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Logo Mark歯を磨く様に演じる45度って素敵! 身体で表現

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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演じていて手をどこに持っていくとか、腕をどうするとか通常あまり気にはしないのだけれど、自分から離れた役や古典などをやる時にはやっぱり気にしてみたりする。
先日、次回公演の一人芝居『クリスマス・キャロル』の稽古をしていた。その中で落ち着いた年齢の男性で、人間としてがっしりした自信のある人物をやっていた時、ふとに手(+腕)を意識し、結果手を胸の所45度に持っていった。そして背筋を伸ばし、胸を張り目線も45度位上に持っていくと、それだけでなんだか自信のある人物に見えた。
演出も自らやっている私は、舞台前方に置いてある鏡でいちいちチェックし、鏡を見つめながら稽古をしたりする。他人が見たら一寸滑稽な感じかもしれないが気にしない。
そしてこの45度というのが身体のどの部分で使っても綺麗に見えるから不思議で便利だ。
オンラインでパントマイムも少々教わっている。レッスンを習い始める前、綺麗に動作が見える(と私が思う)先生を探していた。お願いした方以外にもマイムを得意とされる方は沢山いらっしゃるが、なんだかパタパタ動いていて勿体無い事に綺麗に見えない方もいる。何故かと思って習い始めたら、その先生はよく身体や身体のパーツ、足等を45度にと、しきりに動きに対してアドバイスをしてくれる。成る程、綺麗に見える理由がやっぱりこれだったのか。
基礎練習でも頭を45度に回転、そしてそのまま胸を45度に、続いて腰を45度に順に回転し、その後順番違いで45度ずつ体勢を戻すものをした事もあるのだが、慣れないとなかなか元の状態に戻らない。おかしい…。
確かに昔レッスンのあったバレエもそうだが、日舞の時も、
『45度、45度!』
と言われた。
当時無我夢中で先生や先輩方の振り付けについていっていた(ついていけなかった…)私はいちいち45度、45度と言われても
『それどころじゃないよ⁉︎』
ってな感じだったのだが、やっぱりこの45度という角度はいろいろな業界でも大切な角度なのだ。
元から自分と作りが明らかに違うモデルさんの世界でも、基本の立ち方にカメラに向かって斜め45度なんてのもあるそうだ。真正面に向いてしまうとスタイルもあまり素敵には見えないとの事。
でもその一方で、その45度が使われた自信のある素敵な姿で、上空から斜め45度で見下げられたら、何も無くても、
『すいませんでした。私が悪うございました。』
と咄嗟に言ってしまいそうな抜け目のない迫力だろう。
そしてこの45度、特に足の方向に使うと重心移動にも便利でやりやすい。マイムの基礎の歩きなどはこの足先45度を使い、つま先に重心を移動させ、別の足を引いて歩いている様にみせる。ちゃんと重心が移動していないと足が上手く引けない。呼吸を合わせ、コツを掴むといい感じである。
最近は道具に頼らず、自分の身体で表現する事や一人で何役もやる事も多く、角度に限らず日常あたり前に使っている身体についていろいろな事に気づく。
芥川龍之介の『魔術』という作品中に本が飛び交うシーンがあり、それを手で表現しようとしていた時だった。初回、あまりの無骨な手の動きに我ながらびっくりした。
『この飛び方、本じゃないよ! よたった蛾だよ!』
身体のパーツの動きがイメージに追いついていなかったのである。
たかが手だと思って、マイムを習っている先生の海にいる生物達を手で表した動画を見て真似てみたのだが、訓練された手と、日常使いの手では明らかな差があった。

12月23日(土)14:00〜一人芝居『クリスマス・キャロル』

場所:アトリエほんまる
料金:前売り3,000円、当日3,500円

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