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Logo Mark水彩画を描いている時水彩画の製作中に現れた少女たち

村田收(ムラタオサム)

岡山を拠点に活動する水彩画家。

千葉市に生まれる。大阪府立大学経済学部卒業。
1987年 New York, Pratt Instituteに留学 Art St...

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モデルなし、資料写真なしで人物を描くことが時々ある。
今回もそんな感じで準備もなしに描き始めた。

絵を描くことは、モデルや風景をコピーしているように見えるかもしれない。
でも、本当は自分の魂の奥底にある風景や人物の記憶を描いている。
モデルや資料写真がない時は、なおさら自分の魂の記憶を描くことになる。

それは瞑想のようなもの。

自分の魂が元々いた異次元の存在を描く作業。

今回の紙は手頃なスケッチブック。
構図や色の構成など前もって知的に考えず、とにかく気軽に描き始める。

少し描き進めると、だんだんと一人目の女性が姿を現してきた。

一人目の少女

シンプルだが絵の具を重ねていないので色が鮮やかで美しい。
にじみも綺麗だ。

これで、仕上がりにしよう!?
仮のサインを鉛筆で描いた。

でも、なんとなく満足感がない。
…つまらない。
ありきたり?

つまりは魂の絵になっていない。
何となく綺麗で洒落た絵ではあるが。

しかし、これ以上筆を入れると、爽やかな純色が失われる。
そこが水彩画の面白いが難しいところ。

やっぱりもう少し描き加えよう。

背景に色をいれて、もっと深い絵にしよう。

描き進めていくと最初に現れた少女は、目がなれてくると、案の定、あまり魅力を感じなくなってきた。
かなりの部分、絵具を落とした。

そうして彼女は消え、顔の形もボンヤリしてしまった。

さようなら…。

もう一度、鉛筆で形を取り直す。

新しい気持ちで絵の具をのせていく。

二人目の少女が現れてきた。

二人目の少女

一人目とはだいぶ顔の造作も違うし、性格も違うようだ。
少しあっけらかんとした性格?

髪もウエーブがかかっていて、年齢も低い感じ。
この子には白いビクトリアンのレースっぽいドレスが似合いそうだ。

それなりに完成に近づいている気もするが、この少女にも消えていく。

一体、何を求めているのだろうか。

昔の画家の逸話で、素晴らしいモデルに出会ったおかげで、有名になったという話を聞く。
そのモデルは画家のミューズと言われる。

僕にはそんなミューズはいないが、魂の中から呼び出せばいいのだ。

その女性は今流行りのアイドルやゲームの有名なヒロインであってはいけない。
そんな手垢にまみれた者はごめんだ。
モデルエージェンシーを探しても、理想的なモデルはいない。

人物は面白い。
やはり人間を描くと魂を感じる。
風景画とはまったくレベルが違う。
人物を描くのは面白いが、一ミリ違うだけで顔は変化し、
すぐに下品な顔になったりする。

モデルをたてて、それを絵にすると簡単だが、モデルに引きずられてしまう。
モデルの美しさをコピーするだけでは写真と同じだ。
魂が入ったものを…。

少しずつ、新しい少女が現れてきた。

白をやめ青いドレスにして、姿勢も少し左向きにしてみる。

しかし、どうにも良くない…。
ここまでに4日ほどかかっている。

小さな水彩画なので、1日もあれば普通は描けるのだが、
人物はこのように気に入った感じの存在が現れるのに時間がかかる。

妖精にしてみようか?

うっすらとホワイトガッシュで羽らしきものを描く。
小さな光も飛ばしてみる。

でも…いまいち。

もう、この絵はダメかな…。

水彩画は重ね塗ると色が濁るし、
紙が傷んでくるので、油絵のようにいつまでも描き続けることはできない。

もうそろそろ紙も限界。
いつ紙の表面が剥がれてもおかしくない感じ。
水彩画ならではのリミットが迫っている。

あきらめるかな…。

でも、もうちょっと描きたい…。

とにかく描いているのは楽しいので、筆をもう少しいれよう。

それから、ドレスは白に戻そう。

姿勢も前向きに戻そう。

すると、

フワッと素敵な少女が現れた。

三人目の少女

生きている…。

こうした絵の良し悪しは、美人が描かれたかどうか、ではない。
その人物が生きていて魂があるのかどうかだ。

ウエルカム!

現れてくれてありがとう。

この絵の制作動画をYouTubeで発表しています

「白花の少女を描く」
モデル、資料なしで少女を描きました。制作過程の動画です。

【村田收の関連リンク】
YouTube Instagram Facebook 村田收公式ホームページ 水彩画の描き方 創作の森『クプカ』

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村田收(ムラタオサム)

岡山を拠点に活動する水彩画家。

千葉市に生まれる。大阪府立大学経済学部卒業。
1987年 New York, Pratt Instituteに留学 Art St...

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