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Logo Mark歯を磨く様に演じるいくつになってもワクワクドキドキ文化祭

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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秋は特にイベントが目白押しで、楽しい時期なのだが、ここ数年はコロナ禍で、様々なイベントが自粛され、なんとも寂しい秋を過ごしていた。
しかし、今年は明らかに違う。
宇都宮市内のある高校では一般に開放された文化祭が行われ、学生だけではなく、多数の方がステージや模擬店を楽しんでいた。
そして先日は、陽南地域コミュニティセンターの文化祭が開催された。コミュニティセンターといえば、多くは地域のシニア層が利用し、そこで開催されるサークルもシニアのメンバーが殆どだ。
私が講師をさせて頂いている、陽南朗読サークル“花ことば”も同様で、6年ぶりに開催された今回の文化祭での発表を楽しみにしていた。
朗読メンバーの皆さん、発表をする事には割と慣れていらっしゃるのだが、やっぱり何度やっても楽しい様だ。
発表会前の練習では、それぞれの朗読の箇所の質問も勿論あるが、当日の衣装の相談も出てきて盛り上がる。
今回発表したのは樋口一葉の「大つごもり」より『みそかの月』。貧しい娘が気難しくケチなご新造がいる家に奉公しており、年末に親代わりだった寝たきりの叔父の為、お金の前借りを頼むという話だ。
当日の発表は4団体で、うちの番は3番目なのだが、娘役をやっていた方は落ち着かないので、他団体の発表の時から既にエプロンに三角巾姿で客席に座っている。また発表会の進行役で、朗読の発表にも参加しているメンバーは、いつもの感じと明らかに違う。
さて、我が朗読サークルの順番が回ってきたのだが「前の2団体が予定より早く終わってしまったし、観ている方も無言で座っているばかりなので、どうにかして欲しい。」と司会に言われ、急遽会場の皆様と共に、いつもやっている発声をやり、少し場の雰囲気を変えてから発表がスタートとなった。
音楽をいれ、朗読がスタートしたら、講師の私はどっしりと構え、皆さんに任せて動画撮影に。
メンバー皆役になりきり、朗読だが芝居さながらである。男性パートを一手に引き受け朗読してくださった方は、幾つもの役ごとに読みを工夫しており、見て(聞いて)いて面白い。寅さんを模した役なんかもあった。
朗読の途中で幾つかトラブルもあった。
他人のパートを読んでしまったのだが途中で気づき、そこで読みをストップ。止められた台詞を読む事になっていた方はその場でどう読もうと、少し間が空いてしまったが、アドリブで上手く続けてくれた。
自分の台詞を逃しそうになった方の所では、
『もう一度やりますか!?』
と隣の方が少し微笑みながら声に出し、言われた方も笑いながら、
『大丈夫です。』
と言って話が進んでいった。
発表をする方はいろいろ複雑な気持ちや、心残りがあるかもしれないが、見ている側はそれはそれで面白い。
発表会後には、朗読サークルのメンバー皆さんでランチ。笑いながら発表会の感想が飛び交う。
私が講師をさせていただいている朗読サークルは、まだ出来てから6年位だが、参加したコーラスサークルは20年も続いており、そこの初代講師は今はメンバーとなり、楽しんでこの発表会にも参加している。
もちろん日頃のサークル活動があってのものだが、誰かが観て聞いてくれる発表の場があるというのは、年齢に関係なくとても有難い事だとつくづく思う。

12月23日(土)14:00〜一人芝居『クリスマス・キャロル』

場所:アトリエほんまる
料金:前売り3,000円、当日3,500円

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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