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Logo Mark 脳内伝言板 アートを生業にする 私なりの考察 2

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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私は成り行きでアートに出逢い、没頭していき、個展を開催してくれる方々と出逢いスタートを切った。当初オリジナルのアクセサリーを創っていたのでそれをネットで販売するのと個展やグループ展にて作品が売れたものとで生計をたてていた。大体4年間くらいはアクセサリーと彫刻などの作品の2本柱で生活していた。ところがネットの環境は凄いスピードで変化していく。片手間で出来る程、どの世界も甘くはない。色々な理由でネットのシステムを変えざるを得えないタイミングがあり、その時にアート作品の制作の方へ思い切って勢力を全振りすることにした。本当に先は真っ暗で手探り状態だった。ただ自分のやりたい方向はそちらに向いていることは多分誰が見ても一目瞭然だったと思う。何しろ頼まれもしなければ売れもしないだろうと思うようなものを衝動に任せて創り続けているのだから。

そんな感じでアクセサリーもそれから数年間は全く創らない時期もあった。それまでおこなっていた音楽活動(バンド)も、アートと出逢ってから4年程は、全くと言っていいほどしなかった。それがある時知人宅で行われた飲み会に行ったんだけれど、そこにデジュリドゥがあったことをきっかけに作品と楽器との融合が始まった。元々音楽が好きだったのだから思考が繋がった瞬間からそれはとめどなく溢れ出した。またちょうどそのころゴミ捨て場に捨てられた一本のギターとも出逢った。そうやってデジュリドゥを彫刻としてとらえたり、「壊れた楽器をオブジェに変え、不要になったもので楽器を創る」再生のムジカという一つの概念が私の中に宿ったのだ。これは私の作家人生の中でもとても大きな分岐点だったと思う。

その後、音が出る作品を色々と創り続けたり、ライブでも演奏したりしていく中で、音を使った自分のやりたい表現などが次第に浮き彫りになっていった。私は好きな音を創り、好みの音階を並べ、好きなリズムを刻み、音がうまれその音が音楽になる瞬間みたいなものに強く惹かれているという事に気が付いていった。だからソロでのライブに関しては様々な楽器を使いそういった演奏をしている。

もう一つ気が付いた事があるのだけれど、これまでも彫刻家が音が出る彫刻を創ったり、ミュージシャンが楽器を創ったりしているが、私の知る限り、彫刻家が創るそれはやはり彫刻であり、ミュージシャンが創るそれは楽器である。私の創るそれは音階(スケール)を取り入れていることが大きく意味を持ち、楽器としての側面と、彫刻としての両側面を持っているという特徴があると思っている。制作をしていると音程や音階を制御する段階が必ず来るのだけれども素材によって完璧にチューニングするものとそうでないものが生まれる。その判断はこれ以上手を加えると楽器になってしまうと感じるタイミングがあるのでそれ以上は創り込まない。私にとっての彫刻という概念は何かというと、これまでの経験から感じる私なりの感覚というしかない。空間と作品の関係性みたいなものなんだけれど、これは今のところ上手く言語化することは出来ない。ただこれまで出逢った彫刻家の大先輩たちや評論家、コレクターの方々の中で何人かが不思議そうに「君の作品はなんでか知らないが彫刻になっているんだよね。」というコメントを頂いている。これは私の感じている彫刻の概念を感じる人が他にもいるんだという答え合わせのような感じになったのだった。ある一部の人だけでも、共通認識を得られたことは自信にもつながったし、なにより迷いを消してくれた。今まで「自分ではこれでいいような気がする」みたいな感じだったのが「これ以上でも以下でもなく、これでいいんだ。」と自分の感覚を信じられるようになっていった。これは凄い大きなことだった。やはり恐れずに発表してみたり、様々な経験を積まないと見えてこないものが沢山あるという事を悟っていく。

そうはいっても、展覧会を開催しているといいこともあれば嫌な事もあったりする。そういった事があってもなんとか振りほどいて進むしかない。特に若い女性作家から心無いことを言われたと相談を受ける事が良くある。話を聞いてみるとその殆どが、的外れなことを言われて傷ついている。人は、どういった経歴の人からこう言う意見を頂いたから参考にしようとか分析をする前に、的外れだとしても心無い言葉に傷付くものだから。だからその度にそんなこと気にせずただただ自分の仕事をすればいいんじゃないかとエールを送っている。

アートを生業にする 私なりの考察 3へ続く

TOP写真作品は【白砂式音器・釘の音器】(シラスナ式オトキ・クギのオトキ)です。


アートを生業にする 私なりの考察 1
アートを生業にする 私なりの考察 2

「地図のない旅」白砂勝敏展@沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)

2025年11月29日〜2026年1月25日

若い頃、自分の道を探していた。それは真っ暗闇を手探りで進む感じだった。希望より不安に押しつぶされそうな毎日だった。それでも自分の気持ちに従い、納得いかない何かに抗い続けてきた。
それがいつしか先が見えない事の方が楽しくなっていった。そして振り返ると確かに道のようなものが出来ている。好奇心を原動力に、地図のない旅は今も続いている。
K.shirasuna

[ 作家在廊日 ]
11月29日、30日
12月7日、13日、14日、27日、28日
1月11日、12日、25日(1月18日多分在廊)

[ 「地図のない旅」白砂勝敏展 ]
期間:2025年11月29日〜2026年1月25日
   月曜休館(祝日の場合は火曜日)
   年末年始休館(12月29日〜1月3日)
時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人…200円 小中学生…100円
   ※沼津市内の小中学生は無料
会場:沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)
   〒410-0863
   静岡県沼津市本字下一丁田900-1
   Tel…055-952-8711
   オフィシャルサイト

白砂勝敏オフィシャルサイト

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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