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Logo Markなにか創るとうれしくてエヴァTV版やドラマ「SPEC」で体験する楽曲アレンジの違い

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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「曲作りってそのアレンジが大切だよね。」
 …なんて話は、曲作りをしたことがある人ならきっと一度はどこかで聞いたことがあるだろうし、真面目にバンド・アレンジ等をしっかり作り込んで考えたことがある人なら実感としてもかなりあるだろうと思う。実際自分の子供の頃のような昔の時代は、作詞者は歌詞だけを作り、作曲者はそこに乗せるメロディーだけを作り、楽曲のアレンジはまた別の人がいる(「編曲」なんていう名称でクレジットされてたり)なんていうのが普通だった頃もあるし(ジャンルによっては今もこんな感じかもしれない)、しかしその「編曲」の人によって作られたとてつもなく印象的なイントロありきで覚えているような曲もあるから(例えば久保田早紀の「異邦人」とかジュディ・オングが歌っていた 「魅せられて」あたりをすぐに思い出したりするけど…古すぎですかねw)、その重要性はきっとなんとなくお分かりいただけるかなとは思う。

 しかしこのアレンジという奴、やり始めると本当にキリがないと思えるいわゆる「沼」で、
「これがいいね!」
「これが最高!」
…なんて思えるまでにはだいぶいろいろと試すことにはなるんだけれども、実のところその無数に考えられそうなそれぞれのヴァージョンを、並べて聞いてみるなんてことはなかなかできなかったりする…まぁ今はDTMの進化によって、昔よりははるかに簡単に、いわゆる試してみるということができるようになったけれども、それでも音を組み合わせて積み上げたり削ったりという過程にはそれなりに脳のブドウ糖を消費するから、結局ぐったりしてそれほど多くのパターンは試せてなかったりすることが多いのが現状だったりする。
 ところがこれを並べて聞かせてくれるという…それも地上波のテレビで…というすごい機会があって、思わず興奮したということがあったので、今回はそのお話…っていうかまだ前振りだったんかい。

 その一つがあの超有名アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」テレビ版を見た時だった…いや正直最初は全然興味がなくて見てなかったんだけど、その頃お世話になっていたライヴハウスの方が、
「あのアニメはクリムゾン・シャア(当時やってたバンドの名前ね)の世界観に通じるものがあるから絶対見た方がいい。」
…なんて言うから見てみたという次第…で、まんまとハマったとw
 エヴァンゲリオンTV版と言えば今でもカラオケでランキングの上位に必ず入ってくる名曲「残酷な天使のテーゼ」が有名だけれど、実はこの時引き込まれたのはエンディングに使用されていた「Fly Me to the Moon」 だった。まぁこれも多くの方が知っているであろう名曲中の名曲なんだけれども、それがなんと毎回違うアレンジで流れるのだ。ある回は耳馴染みのあるスタンダード風、ある回はボサっぽく、ある回はちょっとテクノっぽかったり、いきなりインストになったり、歌っている声も何種類かあるようだし、当時は、
「うわぁ〜、こんな面倒くさいことをよくやったなぁ。」
と思ったものだった。エヴァンゲリオンのTV版はきっと今でもいろいろなメディアで見ることができると思うので、是非探して見てみてほしいんだけれども、ネットで調べてみるとなんでも全26話で14パターンもあったんだそうな。すごいね〜。
『エヴァ』のED曲「Fly Me to the Moon」 なぜ何パターンもあったのか? 様々なナゾを解く
 そして改めて思ったものだった。同じ楽曲なのにこんなに印象が違うものかねと。そして今回はどんな「Fly Me to the Moon」 が聞けるんだろうと、本編の面白さももちろんだけれども、かなり毎回楽しみにしていたものだった(後にビデオ録画してエンディングだけ繰り返し見たりもしたっけなぁ)。

 そしてもう一つ、そのエヴァから約20年も経った頃だろうか、TBSで放映されたドラマ「SPEC」のオープニング楽曲THE RiCECOOKERS「波のゆくさき」でまた同じようにびっくりすることになる。
 この曲、イントロのギターの、休符を上手く使ったリフが好きで、それだけでも充分に印象的な曲なんだけれども、テレビ放送時の10話すべてでアレンジが違うのに驚く。例えばアコースティックっぽかったかと思うとレッチリみたいに激しかったり、日本語の時が多いけど英語のヴァージョンがあったり、アカペラっぽいアレンジがあったり、まぁ一つの曲でよくもまぁこれだけいろいろ作ったもんだなぁとやはり驚いたものだった。だってさ、同じ曲をベースに10個もパターンを作れって言われたらけっこう途中で行き詰まりそうじゃない? しかもエヴァと違って演奏はもちろんTHE RiCECOOKERSのみなさんご自身がやっているから例えば歌は(それでもいろいろな歌い方を聞かせてくれてるけど)やはり一人の声になったりするし、なんでもかんでも自由自在っていうわけでもないだろうと思ったりするわけだなこれが。
 しかし見事に全部違うアレンジで、しかもどれも見事にかっこよくて、あまりにかっこいいから当時は思わずここからパクって数曲作ったろうかとか本当に思ってたくらいで…途中でそんなことを考えた自分が恥ずかしくなってやめたけどw…まぁこれも続けて聞いたりすると、楽曲アレンジの奥深さを本当に実感できる稀有で素晴らしい機会になったりする。
SPEC零/音楽

 ということでみなさんも是非聞いてみてください。今回挙げた二つの事例は、曲作りをしたことのない方でもその違いを聞き比べて楽しめる本当に珍しい例と思いますし、また両方とも本当に高度で工夫を凝らしていて単純に聞いていて楽しめる上に曲作りに興味のある方には刺激になること間違いなしと思います。

 あ…そうそう…まぁここからは超蛇足ねw 紫水勇太郎さん関連でもあるにはあるなぁ。
 アコースティック・ユニット「居待月」としてリリースした作品「月下楽酌」に収録されている「らくえん」や「月光浴」、「たいおん」といった楽曲は、後にソロ名義でリリースした作品「99.9%」や「99.99%」、「Remaked」の収録曲としてアレンジ違いの曲として聞いていただくことができます。
 「居待月」というユニットは原則としてナイロン6弦ギターとスチール12弦ギターが鳴っている上で歌っているというユニットだったので、比較的シンプルにアコギを組み合わせたというアレンジなんですが、ソロ名義の方ではフル打ち込みなので展開から変えちゃったり、ピアノメインにしてみたり、エレキギターの音をオーケストラみたいな発想で重ねてみたり…まぁ自分で弾かなくていい気楽さから好き放題してます。さらに「Remaked」ではサウンド・スタジオ音庵(ねいおり)のたなかまさや。氏とのコラボということで、「99.99%」で収録した「たいおん」をそのままミックスだけしなおしていただいたというヴァージョンを聞き比べていただくこともできるので、もしご興味のある方はどうぞ…なんて、こんなものを聞くくらいなら、今回紹介したエヴァのエンディングや「SPEC」のオープニングを聞く方が何兆倍も役に立つと思うので、まずは絶対にそちらをお聞きください。紫水のはね、紫水がバカなことやってるわぁとお笑いいただくネタとしてお楽しみいただければと思います…いやマジでw

※ちなみに写真は雨の日に自分の車のフロントガラスから空を見上げて撮った写真。
 写真って、ついピントやら露出やらをちゃんとしようなんて思いがちだけど、時にはこんな、何が写ってるんだか分からないような写真もいいなと思ってみたり…とはいえ、ぼかしたりしてもちゃんといいなと思える被写体や状況って、なかなか出逢えないようにも思うけど…単に自分がそれに気づいていないだけという可能性も高いかも? そう考えるとやはり、何気なく見る周囲の風景にさえちゃんと感受性を持つことって、大切だよなぁと思い直してみたり。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 50D + Sigma 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / EX DC

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