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Logo Mark歯を磨く様に演じる今年もスタート!子どもゆめ基金助成活動

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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今年も講師のご依頼を頂いた、子どもゆめ基金助成活動『放課後ブック楽校〜本を楽しむ4日間〜』がスタートした。
今年で3度目の活動参加になるのだが、会を重ねる毎に子供との接し方等、いろいろ自分なりの変化がでてきた。
一昨年はお初の機会であり、子供達との活動も久しぶりな事もあって、少し空回りしていた所があった様な気もする。
『講師なので、引っ張らなけりゃ!』と。とにかくグイグイッと。
勿論、今でも“引っ張らなけりゃ”の立場は変わらないのだが、今回は子供達の風や周りとの空気を感じとり、その風に乗っていくのが上手くその活動を進めていくポイントだとつくづく感じる余裕も出てきた。
そしてまた、人間、日々暮らしているといろいろ引き出しも増えていくもので、今年はオンラインで習っているパントマイムがここでも役に立った。
スタートから、まだ到着していない子供の対応に追われた担当者から、
『まだ来ない子がいるから、ちょっと子供達に何かやっておいて。』
といきなり振られても、
『えー!!』
とはならず、パントマイムの初歩練習で、子供達と最初の楽しい時間を過ごした。
さて活動スタートまでの話が長くなったが、今回の活動は子供達の読書体験を増やすと同時に、「考える力」「生きていく力」を育む事を目的にしている。
そこで、真っ先に担当者が選出した本が「泣いた赤鬼」である。最近の子供達はこういった昔からの児童文学にはあまり縁が無いかもしれないが、この鬼の心情、優しさを伝えたいと彼女が考えたからだ。
ボランティアの方が小学校で読み聞かせを行う学校はいくつもあるが、選ぶ作品を聞いてみると最近人気の絵本だったり、子供受けの良い面白い本が多い様にも思う。子供の食いつきが良いからだろう。読み聞かせ中に子供が離れていき、教室がざわつくのは確かにつらい。
今回はまず最初にこの「泣いた赤鬼」を私の教えている朗読サークルのサークル生2人に読んでもらった。
活動初日のスタートで、子供達も割と引き締まっている事もあり、読んでくれた方も良く練習してきてくださり、子供達も良く聞いてくれた。
ここで一旦休憩が入った。
その後は私が絵本を読むのだが、その頃には子供達もだいぶ緊張の糸がほぐれた様子だったので、何冊か持っていった本の中で、最近人気のヨシタケシンスケの「りんごかもしれない」を読んで欲しいと担当者からお願いされ読み始めた。
やはりこの本思っていた通り、緩急をつけて読むと子供達もワクワク前のめりでのってくる。感覚でしか言えないのだが、私と絵本と子供達がふわっと、柔らかい風船の中に一緒にいる感じで面白かった。
次はしっとりとちょっと感覚的に高度な作品「ビロードのうさぎ」。この読み聞かせの時は会場の空気がピーンと張って、話の結末に向かって全体で進んでいく感じだった。この話の複雑な感情は、大人の方がグッとくるのではと思うが、子供達もいろいろ考えながら聞いてくれたのだろう。
また、今回最後となった谷川俊太郎の「もこ もこもこ」(擬音のみの作品)はあえて私が読むのではなく、唯一参加してくれた男の子で、昨年はお友達の男の子と参加していたが今年は1人で参加し、少し寂しそうに映ったので、「これ、読んで。読めるよね。」
とその子を誘い、読んでもらった。そしたら彼だけではなく続いて会場にいた大人も子供も次々に「私も読む!」と参加し、音の愉快な連鎖が部屋を包み込んだ。子供に大人の読んだ「もこ もこもこ」の感想も聞いてみた。
こうして賑やかに初回は終了となった。
これだけ2時間の間に感覚の違う作品を“体感”したのは案外子供にとって貴重な体験なのではないかと思う。
残すはあと3日間。

12月23日(土)14:00〜一人芝居『クリスマス・キャロル』

場所:アトリエほんまる
料金:前売り3,000円、当日3,500円

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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