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Logo Mark 脳内伝言板 アートを生業にする 私なりの考察 1

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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気が付けば今年も12月だ〜。2025年も沢山の人に支えられてなんとか生き延びることが出来た。2026年も皆さまよろしくお願いいたします。それにしても時間というのはあっという間に過ぎていくなぁ。

近年急に作家志望の若者に会う事が多くなってきた。これも私が年を取ってきたという証なのか。アートの世界ってどういう風になっているのかは、端から見たら全然わからない感じではないかと思う。現に私は35歳の時にアートの世界に飛び込んでしまったんだけれど、わからないことだらけだった。アート業界の大枠をざっくりした説明が出来る人と出逢う事もなく、実践から学ぶしかなかった。そもそも日本でアートで飯を食っている人なんてどれくらいいるのだろうか? 全く見当もつかなかった。またアートといっても色々な種類があるのでそういった事も解りにくい原因なのだろう。私のやっていることは現代アートやファインアート(純粋芸術)といったくくりと、そこに現代音楽を合わせ持った作品が入り込んでいると言う感じだろうか。

私の場合アートを始めて間もないころに、運よくファインアートで数十年生計を立てている方と出逢った。数は少ないけれどこういった事も可能なんだと知る事ができたのは私にとってとても大きかった。ただ自分に合った道は何なのか、またそれは何処にあるのか?もしないなら自力で道を創るしかないなぁとも思うようになっていった。
これまでアート業界にいて知り得た知識や自分の通ってきた道などつらつらと書いていこうと思う。ただあくまで私が観て聴いて感じたことなので正しいとか間違っているとかそういった意見もあるとは思うがそういったことも理解したうえで、参考になる人がいたらとても嬉しく思う。

私が初めてアートにあって知ったことの一つに、ギャラリーや美術館には企画展というものと貸しギャラリーというものが存在することを知った。企画というのは美術館やギャラリーのオーナーが企画してくれる展覧会で、場所代や広告費などもギャラリーの方で負担してくれる。そして売り上げの何割かを作家へバックしてくれるというもの。それに対して貸しギャラリーというのは自身で場所代などを払って借りて展覧会を行なう。場所によっては更に売り上げの何割かを支払ったり、借りるためにも審査みたいなものがあるところもあるようだ。

それと美術館や行政からの依頼の場合は表立って金額を付けて売ることはできないことも多々ある。ただその場合はギャラを頂けると言う感じが一般的だと思う。私の場合はお陰様でこれまで個展やグループ展等200回くらい開催してきたが総て企画展なので展示に際してお金がかかることは殆どない。それでも経費はかかるのでやはり作品が売れないとやっていく事は難しい。だが私の作品の特性上、売るために創っていないのに売れないとやっていけないという一見矛盾があるタイプの作家なんだろうなぁと感じている。これは結構大変なことなのだが、割り切ってしまえば、変に「媚びる」といった必要がないので自由に創作できる。売れるかどうかはやってみなければわからない。リスクは大きいが、そもそもやらなければ何も始まらない。

その他、日本には日展、国画会、新制作協会、二科会、春陽会など様々な会派と呼ばれる団体があり、その中で出世していくという道筋がある。これは六本木にある国立新美術館や東京都美術館で年に一度位の大きな公募展であり、出品料を払い現場に搬入する。そこでその会の会員による多数決での審査がありそれによって入選か落選かが決まる。入選すると期間中出品した作品が展示される。応募者も多いが展覧会への来場者数も数万人という大規模なものだし、運よく美術書などの記者の目に留まれば作品の写真や論評を掲載してもらえることもある。私は新制作協会に木彫刻を出品した時期が3年あった。その中で美術雑誌「美術の窓」の編集の方の目に留まり写真と論評を掲載してもらったことがある。あと普通にしていたら出会えないであろう有名な作家の方との出逢いや様々な経験を頂くことが出来た。こういう経験は独学の私にはとても大きな財産みたいなものになっている。新制作協会に出品している中で次第に私は個展で生計をたてるのが一番向いているのではないかという考えに行きつき、3年で出品するのをやめた。そこからしばらくは個展やグループ展での活動になっていった。

それ以外にコンペというか賞金の出る公募展に応募するといういわゆる賞金狙いというタイプの作家さんもいる。ただこれは近年賞金額がそれほど大きいものが少ないように感じるし、一度大賞をとるとその後は応募できないタイプのものが多い。以前聞いた話だと日本で色々受賞して出すところがなくなるとオーストラリアに行く流れがあったみたいだ。あと彫刻家は町や企業からの依頼やコンペで仕事をとっているのが主流のようだ。私は個展や発表する場が多かったのでこういった公募展に出品するタイミング合わなかったり、そもそも作品を出すカテゴリーがない事も多々あったりと、なかなか出品する機会が少なかった。
ある日先輩作家と話している時に、こういった公募展についての話になり、なるほどと思ったことがあった。それは50歳を過ぎたら出せる公募展は少なくなるし、そもそも50歳すぎたら審査員になる感じではないかということだった。確かに35歳以下とか40歳以下とか、そういう若手育成的なものを含んでいるものが多い。私の場合アート作品を制作し始めたのが35歳の時だったので、そういった理由でも出せないものが多かった。ただその先輩に言われてからは、チャンスがあったら出すようにしようと思うようになった。年に一つくらいは出品したいと思っているが今年も何も出さないままもう12月なのだけれど…。あと偶然なのか何なのか私は50歳の時に本当に審査員の依頼を受けた。これには少し驚いた。

あとコマーシャルギャラリーという海外などにも進出している凄い売るギャラリーと契約するというのが一番オーソドックスなスタイルなのかもしれない。これはそういったギャラリーに直接売り込んだり、紹介してもらったり様々なケースがあるのだろうけど、まぁそういったギャラリーの目に留まるということだ。これについても何人か契約している知人がいるが条件はバラバラなようなので良い条件で契約することが大切な感じなのだろう。私はこういった長期的に契約した事が無いので細かいことはわからない。

アートを生業にする 私なりの考察 2へ続く

写真作品は【水の記憶】です。


アートを生業にする 私なりの考察 1
アートを生業にする 私なりの考察 2

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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