2024/03/22
「うわぁ〜きっしょっ。」
思わず声が出た。それはなんとなく往年の怪物番組「ザ・ベストテン」放送全期間のランキングをまとめたデータを眺めていた時のこと、意外なことに上位に演歌が入っていることが多いなぁなんて思って興味深かったんだけど…ちなみに20位までの順位はこんな感じ。
1位:長良川艶歌 / 五木ひろし…1984年
2位:みちのくひとり旅 / 山本譲二…1981年
3位:ルビーの指環 / 寺尾聰…1981年
4位:おもいで酒 / 小林幸子…1979年
5位:おまえとふたり / 五木ひろし…1980年
6位:命くれない / 瀬川瑛子…1987年
7位:奥飛騨慕情 / 竜鉄也…1981年
8位:とんぼ / 長渕剛…1988年
9位:愛が止まらない / Wink…1989年
10位:いとしのエリー / サザンオールスターズ…1979年
11位:北酒場 / 細川たかし…1982年
12位:矢切の渡し / 細川たかし…1983年
13位:夢追い酒 / 渥美二郎…1979年
14位:長い夜 / 松山千春…1981年
15位:倖せさがして / 五木ひろし…1980年
16位:さざんかの宿 / 大川栄策…1983年
17位:ダンシング・オールナイト / もんた&ブラザーズ…1980年
18位:細雪 / 五木ひろし…1983年
19位:銃爪 / 世良公則&ツイスト…1978年
20位:涙のリクエスト / チェッカーズ…1984年
なんと20曲中12曲が演歌。60%ですよ。五木ひろしなんて4曲も入ってる。当時は売れてたんですねぇ…なんて改めて思ったり(実は今でも売れてるのか?…知らないだけで)。
で、冒頭の「うわぁ〜きっしょっ」と思ったのはこの演歌が多いことじゃないんです。相変わらず前置きが長くてすみませんが、もう少しおつきあいください。
いやね、こうして順位を見ていて、曲名を見て曲が思い出せない曲が多いなぁと思ったんですよ。もちろん「ルビーの指環」や「いとしのエリー」みたいな曲はパッと思い出せますよ。演歌でも、「みちのくひとり旅」「おもいで酒」なんかはサビだけとは言えそれでもまぁ思い出せる。でもさ、「長良川艶歌」ってどんな曲だっけ? 「奥飛騨慕情」?…そう言えば親父がレコード持ってたなぁ…でも思い出せない。「倖せさがして」? 「さざんかの宿」? 「細雪」?…もう1mmも思い出せん…な状態なわけです(こう考えると五木ひろしの曲って全然覚えてないってことだなぁ)。
なので、まぁ向学のためにもちょっと聞いてみようかなと、思っちゃったんですなぁ…よせばいいのに。で、「うわぁ〜きっしょっ」と思ったと。
問題は歌詞ですよ…まぁあくまで私の主観なので、そう思わない方はスルーしていただければいいとは思いますが、例示するために要旨をざざっと書かせいただきますと、歌詞に登場する女性がですよ、好きと言われて喜んで酔っ払って燃えちゃって、
「あなたにすがってみたい。」
とか言っちゃうとか、やはり女性が、
「ここで一緒に死ねたらいい。」
なんて言いいながらすがってきてるのに(そもそも「すがる」って…とも思うけど)、それに適当なことを言って自分は一人で旅に出ちゃってるとか、やはり女性が、
「自分は不幸癖(そんなもんあるのか?)が取れない女。」
だとか言って、男の胸に手を添えて泣きじゃくってみたり、
「あなたがいればなにもいらない。笑顔があれば生きられる。」
とか言ってみたり、北の酒場通りという場所には長い髪の女性が似合って、その女性はちょっとお人好しですぐに口説かれるような人がいいとか言ってみたり、女性が、
「見捨てないでね。」
とか言い出したかと思えば、
「みんなあげて尽くしたのになんで捨てた?」
なんてことを言う。と思えば、
「あなたのために生まれてきたの。」
とか言って、恥じらって小指をからませてくるとか…なんか出てくる女性がおかしくありません?…ジェンダー問題に敏感な人が読んだらピキってきちゃそうですよね。しかもこの歌詞を書いている人は原則としておっさんなんですよ。それがキモい。なんなんだ? おっさん(とはいえまぁこれらの作品を作った当時のみなさんは今の自分より年下のみなさんでしょうけど)の願望なのか? こういう女性にすがられてみたいのか? で、それを無碍にしてみたいのか?…いや、今や自分も立派な…いや立派じゃない…ただの小市民的なおっさんだけど、こんなこと思ったこともないけどw ああそうか、自分みたいな小市民的なおっさんじゃなくて、金持っててちょっといい男風を気取ってるおっさんがこういうことを考えるのかな? またはそれに憧れている小市民とか? いずれにしても気持ち悪いなぁ…まぁこういう歌が売れたということは、世間にもそういう空気があったということなんだろうけどね…って、この時代(おおよそ自分の親世代)の女性ってこんなだったか? うちのお袋なんてこういうのの真逆って感じだけどなぁ…超気が強くて絶対譲らないし自分が悪くても謝らないしやり合えばむしろ親父に勝っちゃうし…あ…だからこの時代のオヤジたちはこういう女性像を歌にして憧れたってことか?…中二か? 童貞か? なんか考えれば考えるほど寒いなぁ。
まぁ単に私がモテなくて、こういう女性にお逢いしたことがないだけかもしれませんけどねw
とにかくまぁ時代的な価値感が違うので一概にNGとは言わないけど、こういう歌があって、しかもそれがバカ売れしていたということは文化史としてもけっこう面白い事実なわけで、こういった感覚が今の時代にどのようにつながっているのかなんてことを考えるのも面白いかもしれないですね。例えば世代間における考え方の差を考える際にはとても参考になるかもしれないしね。
なんて…自分はすっかり今の時代側の人間であるかのように書いてるけど、実はこういう歌が流行っていた当時の自分は、まだ子供だったけど一応リアルタイムなんだけどね…でも気持ち悪いと思うわぁ…てか演歌は「津軽海峡冬景色」あたりが一番好きだなぁ…こういう気持ちの悪い描写もないしね。
あなたはいかがですか?
あ…こういう描写って演歌だけのものかな? ひょっとしてフォークとかにもあるのか? 調べてみても面白いかも…いや…少なくともこのランキングに入っているポップスやロックな曲にはそういう描写はなさそうだよなぁ。フォーク系は長渕剛の「とんぼ」と松山千春の「長い夜」あたりか…いや、そういう描写はないよなぁ。と考えるとやっぱり演歌に独特のものなのかもなぁ…やっぱ…きっしょっ。
※ちなみに写真は栃木県日光の中禅寺湖畔の駐車場で撮影した一枚。
湖がいい感じで靄っていて、その湖水面の中央に一艘船が出ていて釣りかなにかしているようでした。ふと、この方が三角の編笠なんて被ってたらもっと雰囲気出るなぁとか、この船が手漕ぎだったらもっと雰囲気出るなぁ…なんて勝手なことを思いつつシャッターを切ったことを思い出します。
いや、ちょっと今回の「演歌」というテーマに合いそうかなと思ってw
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 50D + Sigma 70-300mm F4-5.6 APO DG
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