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Logo Mark歯を磨く様に演じるシニア劇団「天守物語」の公演を振り返って

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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シニア劇団「スターライト」の公演が4月20日無事終わった。
「スターライト」が出来て5回目の公演で、ひと段階上がったと一般的に言うのかもしれないが、毎回参加メンバーも違うし、毎年0から1に向かっていく繰り返しでどうしても階段を1段上がったとは思えない。
それでも今回は演出として少々慣れてきたせいか、何があっても「失敗は無い」と稽古中から思えるようになってきた。
作年の作品までは個人プレーでの演技が多かったが、今回は集団が結束して成り立つシーンも多くて、面白かった。団体芸は迫力もある。
稽古始めの頃は、せりふを覚えて言うのが精一杯で、周りを気にする余裕がない演者が多いが、それはしょうがない。それを越えたら他の事にも目を向けねばいけない。しかし、やりがちなのが、自分の台詞を言ったら舞台上でお休み状態になる。台詞を言った後も舞台にいるので「何に関心を持っているか、何を思っているか」を常に演じて(感じて)いなければならない。お休みしているとまるで観客が舞台に上がっている様に見える。
「観客禁止!」
と言ってみた。みんな和やかに笑っていた。
あと、動く時も胸から上で動作、感情を表現していた。これも、
「省エネ禁止!」
である。こちらも「了解!」の笑いが出て良くなった。動きを考えてきた人もいた。体全体が大なり小なり動いて大変さ、嬉しさ、諸々の感情を表現するのが現実である。
せりふだけでは楽しく見えなかったところにラップ調のリズムをつけてみたら、
「クリーピーナッツに負けないようにやります。」
との返答が。
芝居が出来てくると、アラが見えてくるのが、特に場面の始まりと終わり。
舞台に照明がついている間は他のキャストが去り、その場のせりふが終わったからと言って、ただ立っているだけだとすごく目立つようになってくる。これは作品が出来上がってきた証拠でもある。
「照明がついている間は何か思っていてくださいね。」
皆さん割と端的な言葉で伝えていても自分のものに出来るのは素晴らしい。
それと反対に、小道具使い。私の場合小道具など物を使う時、当たり前だが、どう使ったらやりやすいか考えもせずに出来てしまう。だからどうして出来ないのかわからない時もあって、何度か一緒にやってみた後は慣れてもらうしかないかと思ってやり過ごす。
どうしても出来なく、私もここだけは成功させたいと思うところは、別手段を演出の方で考える。例えば手がそちらへいってしまうなら、そちらへいかない様に手に物を持ってもらうとか…。
まだ他にも気づきがあって、例えば驚くせりふがあって、ト書きに状況が書いてある。それを見るといつせりふが入るかわかると思っていた。というかそこがわからない事がわからなかった。
突然見せられた手のひらの上の毛虫を見た時の、
「ぎゃー!」
反射的に出るもので、いつ言おうとは考えない。
「そうかそうか、体とせりふが繋がっていないのか。」
となかなかせりふが出てこなかった理由を、公演間近に知った私なのである。
それにしても皆さん稽古中から楽しそうに他の人と話ながら、衣装の腰に巻くカラフルな布やスカーフを結んだり、ご自分の好きな髪飾りをつけたり、オレンジのカツラを被ったり、青いエクステを髪につけたりしている。
私も差し色のエクステをつけたいとは思っているが、日常つけるには少々抵抗がある。そういう欲望を枠を超えない範囲で舞台の上で叶えるのはいい。
振り返るといろいろあったが、今回も楽しい稽古&公演であった。

 

※次回の稽古は5月28日(水)13時30分から


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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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