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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくてAsami.さんが描く線の美しさに感じたインパクトと磨くべきポイントについて

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 シミズの中に強力なインパクトを残しているアーティストさんを紹介するシリーズ、今回はAsami.さんです。
 Asami.さんの紹介情報はこちらのページをご覧ください。
 アーティスト紹介・Asami.
 Asami.さんはイラストレーターさんです。それもとても可愛らしい女の子を主題にしたイラストを中心に、とてもファンタジックでメルヘンを感じさせる作品が魅力的なイラストレーターさんです。

 最初に正直なところをぶっちゃけ書きますね。私リアルにおじさんなので、こういったテーマのイラストにキュンキュンくるような志向を持ってるわけではないんです…いや…おじさんでもこういうテーマのイラストにキュンキュンしてもいいんですけど、まぁ、自分みたいなものがそんなことを言ったら気持ち悪いんじゃないかと…。なので、この描かれている主題によって私の中にインパクトが残ったわけではないんです。しかしこれが不思議なくらいほぼ初見で心をつかまれました。それは…まぁタイトルにも書いてますが「線」の美しさだったんです。
 細くて、なめらかで、特に髪の毛などはその一本が本当に風に揺れているような、この流れるような線に惹きつけられたんですなぁ…なんでだって? いや、正直最初は理屈ではないですよ。直感のようなものです。見た瞬間単純に、
「きれいな線だなぁ。」
と思って、それが強く印象に残ったんですな。

 え? 描ける? もしそう思った方がいたら是非やってみてください。確かに絵を描いている方や書を書く方には簡単にできるかもしれませんね。いや…難しいはずよ。それぞれ自分が得意とするスタイルでの線はきっと描ける方も多くいると思いますけど、このAsami.さんのような、細くて流れるような曲線は…少なくとも自分は描けるような気がしません。
 流れるように書くためにはおそらくそれなりの速度が要る。すると曲線の流れるカーブが不自然になってしまうかもしれない。そもそも速度を上げて描こうとすると力んで線が太くなってしまうかもしれない。え? 線なんて細いペンで描けば細くなるだろうって? なるかなぁ? 書道なんかでは普通だと思いますが、打ち込みって強くなったり太くなったりしますよね? でもAsami.さんの線はそのスタートから細く入ってその後少しだけ太くなるけどまた書き終わりもスッと抜いてまた細くなる。つまりその線のどこにもグイッと入っていると思える部分がないんです。想像するに、ペンが紙に着地する瞬間もおそらくペンはその速い速度を維持していて、しかも紙に近づく速度や距離も等速だったりするのかなと。これね、むずいっすよ。おそらく手首はかなり速めに横移動していながら指先の感覚だけでこれを実現しているのではないか、なんて思います。
 いや、実は練習したことはあるんですよ。私も若い頃、仕事でちょっとだけイラストを描いていた時期がありまして(まぁやる人がいなかったからやってただけなんですが)、しかも今と違ってタブレットなんてありませんから(てかまだMacすらなかったもんなぁ…)、ケント紙にかぶらペンとかGペンとか烏口とか筆とかで一生懸命描いたものです。で、ある程度描いたらスクリーントーンで誤魔化したりしてねw で、数を描いていくとけっこう描けるようになってくるものではありますが、しかしやっぱり本当に上手い人の絵と比べるともう嫌になるくらい違うことに気づいたりするんですよねぇ。で、それに近づこうとしてまた練習するけれどもやはりうまくいかない。そのくらい一本の線をきれいに引くって難しいんです。
 そうそう、書道なんて最初はずっと「一」の練習をしませんか? よく「永字八法(えいじはっぽう)」なんて言って「永」の字には書道で使う基礎的な筆の使い方が全て入っているなんて言いますが、その手前でまずは一本だけの「一」を練習すると思うんです。これによって筆の着地(打ち込み)と移動、そして留めてから筆が離れるとことまでを身につけるということだと思うんです。これ単純そうできれいに書くのは本当にめちゃくちゃ難しいですよ。
 それなのにですよ。Asami.さんはそれをもっともっと高度な技術として実現している。しかも一枚の絵の中に描かれている数多くの線のすべてに乱れが感じられない。どの線も見事に美しいんです。これは本当にすごいことだと思います。

 これねぇ、きっと他の表現でもあることだと思うんですよ。
 例えば音楽で、めちゃくちゃ速くて細かいフレーズを弾かなくても、一音出しただけで印象に残るなんてことがあるじゃないですか。そうですね、自分がそれを強く感じたのはGuns'N'Rosesのギタリスト・スラッシュさんかなぁ。多分最初に聞いたのは「Welcome to the Jungle」という曲だったと思いますが、強くインパクトを感じたのは「Sweet Child O' Mine」という曲のイントロの音でした。あのレスポールのフロント・ピックアップの音。すごいなぁと思ったものです。
 ダンスなんかでもありそうですよね。高く飛ぶとか速く回るとかじゃないけど、ふと伸ばした指先に目が行ったり、動きを止める瞬間のちょっとした首の動きに魅力を感じたりなんてことがあります。これは最近、LE SSERAFIMというアイドル・グループの動きを見ていて思ったんですけどね…いやぁすげぇなと。
 つまりなにか一つの要素が秀でていることで、それに気づいて惹きつけられる人がいるという好例なのではないかと思うんです。それによってその人の作品が受け手に焼き付いて忘れられないものになる。そういうことなんじゃないかなと。

 これって逆に考えれば、そういった自分の秀でた要素をどこに持つかという一つのブランディング戦略でもありますね。今の自分のどこをどのように伸ばせばまさに自分だけのストロング・ポイントになるのかを考える。それがあることで他者とは確実に差別化され、自分だけのオリジナリティあふれた作品になるための要素。こんなことを考えていくと、それがあるだけで自信を持って作品作りに向かっていけるようになるんじゃないかなと思います…なんてことをAsami.さんの本当に素晴らしく美しい線を見ながら考えてみたんですが、みなさんいかがですか? 特に作り手のみなさん。あなたのストロング・ポイントはなんですか?
 もしこうしたことを考えたことがない方、まだちょっと見つからないという方、是非この機会にまた考えてみていただければと思います。自分が磨くべきポイントの取捨選択ができれば、当面の注力ポイントが見えてくると思います。

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