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なにか創るとうれしくてそんなん誰が聞くねん

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者


1966年、栃木県生まれ。

株...

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 昔々、この世の中にはまだ「ビジュアル系」なんていう言葉さえ存在していなかった頃、東京の片隅に、クリムゾン・シャアという名前をシャレでつけて、内心ちょっとしまったかなぁなんてことを思いながら活動しているバンドがあったそうな。これはそんな頃のお話。

 実はクリムゾン・シャアではけっこう早めの時期から、いろいろな事務所やらメジャーな雑誌やらに働きかけをやっていて、そんなご縁から、当時ブイブイいってたビーイングの会報誌で連載持たせてもらったり、時々雑誌で取り上げていただいたり、ホントに時々だけどラジオとかテレビなんていうお話もいただいたりしたものだったが、そんな中事務所関係だけはどうも相性が悪いというか、行けば大抵は嫌な気分になって帰ってくるなんてことを繰り返していた。
 つまりほぼ必ずと言っていいほどこんなことを言われたから。
「このままじゃ売れないね。」
「もっとポップにしたりとかキャッチーにしたりとかさ…。」
で、まだ当時若くて、その辺のかわし方もよく知らない自分はついつい、思い切り顔に出してムッとしてしまうという感じだったっけ。
 時には、
「じゃあ、ポップでキャッチーにすればいいわけ?」
みたいなことを思い切りキレ気味に言い放って、逆に相手から、
「いや、最初からそういうことをちゃんと考えて作ってくるバンドは五万といるからさ。無理して作らなくてもいいよ。」
なんて感じであしらわれてさらにムッとするなんてことさえあった…う〜ん…今思えば相当ダメな対応だなぁと反省しきりですが…。

 で、今歳を重ねてこの時のことを考えてみると2つのことを思ったりする。
 1つは品質的にダメだったかもなぁということ。品質とはつまり、技術とかルックスとか、まぁ、バンドの商品としての質ってことかなと。まぁこんな回りくどく言わなくても要は、大してルックスも良くないのにそれほど上手くもないし、企画的にもイマイチってことだったんじゃないかなと思うという次第。
 確かにそれは本当にその通りで、当時のクリムゾン・シャアときたら、最後の頃にどんどん特徴的になっていく見た目やら演出やらがまだそれほどちゃんとしてなかった。つまり、自己プロデュースがめちゃくちゃ甘い状態だったと言える。
 その上演奏も上手いわけじゃない。いや、敢えて言おうカスだと(ここは是非ギレン総帥の声で読んでくださいw)。
 そんなバンドが調子こいた態度を取るんだから(てかそれは自分だけだけど;;;…他のメンバーのみなさん、改めてごめんなさい)、そりゃあ相手の心証が良くなるはずはないかなとは思う。

 で、もう1つはなにかと言えば、これはもう単に、売る側にそれを売るノウハウがなかったということかなと思う。いや、そのないノウハウを改めて考えてでもなんとか売り出したいと思えるところまで相手のモチベーションを持ち上げることができなかったのだから、それはもちろんその相手のせいではなくで自分たちのせいだとは思うのだが、それだと話が終わっちゃうので、ここではあえて、売る側のノウハウという話に落として話を進めようかと。

 実際、当時よくあるパターンとしては、ライヴハウス等で客がつく、すると事務所からの触手が伸びるという奴で、つまりそこには、既に支持されているという現象があるからどんな層に売れるかということについては考えなくても、まぁきっとなんとかなるというようなレベルのマーケティングしか存在しなかったんだろうなと思うという次第。

 ではこれについてちゃんと考えてみよう。必要なこともきっと2つだ。
 1つは、自分たちがやりたいことをできる限り明確にして、それがちゃんと伝わるような技術と方法をぎっちり磨くということ。
 前出のクリムゾン・シャアのように、技術的に不安を抱えていてはいけないし、技術的に充分だったとしても、その表現方法にブレがあっては伝わりにくくなる。
 だからまずは、自分たちがやりたいものはどのようなものなのかをしっかりと考えた上で、それに沿った楽曲や歌詞世界を創り、そして見た目やらロゴやらステージの構成やらもすべて、その世界観を増幅させるために作り込んでいくということが必要ということかなと思う次第。当面これがしっかりと根付くまでは、それ以外のことはしなくてもいいくらいだと思うのだ。

 そしてもう1つが、それを喜んでくれる人はどのような人なのかということを考えるということ。つまり、1つ目でしっかりと作った素材を届ける先を見出してプロモーション戦略を考えて戦術を実行していくということなのだと思う。
 さぁてこれがけっこう難しい。
 普通の商業的な商品だと、先にこうした「ニーズ」を見つけ出して、そこにどの程度の市場規模があるかなんてことを考えた上で、そこに合致した商品を投入するなんてことをすることが多いわけだが、こと音楽をはじめとするアート作品の場合は、先に素材があって、それ自体は市場に対応して変化したりしないことが多い。いや、いわゆるメジャーの、「売れること」を最大使命としているみなさんは市場に合わせて自分を変えていくなんてことが日常茶飯事だろうからこれには当たらないだろうけど、つまりは本当に「表現」を最優先に考えているアーティストなみなさんに限っては…ということかな。
 さてどうしたもんだろう。これに対する回答を持っている方、います?
 ということで、これをどのように考えていくかについては、これから追々書いていくことにしようかなと思う…もちろん自分も試行錯誤だけれども。

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※ちなみに写真は…この写真はどこで撮ったっけなぁ…覚えてないや。
 でも、太陽の光を透かして見えた緑の葉がきれいだなぁとか思ったのは覚えてる。
 写真ってそういうものかもね。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 6D + EF24-70mm F2.8L II USM

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