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Logo Mark歯を磨く様に演じる自然に!?台詞

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日我がアトリエほんまるで、演劇のワークショップが行われた。
参加したのは高校生からシニアまで幅広い年齢のメンバーで、地元宇都宮から遠くは佐野や足利から集まった。
そしてなかなか楽しいワークが行われた。
最初は同類のグループを作ったり、他人との感覚の違いを認識したり、ある物事を言っている人の心を考えたりするゲーム的なことから入り、演劇を普段からやっていなくても気軽に取り組めるワークだった。
1から50のカードを使って1は小さなものを作っている人で、50にいくほど大きなものを作っている人という条件で、相手に数字は明かさず、何を作っているかだけを相手に聞いて、自分の引いたカードに近い数字の人とペアになるワークは、私もコミュニケーションの講師に招かれた時によく使っている。やるメンバーの生活状況によって、この感覚がものすごくずれていたりすることがあって、びっくりする。
今回の主催の方は劇作家であり演出家なので、そちらの方面の話が私にはとても興味深かった。
まず注目したのが自然な台詞(を言う事)についてだが、この件については今まで私も耳にした事があるが、明確な理由が示されてこなかった気がする。
その劇作家さんの話によると、文章の中で何を伝えたいか考える時、例えば『その、竿、立てて』という台詞だったら、文章のどこを強調するか『その』か『竿』か『立てて』かどれかを強調する事で表現すると日頃教えられているが、日本語の日常はそうではないと。
自然な台詞では、
“その”が言いたいなら『その、その、その、その竿、立てて』で、
“竿”の事が言いたいなら『竿、竿、竿、その竿、立てて』で、
“立てて”が言いたいなら『立てて、立てて、その竿』
と言いたいことを通常は連呼したりするそうで、また語順が変わったり出来るのも日本語の特徴だそうだ。
確かに言われてみれば、こんな言い方を日常生活で使っている気がするが、そう書かれていない台本の文も多いと思う。それは台詞自体が自然な台詞になっていないとの事。
「そうだったのか…」と今さらながらに思う。今まで与えられた台本は役を演じることにフォーカスをして、それについては考えてこなかった。脚本家先生が一生懸命書かれたのだし、一字一句変えてはいけないという脚本家さんもいらっしゃる。
勿論、その原理がわかっていて書いていらっしゃる先生も多数いると思う。
しかし、その一方で私の個人的な気持ちだが、古典的なシェイクスピアやチェーホフの作品でそういった日常の自然な台詞が多用されていたら、おそらく観ていてガッカリしてしまうのではないかと思う。これは私の本当に個人的な思いである。
例えばシェイクスピアの『ハムレット』の有名な台詞、
『生きるべきか死すべきか、それが問題だ』が、
『問題だ、問題だ、問題だ、生きるべきか死すべきか』だったり、
『生きるべきか死すべきか、生きるべきか死すべきか、生きるべきか死すべきか、それが問題だ』
と舞台で言われたりしたら、気難し屋のせっかちな人が言っているようで興醒めだ。
自分と同じレベルに並ばなくていい、そういった戯曲の人物は、もっと上のステータスにどっしり君臨していて欲しい。
例えば品格のあるあの帝国ホテルに自分がいると仮定をする。そのランデブーラウンジにTシャツに短パン、ビーチサンダルでは行かないだろうし、もしそういった方がいらっしゃったら、せめて自分の視野に入らないところにおかけいただきたい。珈琲1杯がウン千円もする高級感をじっくり味わっているのだから。まぁ凡人の考えなんだろうけれども…。
話がだいぶ脱線したが、最後に台詞を自然に言うことに話を戻すが、書かれている台詞の途中に、アドリブで例えば挨拶やズボンを上げる仕草と返答など突発的な物事を入れて練習をし、アドリブとすでにある台詞との違和感のようなものを無くす練習を繰り返しやると、自然な台詞が言えるようになるそうだ。

12月23日(土)14:00〜一人芝居『クリスマス・キャロル』

場所:アトリエほんまる
料金:前売り3,000円、当日3,500円

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