたどり着くかなと1mm位密かに思っていた。しかし全くそんな感じではない。トークのキャッチボール。
『建築、その表現についてお聞きしたい。』
と切り出したら、
『難しいですねぇ。』
とまず一言。アラッ!最初からしくじったか⁈とドキッとした。
しかし、続いて建築はいろいろな見方がある点(見方をされている点)、から話を広げてくださり、わかり易くご自身の建築物について話をされたし裏話なんかも聞いた。また、リスナーの方々からも数多くリアルタイムでメッセージも頂き無事番組終了。リスナーの注目度がメッセージからもわかる。
番組後にはミキサーを担当してくれたパーソナリティから、
『(難しいですねではじまった)あれは良かったよ。』
と言って頂いたので放送中の緊張がそこでスッと終了した感じ。
『台詞の行間を考えろ』
昔、よく言われたこの言葉。
この対談中本当、行間にいろいろ考えた。台詞を言っている時の何倍も何倍も考えた。現実はこうなんだなぁと改めて体感した。
さて、リスナーさんからのメッセージだが、
『…生で隈研吾さんの声が聞けてよかったです。』
という文言が入ったものがあったのだが、有名な方なので、テレビやYouTubeで彼の動画を存分に視聴出来る。では、このラジオ放送ではリスナーにとって何がメリットなんだろう、と放送前少し疑問に思っていたところがある。私もオンラインで画面越しに定期的に舞台をやっている。でも、そこのところが未だ引っかかっていた。
私にとってはこの放送で相手と物事をする経験だったり、自分の言葉でいろいろ聞いたりする体験が伴うわけだから、誰かがやっているYouTubeやテレビとは明らかに違う。
『…生で隈研吾さんの声が聞けてよかったです。』
この台詞が私のモヤモヤ考えていた疑問の明確な答え。
今ここでやっているという“ライブ感”、これがリスナーにとって素敵な体験なんだなと改めて感じました。

6月3日(土)14:00〜オンラインzoom公演・海野十三『ある宇宙塵の秘密』

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