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Logo MarkThe Great JourneyNYブロードウェイミュージカル“WITHOUT YOU”全ての瞬間が宝物のような時間でした!!

沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
埼玉県出身。
血液型:B型。
LINX / 元THE POWERNUDE のドラマー。
パー...

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3月3日からスタートしたNYブロードウェイミュージカル“WITHOUT YOU”。
16・17日の大阪4公演も感動的なステージで、無事に全日程を終えました。
大阪の会場、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティも素晴らしい劇場でした。
大阪へ着いてすぐにドラムのセッティングのため、他のメンバーに先立ち、会場入りしたのですが、あまりに広いので楽屋からステージへ行くのに迷子になって、スタッフさんに連れて行って貰ったという…。
土曜日の公演後には、Danの呼びかけで、バンドメンバー、コーディネーターさん、通訳スタッフさんで、食事会を開いて頂き本当に楽しかった!!
Danのバンマスとしての立ち振る舞いや、メンバーを鼓舞するひと声、優しさと厳しさのバランスも完璧で、まさにBig Bossだなと。
そういう一挙手一投足を見させて貰って、全てが勉強になりました。


■ 叩きながら涙してしまうストーリーとAnthonyの表現力

さて、この“WITHOUT YOU”。
Anthonyの自伝を舞台化したワンマンミュージカルなのですが、ストーリーの後半に彼のお母さんが亡くなった時のエピソードもあります。
このシーンになると、お客さんがすすり泣く声がステージにも聴こえるくらい、多くの方が涙していました。
Anthonyのお母さんとは、具体的な内容までは同じではないですが、我々も2022年の夏、1ヶ月の間に2人の母を亡くして、それを乗り越えてきた経緯があるだけに、仕事としてクールに徹しようとしても、感情が溢れてきてしまいまして…。
特に、結果的に自分が母親と最後に会った際の別れ際の光景や、亡くなった母親に最初に対面した時の衝撃が、このミュージカルでの(Anthonyのお母さんとの)別れのシーンに演奏する曲の歌詞とリンクし過ぎちゃって、それがAnthonyの表現力の凄さと相まって、どうしてもウルウルしてしまう。
曲名で言うと“Visits To You”や、“That Is Not You”のあたりですね。
この2曲は、リアルに泣きながら叩いてました。
ホントに鼻をかみたかった…(^^;
とは言え、やはり仕事ですので、プレイには影響を来たさないようにはしましたが、そのメンタルの持っていき方は、本当に難しかったです。
自分のバンドでは、自然と気持ちを込めてプレイしていますが、仕事の演奏でもこんなに自分の人生とリンクして、感情を込められたのは初めて。
そんな素晴らしい作品に関われたコト、そのチームの一員として参加出来たコトが、本当に嬉しかったし、幸せな時間でした。
この仕事のきっかけをくれたルイスや、自分を選んでくれたDanをはじめ、この機会の全てに感謝の気持ちで一杯です。


■ 事前準備は徹底的に…

WITHOUT YOUの中で、ドラマーとして心掛けていたコトや大切にしていたコトが幾つかありました。
参加が正式決定してから、アメリカチームとの合流まで、自分に出来る準備は徹底的にやりました。
まずは、当たり前のコトですが、譜面50枚以上に及ぶ演奏を1ヶ月で全て覚えました。
ジムでのトレーニング中が、何気に一番集中して聴けたので、この時間は曲覚えのメインの時間でした。
90分間、同じ曲をひたすらリピートして聴いたり…。
あとは、電車移動中、トイレ(笑)、風呂…WITHOUT YOUを生活の中に完全に取り込んでいました。


■ ドラマーとして心掛けていたコト

ドラマーとして、自分のパートを正確に安定して演奏するというのが大前提での話しですが…。
自分が心掛けていた1つに、“アメリカチームのアーティストだけでなく、本来のWITHOUT YOUを知っている方々が違和感なく楽しめるよう忠実に再現する”というコト。
なので、曲を覚えるのと並行して、資料の映像を何度も何度も観たり、本国のドラマー・Jerryのプレイもたくさんチェックしました。
DanやLeeの普段の活動や経歴なども拝見したし、とにかくWITHOUT YOUで知りうる情報は片っ端からチェックしました。

更に!公演本番を迎えた後は、ステージ毎に自分なりにブラッシュアップしていくというコト。
中には、自分が苦手とするリズムも幾つかあったし、本番で少しミスをしてしまったところもありましたが、とにかく消極的になって守りに入らないコト。
これは、特に心掛けていました。
確かに、同じミスをしてしまうと周りからの信頼も得られないし、またミスしてしまったら…という不安も、当然あるにはありましたが、そこでもチャレンジするようにしました。
ラストのソロ回しもしかり。
結果、公演の後半には苦手箇所もほぼ克服出来ていたし、より自信を持ってステージに立てた気がしますね。


■ Anthonyの歌に寄り添ってドラムを叩く

ステージで心掛けていた1つが、Anthonyの歌に寄り添ってドラムを叩くというコト。
Anthonyのセリフの間や、歌の安定感は凄いモノがありましたが、やはり生のミュージカルなので、その時々の感情によって、細かな間も違ってきます。
それを踏まえた上で、出来る限りAnthonyの歌にリズムを乗せていくコト。
Anthonyが気持ち良く歌えるように、時には一緒に歌いながら、彼の歌のアクセントやリズムにシンクロさせるようにしていました。
特に、“La Vie Boheme”“Another Day”“Seasons of Love”など…。
Danの指示するテンポに合わせた上で、Anthonyとのタイミングが少しズレたと感じたら瞬時に合わせるようにして、Anthonyの歌に寄り添っていくコトが、常に意識の真ん中にありましたね。
なので、曲のきっかけになる前後のセリフも全て覚えました。


■ コンディションの維持に全集中する

これまで、90分ものステージを、1日2回なんて…やったコトがないので、どんな感じなのか!?未知の領域でした。
体力面は思ったよりも問題なかったのですが、集中の維持は手強かった。
初めての1日2公演では、昼・夜と同じメンタルを維持する難しさを感じました。
で、公演を重ねるにつれ、カラダの疲労も徐々に溜まっていたので、昼公演と夜公演の合間や、公演を終えた帰宅後など…空き時間はコンディションの維持に集中しました。
今回、自分の関係者も何名か来て頂きましたが、家族以外はほとんど会わずに、次の公演の準備に…。
昼公演が終わったら、早めに食事を済ませて、スタッフさんが休憩している時間帯に、ステージでドラムのチューニングや消耗機材のチェックをしたり、気になったプレイの復習をしたり…。
コーヒーを買いに行く以外は外には出ず、楽屋にこもって休養の時間に…。
この辺りが、WITHOUT YOUに参加するにあたって、意識的に実践していたところかなと思います。


■ 再会の時を信じて…

公演を重ねる毎に、結束力が増すのを実感していたし、ミュージシャンとしては、プラスになる要素しかない素晴らしい機会だっただけに、旅の終わりを迎えた寂しさはありました。
でも、そこはきちんと受け入れて消化して、次へ進んで行こうかなと。
Anthonyをはじめ、DanやLeeとも、確かな友情が生まれたし、今後も連絡を取り合っていこうと言って頂きました。
実際、Danとは今も毎日のようにメッセンジャーでお喋りしていますし…(^^♪
WITHOUT YOUで、また日本に来てくれた時なのか、ステージではない場所なのか…自分にはわかりませんが、どんな形でもきっと再会の時が来ると信じて、その時を楽しみにしつつ、ドラマーとしてもっともっと成長していきたいなと思いますね。

最後に、帰国前にAnthonyからのメッセージが…。
特に、Anthonyとは、彼の喉に負担が掛からないようにと思って、いつも挨拶とほんの一言ニ言話すくらいだったんですよ。
自分の母親の死とWITHOUT YOUのストーリーがリンクしていて、いつも特別な感情でドラムを叩いてるよ…というのは、手紙にして渡していたし、ツーショットの写真を撮ったり、大好きな野球の話しをしたのも、最終日が初めてだったので。
DanやLeeほどは頻繁に会話するコトはなかったですね。
なので、尚のことビックリでした。
大まかには…“あなたのドラムに乗って歌うのが本当に楽しかった!そして、(カーテンコールの前に一度Anthonyだけステージから下がるところ)フィナーレでは、いつもステージ袖で、あなたのドラムを観るのが毎回のショーの楽しみの1つでした”と。
あまりに嬉しくて、コーディネーターの光行さんに知らせたら、“確かに!いつもステージ袖でリズムに合わせて踊ってたので、本心でしょう!”と返信がきたので、コレはそのまま受け取っちゃおうかなと(^^♪
ドラマー的には、自分のリズムで踊って貰えるってのが、ある意味最高の褒め言葉でもあるんで、素直に嬉しかったです。
そんな胸が熱くなる出来事もありました。

右上の写真は、いつもDanの指示確認用のモニター横に置いていた、セットリスト&アイテム台本。
曲は全て覚えたので譜面は使いませんでしたが、スティック、ロッド、ブラシ、シェーカーなど…曲によって目まぐるしくアイテムが変わるので、チョイスを間違えないために、台本を作ったのです。
あとは、公演を進める中でDanから貰ったアドバイスなどを書き込んだり…。
アイテムのチョイスを間違えると大変なコトになるので、ここはいつも入念に確認していました。
中には、右と左で別々の⇒ロッドとスティックとか、シェーカーとスティック…というパターンもあったので、このリストは命綱でした。

【LINX one-man live 2024】

6月8日(土)@高円寺 ShowBoat
ShowBoat・オフィシャルサイト
LINX one-man live 2024 “The Next Phase”

ACT:LINX
   Vocal:Miwa Saita(5X)
   Guitar:ZIN(THE POWERNUDE)
   Bass:Aki
   Drums:You Sawaki(ex.THE POWERNUDE)
   ※Support Member:Yasuhiko Tagawa
TIME:OPEN 18:30 / START 19:15
CHARGE:ADV ¥4,000-(D別) / DOOR ¥4,000-(D別)
   ※前売り・当日、共に同価格になります
TICKET INFO:Facebook記事でのコメントやMessenger、下記Official Websiteの“Mail”からも承っております。
   LINX・オフィシャルサイト

【Time Is Slippin' Away】Official Music Video 4K

2023年8月の公開から、21万回を超えました!
激アツにグルーヴするFunk Rockと、Soulfullなヴォーカルが絶妙に融合したSuper Funk Rock Tune!
これぞLINX独自の音空間“Hybrid Rock”の最強進化形!!
“Time Is Slippin' Away” Official Music Video!!
是非!ご視聴下さい。
Directed & Music Video Works : Kunihisa Kobayashi
Executive Producer : mk@jeepster

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