[ Spinart(スピナート) ] - あらゆる表現者・アーティストと出逢えるサイト

Logo Mark連載記事

Logo MarkThe Great JourneyNYブロードウェイミュージカル“WITHOUT YOU”の出演を経て、ドラマーとして得たモノとは

沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
埼玉県出身。
血液型:B型。
LINX / 元THE POWERNUDE のドラマー。
パー...

続きを読む

早いもので、もう5月!!
この原稿を書いている5/3現在、行政書士開業の準備状況は、神奈川県行政書士書士会への登録申請が正式に受理されまして、登録費用も支払い、今は理事会の審査待ち。
順調にいけば、6月のアタマに登録(この段階で行政書士を正式に名乗れます)、下旬に登録証授与式へ参加…という流れになるのかなと思います。
この開業準備ネタもたくさんあるので、それは別途書きます!


■ これまでの“ドラム観”をも変える大きな経験

今回は、ミュージシャン業⇒ドラマーとしてのお話し。
3月にバックドラマーとして参加したNYブロードウェイミュージカル“WITHOUT YOU”での全15公演は、音楽的な部分だけでなく人生観という部分でも、大きくプラスになる機会でした。
どれほど感動的な時間だったか…は、以前の記事に書かせて頂きましたが、実はドラマーとしても、色々な変化を実感しています。
と言っても、この公演を機に、テクニックが超絶に進歩して、とんでもないフレーズが叩けるようになった…とか、そういうコトではなく(笑)、あくまで感覚的な要素なので、なかなか言葉では的確に伝わらないかもですが…。
でも、確かな変化があったのです。


■ ダイナミクスへの意識

ミュージカル“WITHOUT YOU”のオーディション時に、特に指摘を受けたのが、ダイナミクス(音の強弱)についてでした。
強弱で言うと、主に“弱”の方ですね。
これまでにプレイしてきたバンドは、パワフルなRockサウンドが大半を占めているので、ドラムに於いても必然的に“パワフルな音”というのが、自分のスタイルの基盤になっています。
いつもフルパワーで叩いてきた自分にとっては、最初はその力加減がホントに難しかった。
あまり加減し過ぎると、かえって手が縮こまって、ショットも安定しないし、硬いグルーヴになってしまう。
“小さい音量で、しっかり叩く”というのが、今回の一番のテーマでした。
ただ、自分としては“大きな音を出せないドラマーが大きな音を出すのは難しいケド、大きな音を出せるドラマーなら、小さな音を出すコトは出来る”と思っているので、コツさえ掴めば必ず出来るハズ!という気持ちで取り組みました。

そんな中、如何に弱く叩くか…を、意識の真ん中に置いた状態で迎えた初回の全体リハーサルでのコト。
ミュージカルディレクターでありバンマスのDanから、意外なアドバイスと言いますか、要望がきたんです。
その大半が“Youさん、そこはもっと大きな音で叩いて!”と。
中には、“今より25%パワー増しでいいよ!”とか、“この曲はフルパワーで、シンバルも両手で思いっきり叩こう!”とか…(笑)。
“もっと小さい音量で叩いて!”と言われる想定をして準備してきた自分には、意外な注文でした。

そのやり取りの中で、Danが求めるモノを理解していくうちに、単に音量だけでなく、フィーリングや音色の部分も“弱”の大きな要素なんだなと気付いたんです。
この公演では、スティック以外にもロッドを多用しましたが、叩き方によっては十分に大きな音も出ますから、最初はめっちゃ加減して叩いていましたが、小手先で小さくするだけではなく、例えば(スティックやロッドが)ヘッドに当たる角度などでも音色や音量が変わってきますから、コレかも!と。
この時の気付きを元に、公演を経験していく中で、“小さい音量で、しっかり叩く”という感覚がハッキリ見えてきました。


■ 真のパワーヒッターではない自分が、パワフルなサウンドを出すための工夫

少し話しが戻りまして…ドラムの音の大小に絶対的な基準はないので、あくまで自分の経験から大よそ感じているところですが、日本のロックドラマー全体から見たら、自分のドラムの音は、決して小さい方ではなく、おそらく大きい部類に入るとは思います。
ただ、自分は元々それほどパワーヒッターのドラマーではないんです。
力でガンガン大きな音を出すタイプではないというコトですね。
スネアのヘッドなんかも、叩いて破れたコトは、長いドラマー人生で数回しかありません。
破れたから換えると言うよりは、(ヘッド自体はまだ使えるが)サウンド的に劣化してきたから交換…という感じが通常です。
ならば、どうやってパワフルなサウンドを出そうか…と、アレコレ試行錯誤する中で辿り着いたのが、少し太めで重たいスティックで、そのスティックのウェイトを使って大きな音を出すというコト。
当然、重たいスティックの“重さ”を感じなくなるための練習やパワーは必要ですが。

そして、もう1つ。
自分のドラムスタイルで一番大切にしているのが、タイトなサウンドとリズム。
いくら大きな音を出せても、キレのない音は気持ち良くないし、単にうるさいだけに感じます。
そのキレやヌケの良さを出すのは、やはりショットする際のスティックスピードが大切かなと思います。
シャドードラミング(野球で言えば、バットの素振り)で、スティックの空気を切る音がビュンビュン!出るくらい、振り下ろす時のスピードは不可欠です。
なので、重ためのスティックを如何に速く振り下ろすか…これを若い頃は、徹底的に練習しましたね。
具体的には、手首のスナップであったり、指やヒジなどもフルに使って、しなるように振り抜くコト。
この“力ではなくスピード”への意識によって、大きな音量でしかもタイトなサウンドというのを、自分のモノにしたと思います。


■ スティックのチョイスにも変化が…

これまで使っていたスティックは、モニターとしてもお世話になっているメーカー・Vic Firth社の中でも一番太い部類に入るAmerican Classic 2B。
さすがに、どう叩いても音が大きいので(笑)、この公演では2Bよりワンサイズ細くて軽いAmerican Classic 5Bを使いました。
ワンサイズ細いと言っても、Vic Firthのスティック全体からすれば、太い部類に入るサイズではありますが。
最初は、“細くて軽いなぁ…”という印象でしたが、これならある程度強く叩いても、いつもよりは音量を抑えられるかなと。
もちろん、この公演のためだけに使って、またLINXに戻った際には、いつもの2Bを使うつもりでした。

ところが!約3週間ほど毎日のように使っていたコトで、すっかり手に馴染んでしまいまして…。
しかも、当初イメージしていたよりも、しっかりパワフルなサウンドも出るというのが分かりました。
最大の利点は、少し軽く細くなったコトで、音量の小さい繊細なニュアンスを出す際のスティックコントロールがラクになったコト。
それと、ウェイトが軽くなったコトで、力を自然に抜くことが出来るようになったコト。
これは、これまでの2Bにはなかった感覚でした。

そうは言っても、自分は機材に対して保守的で(笑)、特に手元足元で重要なペダル、スティック、スネアなどは、心底納得する理由がないと、なかなか変えないヤツなんです。
使いやすさという部分では、心底納得する理由でしたが、LINXに於いて必要な音量や厚みのあるサウンドが失われないか?と。
この一点だけが気になって、なかなか踏ん切りがつかなかったのですが、ミュージカル後に再開したLINXのリハで、メンバーに何度も何度も聴いて貰って(笑)、率直に感じた音量や音色の違いなどを聴かせて貰い、ようやくチェンジしよう!決心しました。

まだ、未使用の2Bが手元にありましたが、この変化のタイミングは大切にしたいなと思い、決心した翌日にPearlさんに、新しい5Bを大量発注!!
これまでよりも、ラクに自由に叩けている気がします。
そう言えば、リハ再開後のスタジオでMiwa嬢から何気なく言われたのですが、“上手く表現できないケド、明らかにリズムの質感が変わった!”と。
これまでとは違う表情のファンキーなグルーヴだった気がする…と言われ、あの素晴らしい公演で得た確かな感覚が、少しずつ身になっているのかもですね。
何十年と叩いてきても、まだまだ成長する余地はたくさんありますんで、こうやってヴァージョンアップしていくのは大切だし、ワクワクするもんだなと、改めて感じました(^^♪

【LINX one-man live 2024】

6月8日(土)@高円寺 ShowBoat
ShowBoat・オフィシャルサイト
LINX one-man live 2024 “The Next Phase”

ACT:LINX
   Vocal:Miwa Saita(5X)
   Guitar:ZIN(THE POWERNUDE)
   Bass:Aki
   Drums:You Sawaki(ex.THE POWERNUDE)
   ※Support Member:Yasuhiko Tagawa
TIME:OPEN 18:30 / START 19:15
CHARGE:ADV ¥4,000-(D別) / DOOR ¥4,000-(D別)
   ※前売り・当日、共に同価格になります
TICKET INFO:Facebook記事でのコメントやMessenger、下記Official Websiteの“Mail”からも承っております。
   LINX・オフィシャルサイト

【Time Is Slippin' Away】Official Music Video 4K

2023年8月の公開から、21万回を超えました!
激アツにグルーヴするFunk Rockと、Soulfullなヴォーカルが絶妙に融合したSuper Funk Rock Tune!
これぞLINX独自の音空間“Hybrid Rock”の最強進化形!!
“Time Is Slippin' Away” Official Music Video!!
是非!ご視聴下さい。
Directed & Music Video Works : Kunihisa Kobayashi
Executive Producer : mk@jeepster

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
埼玉県出身。
血液型:B型。
LINX / 元THE POWERNUDE のドラマー。
パー...

続きを読む

関連記事

準備中