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Logo Mark歯を磨く様に演じる一人芝居『クリスマス・キャロル』を終えて

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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12月23日、大勢のお客様に見守られ一人芝居『クリスマス・キャロル』が無事に終演した。そして終演後にはお礼のメッセージなども頂きホッとしている。
というのは、台詞を覚え始めた頃ある友人に『クリスマス・キャロル』を一人芝居でやりたい事を伝えると、
『無理じゃない⁉︎』
と即答。彼女の言い分としては、登場人物が沢山立てくるというのがその主な理由。確かに沢山出てきた。
でも、あの市村正親さんもやっていた。マクベスとかでも一人芝居でやっている方もいるわけだから、出来ると思う。そう考えて進めていたところだった。
市村正親さんの一人芝居『クリスマス・キャロル』の観客のコメントにも勿論、一人芝居を市村さんがやっている訳だが、まわりの助けがあってあの盛大な舞台が出来ている事が書いてあった。
今回の私の作品もそれと同じく、自分以外のバックアップがあっての一人芝居だと痛感している。
まずは音楽で生のフルートを演奏してくれた栗田智水さん。この作品を選んだ時まず最初に浮かんできたのが彼女。どうしても彼女に音楽を担当してもらいたかった。
12月18日の1回目のお試しでは、私の伝えたイメージに合わせた曲を演奏しながら一通り芝居を通した。初回でお互い探り探りなところもあって、少々ぎこちなく感じたが、2回目(当日本番前のリハーサルで合わせた時)格段に違っていた。私が言うのもおこがましいが流石だと思った。これならガッチリいけると思った。
実は栗田さん前回合わせた曲が私の演じているイメージとしっくりこないところがあると、前日まで良い曲を探してくれていたそうだ。そして、彼女のフルートの演奏が演じていてとても安心感があって心強かったのである。
また、芝居中に入れてくれた香りも芝居を優しく支えてくれ、心強かった。彼女も一度会場でブレンドしたアロマをどの様に香らせるか実験したあと、よりピッタリくる香りの再検討をしてくれていた。また、お客様によって香りの感じ方(強弱)が違うので、お客様が香りが良くわかる様、退場時に入口のテーブルに使ったアロマのブレンドを置き、最後まで観客を楽しませてくれた。この最後まで手を抜かないのが香りの演出家堀綾子さんなのだ。
そして、芝居にとって大きな影響を与えると私は思っている照明だ。こちらも昨今機材の発達に伴いプロジェクションマッピングを使う劇団もある。あれもとてもスマートでいいと思うのだが、なんせ昭和から平成にかけて芝居を叩き込まれた私にとって、プロジェクションマッピングはなんだか軽くて落ち着かないのが正直な感想だ。今回は私にもしっくりくる懐かしい昭和的照明でいい。雪のネタ(照明に入れる部品)を使って、スクリーンに雪の結晶の照明やら、ローホリ(下からホリ幕にあてるライト)も多用しくれて場面変化がわかりやすくまた盛り上げてくれた。
そして私にも芝居以外にこだわりがあった。
それは、開場して観客が入場された時、
『わ〜!素敵』
と思って頂ける招き方をしたかった。そこで、実際には枠2つと正方形の椅子4つしか必要ではない舞台なのだが、立木状の物、そして枠に白い半透明のビニール紐で屋根状の物を作り、それにイルミネーションを飾った。この飾り舞台が濃いブルーバックに映え私はとても気にいっている。
こんな訳で、今回の一人芝居『クリスマス・キャロル』は満席のお客様に見守られながら無事終演を迎えたのだ。


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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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