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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくてできればですが…名前は変えない方がいいですよというお話〜名前とブランディング

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者


1966年、栃木県生まれ。

株...

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 時々なんですが、私たちが運営するサイト「Spinart(スピナート)」のアーティスト紹介ページに掲載いただいているアーティストさんの中から、掲載しているご自身の情報の修正・更新の依頼の中で、アーティスト名そのものを修正してほしいという時があります。
 いやまぁね、変えるには変えるだけの事情があるんだろうとは思うんですけどね、でも…ブランディングやプロモーション的には、できれば変えない方がいいんだけどなぁと毎度思うんですよ。もちろん、そうしたリスクを分かった上でね、それでもなんらかの事情があって変えたいという場合はやむを得ないとは思うんですが、中には2度3度変える方もいますし、一度別の名前にして、再度元の名前にもどしたりなんていう方もいて、そんな時はちょっと、自分のブランディング等の方針がブレまくってるのかなぁなんて心配になったりします。

 ではなぜ変えない方がいいのか。まぁこんなことはあえて言われなくてもみなさんお分かりとは思いますが、要は、記号としての名前が変わることで発見される可能性がだいぶ大きめのダメージを負うってことですよね。
 だって、一度ある程度使用して、その期間の活動にかけた労力や時間、プロモーションにかけた労力や時間またはお金、等々が、改名によってその対象がまるで違うものになってしまいますから、つまりはほぼドブに捨てるようなことにもなるということですね。で、新しい名前の認知を広げるためにまた同じように労力や時間またはお金がかかると。

 そりゃあね、元の名前がめちゃくちゃ読みにくい漢字だったり、ありがち過ぎて例えば検索された時に他の方も大量に出てきて自分にたどり着いてもらえないなんて場合もあるので、改名によって明らかなメリットが得られる場合もあると言えばありますが(この2例のケースの場合は、そもそも最初のブランディングに失敗しているということになりますので、まぁ、そのリカバリーをしているということになりますね)、まぁ、これなら理由としてはだいぶちゃんとしてる方かなとは思います。

 でもなぁ…きっとどんなにそのデメリットを話したところで、変えたくなっちゃうともうどうしようもなくなっちゃうっていう気持ちも分からなくはないんですけどねぇ。なにせ名前というのは自分自身そのものを表すことが多いので、そこに違和感を感じ始めると、もう気持ち悪くて仕方ないみたいになるんでしょうしねぇ。
 ということで、それじゃあ、もうどうしても変えたいという時はどんなふうに考えるといいのか、なんてことを考えてみましょう。

 まず、前の名前より優れていなければ意味がありませんね。では優れているとはどういうことでしょう。

 例えば、他の人と被りまくってて、(さっきも書きましたが)ネット上で検索すると他の人がたくさん出てきて、自分にたどり着いてもらいにくいなんていう名前は完璧NGと思います。
 いやね、自分を隠したいなら別ですよ。埋もれていたいというならそれもいいでしょう。まぁだったらそもそもプロモーションもへったくれもないので、まぁお好きにどうぞということになりますが、一応それなりに創作活動をしていて、表現していて、その作品をできるだけ多くの方に知って欲しくて、できれば記憶の残して欲しくて、もっと願わくばファンとしてリピーターになってほしいなぁなんてことを思っているのであれば、他の方と被りまくってて選別されにくい名前はアウトですよね。
 まぁ例えば苗字を外して下の名前だけにするとか、名前をローマ字表記するとか、簡素化していけばいくほど、他者と被る可能性が増えていくということになります。
 それでも日本語というのは表現バリエーションの多彩な言語ですから、下の名前だけにしたとしても、ひらがな、カタカナ、一部漢字、一部欧文、一部数字、等々を組み合わせたりすることで、だいぶ個性的に見える表記は可能になるとは思いますので、もしどうしてもやりたいという場合は、こんな方法も考えてみてはいかがでしょう。
 そうそう、前もどこかの記事で書きましたが「Ku」を「Qu」とか「オ」を「ヲ」みたいに置き換えて、より個性的に表記する工夫も有効と思います。

 加えて、その音や表記から、その人自身、または作品の方向性等々をイメージさせることができたら、それはさらにいいですよね。
 この手のネーミングを活用されている方もけっこういますよね。例えば宝塚なんかに多いかもですね。柚香光(これで「れい」って読むらしいですね;;;)、星風まどか、珠城りょう、美園さくら…ちょっと見ただけで華やかそうな名前がじゃんじゃん出てきます。そしてそれは、宝塚のブランディングにバッチリハマってますよね…まぁ、読みにくいのはちょっとどうかなぁとかは思ったりしますけど、読みにくい名前を完璧に覚えていることでファンに別の喜びを与えることにはつながるので、めっちゃくちゃ忠誠心の高いファンがいる宝塚としては、むしろ有効な手法なのかもしれませんね。
 もちろんこれは、みんなで宝塚みたいな名前をつけましょうねと言っているのではなく、表現したいもののブランディング戦術の一つとして、それに合った、可能であればそれを増幅させる名前を適宜ちゃんと考えてつけましょうねというお話しです。
 そうだな…これを実現するためには最低限、その名前が、その名前だけでなんらかのイメージを相手に呼び起こす可能性を持っているものであることが必要かもしれませんね。つまり、平易であればあるほど、要は普通だからなんのイメージも想起してもらえずスルーされると、いうことになるかもと思います。

 そうそう、一発で読めなかったり、複雑すぎて覚えにくい名前もちょっと難しいですね。
 上記の宝塚の例のように、ファンの忠誠心がべらぼうに高い場合は有効に働きますが、そうでない場合多くは、そのままきっと忘れられます。なんて読むんだろう、ああそう読むのか、じゃあ覚えておこう…なんてことは今時誰もしてくれません。ちょっとでも面倒が多いことはすぐにスルーされる。文化的にどうなのとは思いますが、まぁそういう世の中なんだよなぁとは思います。
 ただしそこにバックストーリー的なものが組み合わされると話は変わってきます。それは単なる難解かつ面倒な記号ではなく、新たな知識や他人に話したくなるネタというものに変わり、同時にその物語と一緒に覚えていただけることで、相手に忘れられにくくなるという効果も生み出すからですね。
 なのでやたらと凝った難しめの名前をつけたいあなた。是非一緒にバックストーリーを考えてください。そしてはじめのうちはそれをいつでも一緒に表明するようにすることで、相手に理解していただける可能性や覚えていただける可能性が段違いになると思います。
 そうしたことをする場所としては、オフィシャルサイトが一番いいでしょうけど、私たち「Spinart(スピナート)」の「アーティストの主張」コーナーもなかなかいいと思いますので、是非ご検討いただければと思います。
アーティストの主張詳細はこちら

 あとこれはちょっと方向性の違う話かもしれませんが、それまでの自分とはまるで関係のない名前にするなんてのもだいぶリスキーです。だってイメージがねぇ、なかなか同一化できないでしょ? 人ってどうしても前のイメージを引き釣りますしね。
 これの失敗事例としては…そうだな、最初「新加勢大周」として出てきた方が、すったもんだの挙句「坂本一世」という名前に落ち着いたけど、結局世間はその名前を覚えてなくて、未だに「新加勢大周」で記憶されている…なんて感じかな…え? なんだそれって? 事例が古すぎて分からない? ですよね〜。まぁ、芸能ニュースとしてはかなりメジャーなものなので是非ググってみてください。
 逆に成功例は「のん」さんですかね。改名の手法としては最悪に近いと思ったんですが、今やもうすっかり定着して、日本国内の「のん」ブランドの最上位にいますもんね。そして元の「能年玲奈」という名前もしっかりそのまま紐づいているから、実に強くなっていると思います(「能年玲奈」という名前がまた超個性的だからより一層強いとも思います)。
 では彼女はなぜ成功したのか…そりゃあ〜た、彼女のとてつもなく素晴らしい演技力やキャラクターによって、名前を完璧に超えられるような強烈なインパクトを与えることができてるから以外のなにものでもないと…思うんですがいかがでしょう。だって、映画「この世界の片隅に」での声の演技のものすごさ、分かりますでしょ。つまり、彼女というコンテンツが、ネーミングによるブランディングよりもはるかに強烈で、だから名前がまるっきり変わっても、逆にそれが一つのプロモーションにさえなったという、めちゃくちゃ稀有な例だけど、しかしやっぱりコンテンツ・ファーストの大原則は、どんな場面でも生きてるなぁと思わされる事例でもありますね。
 そういえば昔いたジョン・クーガー・メレンキャンプというアメリカのロック・シンガーも、最初「ジョン・クーガー」でデビューして売れて、しかし本名の「メレンキャンプ」と自分の中でめちゃくちゃギャップを感じるとかで「メレンキャンプ」にしたいって言ったら許されず、間を取って「ジョン・クーガー・メレンキャンプ」になったなんて話があったなぁ…え? 今は「ジョン・メレンキャンプ」なんだ?(by Wiki) へぇ〜望み叶ったじゃん。でもそうなったことを自分は知らなかったし、未だに「ジョン・クーガー・メレンキャンプ」で覚えてるし、そもそもWikiの冒頭記事で改名のことが書かれるって、アーティスト的にはうれしくないよなぁとかも思ったりして…まぁ改名ってなかなか難しいなとこんなことからも思ったりしますなぁ。

 ということでまた長くなってしまいましたが、要は、できれば名前は変えない方がいいですよというお話と、変えるなら、ちゃんと考えて変えましょうねというお話しでした。  ちゃんと考えていればさ、2度も3度も名前を変えたり、一度変えた名前を元の名前にもどすなんていう、言わば迷走めいたこともだいぶ減るでしょうと…これが減れば、その都度ブランディングが受けるダメージも減らすことができますしね、ちゃんと考えていれば、そのダメージを超えるメリットを得ることも可能ですので、つまり、変えるならちゃんと考えた方がいいというお話になる次第です。

 とか言いつつね、自分も長らく「紫水勇太郎」なんて名前で活動してて(音楽だけじゃなくてその他の仕事とかも)、一旦音楽活動をやめた後一旦すべてを本名にもどしてみたもののしっくり来なくて、さらにカタカナ表記にしてみたものの音楽活動を再開するとなるとやはり「紫水勇太郎」というかつて使っていた名前の方が都合が良くて、でも本名でも何冊も本を出版してたりして、まぁあちこちに自分のブレまくった状態が残ってるというのは正直なところで、ま、自分の反省も踏まえて思うことでもあるという次第でございます…トホホですなぁ。

※写真は、福島県白河市にある鹿嶋神社そばにあるアートまなべさんに飾られていたまなべさん自作の照明を撮影したもの。
こういう光を見るとやっぱり宇宙のことを考えます。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 6D + EF24-70mm F2.8L II USM

「Spinart(スピナート)」では、活動・運営・ブランディング・プロモーション等相談も受け付けています。
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