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Logo MarkThe Great Journey“リズムの間”を支配する

沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
埼玉県出身。
血液型:B型。
LINX / 元THE POWERNUDE のドラマー。
パー...

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只今、メインで活動していますLINXの最新MV。
公開から約5ヵ月程になりますが、おかげさまで20万回再生を超えました!!
視聴や拡散など…力を貸してくれた皆さまに感謝します。
何より、今回はYouTubeページへのコメントも多かったのが、嬉しかったです。
このMVでLINXのことを知った方や、THE POWERNUDEのリスナーさんだったのかな?的な方々からも、たくさんのコメントを頂きました。
まぁ、YouTubeの数字を他の数字に繋げていくのは、なかなか簡単ではありませんが、少なくとも楽曲や映像をある程度は評価して頂けたのかな…という部分は素直に自信にしていきたいなと思います。

さて! 今回は、リズムについて少し語りたいなと。
ただ、あくまで自分のこれまでの経験による視点ですので、決して絶対的なものではありませんが…。
若い頃は、手数に憧れてかなり好き勝手にプレイしていた時期もありましたが、森川さんと出会い、THE POWERNUDEで共に活動するようになって、改めてリズムの重要さを叩きこまれました。
と、同時に自分のリズムの弱さを痛感する日々で、前々回のコラムでも少し触れましたが、初期の時代はホントによく怒られていましたね(笑)。
特にMIX作業なんかでは、同じ箇所を何度もリピートして確認する作業がありますが、それが尽く自分のリズムがよれている部分だったりして(笑)、再生されるたびに、“お前のリズム、何とかならんのか(怒)!!”と。
さすがに、この頃には自分の弱点も痛いほど認識していましたので、じゃ~それをどう克服していこうか?と。 いつかは認めさせてやろう!と、怒られる悔しさをバネにしつつ(笑)、リズムのことばかり考えていた気がします。

そんな流れで、いつしか自分が生き残るにはどんなスタイルを確立したらいいんだろうか?と。
手数に関しては、既にモノ凄い人がたくさんいるし、そこで勝負しても難しい。
更に、自分のキャラ的に、ステージングで前に出るタイプでもないなと。
ならば、職人ドラマー並みにタイトなビートを徹底的に磨いて、自分らしいグルーヴ(リズム)と音色を作り上げよう!と思ったんです。
それと、ただ闇雲にやっても結果は出ませんから、そんなコトを常に意識しながら練習をしていました。
その当時、特に意識していたのが、如何にクリックを支配するか、そしてカラダのどの部分をリズムのガイドにするか…。
そんな試行錯誤を重ねて数年が経ち、THE POWERNUDEの5枚目のアルバムのレコーディングでした。
レコーディング前の準備リハの段階で、もしかしてこの感覚?みたいなモノは徐々に感じていたのですが、グッ!と集中する録り本番で、ようやく“リズムの間”がハッキリ見えた気がしたんです。
それまでの自分のイメージでは、クリックの音は小さな点でしかなく、クリックとクリックの間もとても狭く感じていました。
ところが、それが大きな点に見えるようになり、且つクリックとクリックの間ってこんなに時間があったんだ…と。
これまでに感じたコトのない“音符と音符の間”を感じ取るコトが出来るように。
この感覚を掴むまでは、例えばレコーディングに於いては、森川さんのOK!のジャッジが、自身のゴールになっていましたが、ようやく森川さんのOK!ジャッジを保留して、より精度の高いテイクを残せるようになり、それ以降のレコーディングでは、最終的に使うテイクの選択を任せて貰えるようになりました。

よくクリックに合わせる…という表現がありますが、自分的にはクリックに合わせるんじゃなくて、“自分の間にクリックを呼び込む”という感覚ですね。
クリックに聴感上だけでなく波形上でもビッタシ合わせるのは、厳密に言うと人間では無理なんです。
まぐれで何発か合うコトはあっても、機械のジャストと、人間のリズムのジャストでは、音符の幅が全然違いますからね。
要は、クリックの1音を大きな丸だと考えて、そのど真ん中に当てる必要はなく、その丸の範囲に収まっていれば、正しいリズムの範囲内なんだと思います。
で、自分の叩いた音が、丸の中のどの位置かによって、前ノリ・後ノリの違いがあり、この丸の中の位置が、叩く度に前後してしまうと、つまりそれがリズムの揺れになってしまうワケです。
なので、例えば叩いた位置が丸のギリギリ端っこだったとしても、それが安定してその位置にきていれば、気持ちいい人間のグルーヴになるんですね。

今も、ライヴの本番以外は常にクリックを使用していますが、バンドの音に消されないよう大きな音で鳴らしているものの、聴きながら叩くという意識はなく、アタマの後ろの方にクリック音を置いているという感覚ですかね。
で、自分のリズムが悪い時は、そのクリック音が気になって気持ちよく叩けないので、その辺りで調子や状態の良し悪しを判断しています。
クリックに支配されずに、あくまでも脱線しないためのガイド的な感覚で使う…。
つまりクリックを支配するコトが出来れば、リズムは必ず安定してきます。

余談ですが…、
Motley Crueの“Dr.Feelgood”が大ヒットした頃や、メタリカのブラックアルバムがヒットした頃なんかに、“オレはクリックは使わない! タメを重視するんだ”と勘違いするドラマーがチラホラいましたが、それは単にリズムがモタっているだけ…なパターンが大半だったりしました。
まぁラーズはさておき(笑)、Tommy Leeはリズム感が抜群にいいですからね。
でなきゃ、あんなに気持ちいいビートは叩けません。
シンプルなビートほど、“間”が安定しないと気持ち良く叩けないです。
というコトで、クリックを自分のモノにするまでのお話しでした。
カラダのどの部分をリズムのガイドにするかは、後編として次回に書きたいと思います。


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沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
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