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Logo Mark歯を磨く様に演じる私のワクワク「シェイクスピア」作品

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、お世話になった方が68才という若さで亡くなった。本当に元気な方で、車を運転しない方なので、たまに道を歩いている時などにお会いする事があり、そんな時は、
「鵜飼さん!」
といつも凛々しい声で気軽にお声をかけてくださった。その方のダンス公演の照明を担当させてもらった事もある。
最後の姿をこの目で見たのだが、未だに信じられず、実感が湧かないので、私の中では未だに相変わらず元気で存在する。だから全く悲しみが沸いてこない。
でも、その事実だけは感覚としてあって、
「やりたいと思った事はやらないと!」
とこの事をきっかけに今更ながら強く思ったのである。
以前からシェイクスピア作品をやりたいと思っていたが、思っているだけで行動出来ず、何年も自分の中で眠らせていた。
しかし、先日シェイクスピアの全戯曲が載っている坪内逍遥訳「ザ・シェイクスピア」を買った。厚さ5cm、1039ページで、書かれている文字は米粒の方が大きいのではないかと思われるシロモノで、買った方のコメントには「文字が小さくて読みづらい」と書かれている。
坪内逍遥訳は古いと言われている様だが、シェイクスピアの生きていた時代は今から400年以上前(1564年生-1616年没)で日本では戦国時代。秀吉や家康が活躍していた時代なのでシェイクスピアも当然古い。だから坪内逍遥訳は問題ではないのでは…。
これを使って自分流に脚色して作品を作っていこうと思う。
この本に載っている作品が37作品。1年に1本作ったら37年作れる。今までの経験からして、作り方のコツがわかれば、その後は割とスムーズにできるもの。
まず手始めに有名どころ「マクベス」を選んだ。この話の大枠は知っているのでやりやすいかと思う。
何人でやるか。絶対やる為にはまずは一人でやるのが手っ取り早い。シェイクスピア作品での登場人物の関わりは大変面白いので何人かでやってみたいとは思うのだが、一番に「やる」というゴールに近いのは私の場合、一人芝居だろう。
「マクベス」。最初に出てくる3人の魔女、これは役者としてやってみたい。そしてマクベスを操るマクベス夫人も魅力的。
最近、たまの空いた時間、何かワクワクすることをやろうと思っていても結局何も思いつかず、なんとなく過ごしていたりした。それが勿体無くてしょうがなかった。
子供の時とは言わず20代、30代までは仕事が休みの日には疲れているにも関わらず、早朝から夜遅くまで遊んでいた。いろいろ面白かったり、やりたかったり、ワクワクした事が沢山あったのだろう。それがなかなかなくなってしまったのを残念に思っていた。
でも、ワクワクすることが見つかった。わざわざ空けた時間がそれに使える。
自分の座る机の端に置いているだけでもワクワクする。
先日は、このワクワク感をわかってもらいたくて毎月朗読しているカフェに持って行き、コラボしているピアノのMiekoさんにこの分厚い本を見せたら、このワクワク感がわかってもらえた様で嬉しい。
なんとMiekoさんも学生時代シェイクスピア作品を何作もやっていたとの事。「マクベス」では「マクベス夫人」をやったのだという。
やっぱり演劇をやる人には、シェイクスピア作品は魅力的なのだろう。
5月には吉田鋼太郎さんが芸術監督を務める彩の国埼玉芸術劇場でも「マクベス」が上演される。
生まれては消えるこの世の中で、忘れ去られず生き残ってきたシェイクスピア作品を、私も今年中になんとか形にし、上演したい。

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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