2025/01/21
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
119回目のコラムです。SNSで大変評判になっていたので、映画「はたらく細胞」を観てきました。もともとコミックでアニメ化もされていて、人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定はおもしろいなと思っていました。それでも基本的に映画館で観る映画は音と映像を楽しむアクションものと決めていましたが、評判を聞いてこれは一刻も早く観たいということで観てきました。今回はこれをテーマにします。
子供の頃、学研の「ひみつシリーズ」を愛読していて、「宇宙のひみつ」とか「からだのひみつ」など何冊も読んでいました。夢を見るのはどうして? 子どもはなぜ親に似ているの? 医者が体の中を調べる方法は? なぜ病気にかかるの? 子どもが知りたいさまざまな体の疑問や不思議、心臓、骨、筋肉、脳と神経、免疫などの体の働きが、まんが、イラストで楽しみながらわかるシリーズですね。そして「からだのひみつ」に登場する赤血球・白血球・血小板などが体に中で頑張っている絵面がずっと鮮明に残っています。とくに傷口は時間がたつと治るのですが、傷ができた時に小さくて丸い姿の血小板たちが命がけで傷口に向かいぎゅうぎゅうに詰まって傷口からの出血を止めて朽ちていく姿の画像を覚えています。この記憶がこの映画を観ようと脳に働きかけたのではないかと思ってしまいます。
清水茜さんによる漫画です。英語では、Cells at Work!だそうです。かっこいいですね。講談社の「月刊少年シリウス」にて、2015年3月号から2021年3月号まで連載されていました。清水さんのデビュー作だそうですが、 2022年5月時点でシリーズ累計部数は930万部を突破しているそうで、映画かと共にもっと高い数字になっていると思われます。体内で年中無休で働いている37兆個もの細胞を擬人化した物語で、新米の赤血球「AE3803」や白血球「U-1146」などを中心に、群集劇の形で細胞たちの日常を描いています。2018年からはテレビアニメが制作され、2024年には実写映画版が公開されています。
ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く映画です。高校生の漆崎日胡(芦田愛菜)は、父の茂(阿部サダヲ)と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。日胡の体内では、草原にできたパラダイスのような環境で赤血球たちがスキップするように酸素を運んでいる。反対に、不規則・不摂生な茂の体内では、酒・たばこ・カップラーメンなどの侵入に苦しみながら、ゴミが貯まって歩きにくい道で作業している。通りに出ている店にも糖尿などメタボに関連する商店名が連ねってどんよりとしている。かなり表現方法がおもしろい。
新米の赤血球AE3803(永野芽郁)は、極度の方向音痴でよく迷子になる新米のドジっ子運送屋だが、性格は純粋で一生懸命という設定。肺炎球菌に襲われたときに、白血球U-1146(佐藤健)と知り合う。まだ赤血球AE3803が幼少で一人前になる前に助けてもらったことから2人の活躍がはじまる。そして、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。白血球の他にも、キラーT細胞(山本耕史)、NK細胞(仲里依紗)、マクロファージ(松本若菜)、ヘルパーT細胞(染谷将太)などがそれぞれの役割と性格を持って登場する。病原体を退治した暁には、神経細胞(DJ KOO)が全体をノリノリな状態に持っていく。
傷口を血小板たちが埋めつくすシーン、発射寸前の下痢で前肛門部隊と後肛門部隊が門を開ける開けないでせり合うシーン、その際に赤血球が便と一緒に流されてしまうシーン、変形してしまった白血球が排除されてしまうシーン、血を抜く際に頑張っている大量の赤血球が体外に吸い取られてしまうシーン、などなど我々の日常の中で擬人化された細胞たちがこんなに頑張っている、こんな目にあっているシーンの連続です。健康体そのものの日胡が白血病になってしまうときの細胞たちの混乱と必死、人間界では不健康な父が健康の娘の病気に混乱しながらも立ち直っていく様子。とてもよく描かれていて、あっという間にエンディングでした。まだ上映中ですのでこれ以上書くのはやめましょう。
はたらくビフィズス菌 BB536(2019年)×森永乳業株式会社
はたらく細胞 ユーグレナ編(2021年)×ユーグレナ
はたらく細胞 IBD特別編(潰瘍性大腸炎・クローン病)(2022年)×ヤンセンファーマ株式会社
はたらく細胞 好酸球性ぜん息 特別編(2024年)×アストラゼネカ
はたらく免疫細胞図鑑(2024年)×キリンホールディングス株式会社
日本赤十字社(2018年)献血ルームや移動採血バスで献血キャンペーン
有楽町マルイ(2019年)『はたらく細胞』展
東急ハンズ・ヴィレッジヴァンガード(2019年)店員の制服を着用したキャラクターの描き下ろしデザイン商品
ポカリスエット(2019年)「はたらく細胞 第11.5話 熱中症〜もしもポカリスエットがあったら〜」公開
ハウス食品(2019年)風邪対策のオリジナルストーリー漫画「はたらく細胞×乳酸菌L-137研究所」を公開
体のことを大事にするストーリーですので、タイアップ企業も豊富ですね。
楽しく観させていただいた映画ですが、私もキング・オブ・メタボリックなものですから、不摂生ってこんなにも体内の細胞を苦しめているんだということが映像で心に残りました(笑)。また、手術などが体に及ぼす影響、そしてそれを回復するのにどれだけ細胞が働いているのかということも実感できました。おもしろい手法の映画ですが、これを未病の状態、症状発生から治療・回復まで、そして心に与える影響までたくさんのストーリーを作って教育や体への向き合い方に使っていける素材だと思いました。算数や理科が苦手、専門語での解説が嫌…世の中には苦手がたくさんありますが、解決してくれる伝わりやすさの1つとして漫画や動画という手法が多用されてきていることも納得がいきます。コミックも全巻買ってみます。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
準備中