連載記事2025/10/28
「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝LOUDPARK2025 新しいうねり
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
134回目のコラムです。10月13日、待ちに待ったLOUDPARK2025@さいたまスーパーアリーナに行ってきました。
以前のコラムにも書いたLOUDPARKへの期待は、スラッシュメタル、デスメタル、グラムメタル、ハードロック、様々な国の特性を生かしたヘヴィメタル、ジャパメタなど多様なハードロック・ヘヴィメタルを一日中一気に体験できるすごい場所ということでした。民族音楽を取り入れたバンドや、全員白塗りのドゥームメタルバンド、80年代に活躍したバンド、大御所バンドなどなど。
しかし、今回のLOUDPARK2025は、イベントの名前の通りラウドな、そしてほとんどがシャウト、グロウル、デスボイスなメタルコアバンドの祭典という感じでした。
開催しているのはいつも通り、クリエイティマンプロダクション。いつもありがとうございます。
今までは、ステージを半分に割って、右側と左側を交互に使って演奏するパターンでしたが、今回は会場を分けて、2か所で交互に演奏を観る手法でした。1バンドごとに会場を全員が移動するすごいシステムです。ULTIMATE STAGEとEXTREAM STAGEの2ステージです。そしてどちらのステージにも前方にGOLDエリアがあって、高い席を買った人だけが入れるスペースがあります。常にアーティストをまじかで観られるエリアです。
チケットは、自由席20,000円、指定席22,000円、ゴールドチケットは36,000円でした。さいたまスーパーアリーナではスタンドがあるので、指定席さえ取得すれば座って見ることができます。今回私はいつも通り指定席を友人たちと取得しほとんどのバンドをゆっくり堪能しようと思いましたが、1バンドごとに会場を移動しなければならないので、座っていたのは半分くらいですね。
朝10時からオープニングアクトがスタートするということで、レポートのためにも時間通りに来たのですが、その段階でグッズ販売コーナーには大行列。買うまでに2時間くらいというアナウンスが聞こえたので、何バンドも観られないのはよくないとグッズを断念しました。
フードとドリンクは課題が残りました。フード持ち込み禁止のわりには売店がない…館内のロッテリアさんに信じられないくらいの人が並ぶという結果に…。さらにオフィシャルのドリンクコーナーがなく、委託されたブースでドリンクを販売していたので、ビールを飲むために1バンド見送ることになるような状態。委託された方は需要予測などを伝えられていなかったのか、午前中にビールもハイボールもなくなりレモンサワーかソフトドリンクでいいですか状態に。ここは儲かるとも思うので改善ポイントですね。
Phatom Excaliver、View From The Soyuz、ulma sound junction、SABLE HILLS、Crystal Lake。
朝10時にオープニングアクトのPhatom Excaliverからスタート。さすがにラウドロックの祭典ということで朝からメタルを聴くのですが(笑)、もっとメジャーバンドの時間から満員になるのかと思いきやこの時間からかなりの動員でした。
東京出身のメロディックデスメタル/パワーメタル/メタルコアバンドです。なんと2023年のヴァッケンオープンエアメタルバトルコンペティションで1位を獲得したバンドです。陽気なキャラがオープニングアクトに適してましたね。
View From The Soyuzは、東京を拠点に活動するメタルコア・バンド。海外メディアは、スウェーデン系メロディック・デスメタルの叙情性とメタルコアのブレイクダウンを組み合わせたものと評しているようです。
ulma sound junctionは、沖縄県石垣島出身の幼馴染で構成された4ピースプログレッシヴ・ロックバンド。本人もステージで言っていましたが、「今回のラウド系出演バンドの中ではちょっと浮いているかもしれないが…感じていってくれ」と。独特な世界観と謙虚さで会場に受け入れられていました。
SABLE HILLS日本のメタルコア・バンド。数々の海外バンドの来日公演サポートを務めていますね。2022年8月にはWacken Open Air本選トーナメントにて28か国中1位を獲得し世界1位になっています。最近でもインドのメタルバンドBloodywoodのサポートアクトも務めており、日本のメタルコアの中ではトップクラスの人気。Crystal Lake、ヴォーカルのJohn Robert Centorrinoは、タトゥーの入ったスキンヘッドにワイルドな下顎ひげが特徴で、ビールを買いがてら遠くから観ていたのでてっきり海外のバンドかと思っていましたら日本のメタルコアバンドでした。
この5バンドのMCを聞いていると、中学生の頃、初めてLOUDPARKに来た、とか、このイベントで多くのアーティストに触れることによって今の自分がある…など出演に感動しているコメントを連発していました。もちろん迫力ある演奏や煽りもすごいのですが、「謙虚な日本人の心」がめっちゃ出ているなあと感じながら楽しみました。
Orbit Culture、Heaven Shall Burn、The Ghost Inside。
Orbit Cultureはスウェーデン出身の4人組。ここ最近、衝撃的なアルバムを次々と発表し、In Flames、Slipknot、Triviumといったバンドと共演しながらのし上がった来たバンドです。デス・ヴォイスとクリーン・ヴォイスを使い分ける研ぎ澄まされた楽曲の多い良いバンドでした。このあたりから会場もよりヒートアップしていきます。
Heaven Shall Burnは、ドイツ出身のメタルコアの雄。まず話題になっているのがバンドロゴがムカデみたいな書体になっていてどんな人でも絶対に読むことができないこと(笑)。メタルコア系あるあるですかね。新譜も発売し、伝説的フェスティバルのヘッドライナーを務め長いキャリアなかでもピークに立っているバンドです。メタルコア系が多い中ではヘヴィメタル寄りで楽しみにしていたバンドのひとつで観られてよかったです。ロゴおもしろいです。
The Ghost Insideは、ロサンゼルス出身のメタルコア/メロディック・ハードコアバンド。Unearth、As I Lay Dying、Killswitch Engage、Hatebreed、Slipknot やパンクなどからも影響もうけているようで、縦のりのモッシュ向けバンドでした! 私は、メタルコアをたくさん聴いているわけではないので、新鮮に堪能した部分もあるのですが、モッシュする若者たちを見ていると、メタルコアが浸透していることがよくわかり、このジャンルについては自分が遅れているのだなとも感じました。
The Haunted、Kerry King。
THE HAUNTEDは、スウェーデン出身のヘヴィメタルバンド。At the Gates解散後結成されたメロディアスな突撃型デスメタルで、At the Gatesよりは叙情的なメロディが減少し、よりストレートでソリッドなスラッシュメタルにデスメタルのアグレッションを加えたような音楽です。私には、このスラッシュ的なリフと共に首を振っているのが最高の気分になります。
Kerry Kingは、スラッシュメタル世界最高峰の1つSlayerのギタリストです。Slayerが解散し、メタルファンが悲しんでいる時に、自らの名を冠したバンドを結成し、デビュー・アルバムをリリースして事件級に喜ばれました。しかもメンバーがすごい。ドラマーはSlayer時代からの盟友、Paul Bostaph。ベーシストはHELLYEAHのKyle Sanders。リード・ギタリストはMachine Head、Vio-lenceのPhil Demmel。そしてヴォーカリストはDeath AngelのMark Osegueda。まさにUSスラッシュ界の重鎮ばかりのプロジェクトです。Mark Oseguedaの唱法は、Death Angelとは違う、ややSlayerのTom Arayaに寄せているのも聴きごたえがありました。新作も聞き込み、本物のスラッシュメタルを堪能しました。ほぼこのバンドを観に来たといっても過言ではないくらい楽しみで、なぜヘッドライナーではないのかと(勝手な私見)思うくらい震えました。
Bullet for My Valentine、Parkway Drive。
Bullet for My Valentineは、ウェールズ出身のヘヴィメタル・バンド。LOUDPARKには何度も出演していておなじみのバンドです。Iron MaidenやMetallica、Panteraなど多くのヘヴィメタルバンドからの影響を口にしていますが、2000年代の新世代ヘヴィメタルというとらえられ方をしていますね。ダイナミックなサウンドは大きな会場に向いています。どのフェスでも終盤にラインナップされていて、今回もフェスの盛り上がりに花を添える形となりました。
Parkway Driveは、オーストラリア出身のメタルコア・バンド。Hatebreed、Shadows Fallなど、海外のバンドのオーストラリアツアーの前座を務めてきたようです。2019年には世界最大級のヘヴィ・メタル・フェスティバルであるドイツのヴァッケン・オープン・エアでヘッドライナーを務めています。そんなにすごいバンドなのに、私は実は、LOUDPARKの発表があった時に初めて知りました。こんなことははじめてですね。MVを観てから参戦しましたが、ややKerry Kingで燃え尽きており、スタンド席から観ていました。ヘッドライナーらしい風格もあり、アリーナは熱狂しておりました。
LOUDPARKのようにたくさんのヘヴィメタルバンドを知ることができるイベントは貴重で最近は減ってきていますので、やはりクリエイティマンプロダクションには大感謝です。そしてどちらかというとスラッシュメタル寄りのバンドが好みなので、メタルコアイベントに近い今回のLOUDPARKについては、そこに熱狂している若者たちを観て「新しい」というよりも、そこに踏み込んでいない自分というものを感じたのかなと思いました。ぜひ来年の開催もお願いしたいです。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
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