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Logo Mark水彩画を描いている時交差点

村田收(ムラタオサム)

岡山を拠点に活動する水彩画家。

千葉市に生まれる。大阪府立大学経済学部卒業。
1987年 New York, Pratt Instituteに留学 Art St...

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「交差点」

神戸三宮の南側にある旧居留地。
昔外国の方が多く住まわれていた町。

いろんな歴史があるんだろうなあ…。

ここを歩いたのは2019年の1月。
今回の取材の三日目になって、やっと天気が良くなり、光と影が美しかった。
何気ない風景でも影がきれいに出ると、その影だけでもおもしろい。
壁や歩道に落ちた影は、アブストラクトで美しい。

丁度、歩道の信号が赤で目の前に人がポーズしてくれている。

でも、普通にこの写真をみてもあまり面白くないかもしれない。
単なる交差点の写真だし。

でも、水彩画にすると結構すばらしくなる…はず…かも…?

鉛筆で下書き

ホワイトワトソンという紙に2Bの鉛筆で、ぐいぐいと描いていく。
僕は一筆書きのように描くことが多い。

紙はいろいろと変えるけど、今回の紙は塗った後で Lift Out といって絵具を取り除くことが比較的簡単。

今回の下書きは写真に忠実にゆっくり描く。

時には、鉛筆の段階から、もっと大胆に自由に描くことも多い。

鉛筆の線を残して完成する場合がそうだが、鉛筆ラインを残さない予定。
とにかく、正しく描く。

1回目と2回目の塗り

(制作一日目)

今回は結構順調に進んで、一回塗り、そして明度が一段低い二回塗りと順調に進んだ。

紙の全体に水をたっぷり使い、絵具の自然なにじみを多用した。

絵具が紙の上に流れにじみが広がる。

色と色が混ざり合い、新しい色が現れる。

この時間が水彩画で一番好きな時。

にじみを自由に操れる魔法使いのようになりたい。

今回は順調に絵の大まかな仕上がりが見えてきた。

ここまで来ると、もう半分安心してあとは楽しい細かい部分になる。

細部の塗り

信号待ちの人物が3人。これがフォーカルポイント。
絵具がにじんでいるだけで訳が分からないようだけれど、人物(この舞台の役者達)が登場して物語が始まる。

真ん中の女性は金髪のようであるし、モデルなのかなあ?

右の女性はなんだか透明な感じだ。
生きているのか?

今回は、人物がうまくいったので、とてもうれいしい。

それから、左のビルのしたにある信号のところのにじみがとても印象的にできてくれた。

自然のにじみは水彩画の大きなメリットだ。

にじみはかなり他力本願的に見えるけど、じつは経験が大きくものをいっている。

他力本願ではないのだ。

ザッツザッツと素早く筆も進み完成したと思った。

大満足で筆を置く。

これ以上描くと絵がだめになりそうな臆病な気分になる。
水彩画は下手に描き進めると後戻りができない。色が濁ってしまうので重ね塗りがあまりできないからだ。
潔い撤退が肝心。

だが、本当にこれで完成か?
自分を信じてはいけない。
たぶん完成ではない…。

完成へ

二日目…。
朝、起きて、ちょっと臆病に絵を見る。
頭がリセットして客観的に絵を見ることができる。
やはり完成といっても良いだろう。

(動画編集)
そこで動画の編集にとりかかる。昨年からYouTubeで水彩画の制作過程をチャンネルでアップしているからだ。動画編集もだいたい終わりに近づいた。

(再度描画)
ところが、この段階になって、どうも完成した絵の静止画をみていると落ち着かなくなってきた。

もう少し、具象的にしよう。そう思って、編集作業をやめ人物などを中心に描きこみを勧めた。

うん。すごくよくなった。良かった。昨日完成したはずの絵も、こうしてバージョンアップできた。

毎回、絵を描く過程は同じではないので、いつまでたっても右往左往しているけれど、画家の日常の一コマでした。

Youtubeでこの制作風景の動画がご覧になれます。
水彩画・交差点・風景画の描き方[説明付]

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村田收(ムラタオサム)

岡山を拠点に活動する水彩画家。

千葉市に生まれる。大阪府立大学経済学部卒業。
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