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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくて日本語表現についてのある一つの経験

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者


1966年、栃木県生まれ。

株...

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 その昔、日本音楽界で、CM音楽やらドラマタイアップやらでブイブイ言っていたレコード会社がありました。で、自分はあるご縁から、その会社が発行しているファン・ジンのような出版物にコラムを書かせていただいていた時期がありまして、確か月一発行だったと思いますが、毎回ネタに苦しみながらもなんだかんだ書いていた次第です。

 ある時その編集長というか、まぁその会社の中でもかなり偉い地位にいらっしゃったと思われる肩書きを持つ、まぁ私にいろいろとお世話くださっていた方が言いました。
「紫水くん、今の若者に向かってさ、ちょっとなにかガツンと言ってやってよ。」
 聞いた瞬間マジでなんにもイメージできず、思わず無礼にも本当に「はぁ?」と返してしまったものです。なんすか「若者に向かってガツン」って。いや確かにもう30歳台も半ばですけど、自分的にはまだまだ若いつもりなんですけどダメですかねぇ…。いやいやそういうことじゃなくて、ホント、なに言ってのか分かんないですよ…と。

 で、いろいろ聞いていくとどうやら、今の若者(その時点でのですね)が使っているおかしな言葉にはちょっと辟易しているということで、割とちゃんと日本語を考えて歌詞を書いている紫水なら、その辺りに対してなにか意見があるんじゃないかと思ってさ…というようなことでした。

 まぁ確かにねぇ…正直なに言ってんのか分からないような新しい単語というか短縮語というか、もっと酷い例でいえば完璧な誤用なんてのもだいぶ多いなとは思いますけどねぇ…なんて話をしてみると、じゃあ書いてということになった次第。

 でもね、実は自分、それに対して全然ネガティヴな考えは持ってなかったんですよ。だって、今自分たちが使っている日本語だって、ほんの半世紀前の人たちから見ればまったく違うものになってるし、単語によってはまったく逆の意味に変わって定着していて今はそれが正しいとされているものなんてのもあるわけじゃないですか。もっと極端に言えば、平安時代の人から見れば、今の日本語なんてまるで外国語だってことですよ(まぁだから自分たちは古文とかに苦労したりするわけですけど)。つまり言葉というものは時代の流れの中でどんどん変化していくものということだし、それを一生懸命否定してもなんか徒労感あるなぁと。

 で、そんな話しを正直に書きました。で、入稿しました。で、秒で怒られました。
「紫水くんみたいな立場の人がこんなこと言ってちゃダメだろ!」
ですって。
 で、全ボツ&締め切り迫ってるから速攻で書き直せとのお達し。
 でもね、思っていることを曲げて書くのもどうかとは思いましたので、その件は一旦脇に置いて、全然別のテーマを考えて提出したという次第です。あ、もちろんその方はもう超お冠で…なんてことはなく、そんなことはまるでなかったかのように、すぐに普通に対応してくださいましたけどね…ま、そんな瑣末にことに関わっていられないほどお忙しい方だったと思うんで。

 さてこのエピソード、舞台はもうかれこれ20年以上前の話なんですが、実は今でも現在進行形の話と思います。
 言葉はどんどん変化したり発明されたりしながら変わっていったりしてます。だからよく言う「正しい日本語」って、正直定義できるものなのかどうかとっても疑問を感じています。
 とはいえじゃあそういった新しい言葉がすべて認められるべきなのか…と言えば、それはそれでちょっと乱暴な気もする。ではその境界はなにかと考える次第です。

 なんでしょうね…これはひょっとしたらTPOかもなぁ。
 仕事とか初対面の人相手とかフォーマルな場面で使われる言葉。既に気やすい関係の相手やプライベートな場面で使われる言葉。言葉を使った表現であればその形態や表現手法に応じて。なんて感じですかねぇ。
 こうしたことを考えていけば、それら変化していく言葉が果たしてその場面で適切なのかどうかというような判断ができるように思います。まぁもちろんこれも時代によって変わっていくので、その変化にはきちんと対応していく必要はあるかと思いますが、少なくとも、日本語全体というような大きな範囲での話ではないので、その採用/不採用についても、合意形成が容易なのでは? なんて思ったりする次第。
 とはいえこの対処方法も穴があちこちにありそうですねぇ。どうするのがよりいいのか、についても、是非みなさんで考えていければいいかなとは思います。

 ということで現時点での自分の意見としては当時と変わらず、正しい日本語なんてないかもと思ってますし、新しい意味不明な言葉たちについても否定することなく、自分とは異質な文化から生まれてきた新しいものとして笑って受け入れていくくらいの姿勢は持っていたいなと思っている次第です…あ、でもその背景に、明らかにこちらを舐めてるなと思うような時にはマジで怒っちゃいそうだなぁw…でもこの「舐める」=相手を侮る意図があるかどうかと言語表現とのつながりも、きっといろいろな条件や背景によってだいぶ違うんだろうなぁ。そう考えると通常コミュニケーションでは安全策を取るのが常道か…まぁそれは表現とはまた別の話だし…ぶつぶつ…。難しいものですなぁ…。

※ちなみに写真は自宅のテーブルの上、カミさんが買ってきてくれた桜のプリンが美しいなと思ってパチリ。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 6D + EF24-70mm F2.8L II USM

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紫水勇太郎・清水 豊

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1966年、栃木県生まれ。

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