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Logo Mark 「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝 FANTASTICA MANIA〜メキシコのプロレスがやってきた

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
141回目のコラムです。2月にメキシコのCMLLというメジャープロレス団体が来日しました。日本のプロレスの最大手新日本プロレスと提携しています。1週間のスケジュールで、2回ほど観戦してきました。登場選手がほとんど覆面レスラーというメキシコのプロレスで、アクロバティックな動きや独特の関節技を見せてくれます。世界でも唯一無二な世界観を感じることができます。


■ ルチャリブレ(メキシコのプロレス)

ルチャリブレは、スペイン語でプロレスのことです。メキシコではプロレスは、大衆芸能「格闘技」で兼業も含めれば数千人の選手がいます。プロレスラーのことは、男性はルチャドール、女性はルチャドーラと呼びます。そして、ベビーフェイス(正統派)の男性はテクニコ、女性はテクニカ、ヒール(悪役)の男性はルード、女性はルーダに分かれて闘います。冒頭に書いたように、覆面レスラーが多いのが特徴で、アステカなどの文化的な影響から神聖視されており、覆面レスラーは人前では決してマスクを脱ぎません。兼業と書きましたが、レスラーの中には、一般の社会人をはじめ、学校の先生、神父さんなどもいます。つまり素顔をあかせないのです。そんなことから覆面がただのファッションというだけではなくて存在としての重要な役割と言えます。もちろんすべての覆面レスラーにアイデンティティはありますので、意味を持った、そして華やかな個性という意味でも重要なものです。また、二世、三世も多く、親や祖父の名前を使って「エル・イホ・デル」、「イホ・デル」、「ジュニア」などがついたレスラーも多く、人気が代々続いていることを示しています。

アクロバティックな空中殺法に会場は沸きますが、どの角度からでも繰り出される投げ技、ジャベと呼ばれる関節技も多用されており、知っていると楽しみが倍増します。バチバチ殴り合ったり、イスでたたいたりというよりは、軽快なムーブでサーカスのように技が繰り出されるので、技のおもしろさと華やかな楽しさとともに試合が進んでいきます。また、特別な試合形式として覆面(マスカラ)や髪(カベジェラ)などを賭けて行うコントラマッチがあります。選手同士の因縁の清算として行われて、敗者は覆面もしくは髪を失うことになります。覆面の意味を書きましたが、覆面がはがされてしまったレスラーは正体がばれてしまうことになるのでマスクマンとしての生命は完全に断たれてしまいます。髪を失い丸坊主になることはメキシコ人にとって非常に恥辱的なこととされています。すごいルールですね。負けてマスクをはがされたレスラーは、再びマスクを被ることは認められず、素顔のまま試合することが義務付けられています。素顔のレスラーも来日しますが、ほとんどがビッグマッチで敗者となり、素顔をさらされたレスラーです。実はイケメンだったりしますが…。
メキシコシティではアレナ・メヒコという大きな会場で定期戦が行われています。収容人数は18,000人前後、ルチャリブレの聖地です。ファンの多さがうかがえますね。


■ “ルチャリブレの祭典”『NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2026』

今年2月に開催された『NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2026』。NJPWは新日本プロレスのことですね。CMLLから、総勢16名のルチャドールたちが来日しました。 “スペルエストレージャ(スーパースター”ミスティコ、日本にも参戦しているティタン、テンプラリオ、次世代を担うマスカラ・ドラダ、ソベラーノ・ジュニア、ベテランルチャ戦士のアベルノ、エチセロ、最強親分ことウルティモ・ゲレーロ、“大陸王者”のレジェンドのアトランティスおよび息子のアトランティス・ジュニアなど有名選手が参戦。初参戦のレスラーも3選手来日しました。普段は壮絶な限界までの闘いを期待している新日本プロレスファンも、この大会はメキシカンの明るい雰囲気を感じるために来ており、メキシコ国旗を持ってくる人や、推しのレスラーの覆面をかぶっている人など、とても明るい大会で、軽快でアクロバティックな攻防を笑顔で観戦していました。各会場満員御礼だったようで、2大会観られたのは奇跡だったかもしれません。


■ NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2026 2月18日 国立代々木競技場・第二体育館

実は友人で、プロレスラーのマスクをデザインしているデザイナーがいます。懇意にしていただいていて、私にも私の妻にも本格的なマスクを作っていただきました。今回のレポートのためにその方もお呼びして観戦、その後大会の総括をしました。マスクをかぶって観客席にいるだけで気持ちが上がっていきます。ルチャリブレでは、観戦だけでなく、おのおのの推しのマスクをかぶったり、メキシコの国旗をかざしたり、お手製のうちわやボードで応援したりと、リング上だけでなく観客席もカラフルでにぎやかな雰囲気です。本当に独特ですね。

メキシコのレスラーは、ファンサービスもすごいです。試合後にファンに手を振るのではなくて、近くまで行ってリングサイド1周、メインイベントの後は会場の後ろの方までハイタッチをしに行きます。とくに子供を見つけた時は、握手したり、頭をなでたり、チャンピオンベルトを肩から掛けてあげたり大サービスです。メキシコにおける選手のステイタスがうかがえます。

試合の内容は省きますが、この大会には新日本プロレスのジュニアヘビー級の選手もたくさん参加しています。軽量級の選手は、ヤングライオンと呼ばれる新弟子時代を卒業すると、メキシコ修業に行くことが多いです。今回も参戦しているウルティモ・ゲレーロなど道場を持っているベテランも多く、日本やアメリカのレスリングとは動きや技もだいぶ違うのでその道場で鍛えられて、メキシコのビッグマッチで闘い、凱旋帰国します。今回も ルチャドールに交じって試合を展開しましたが、どんなにレベルの高いレスラーでもメキシカンの流れるような動きについていける選手は少ないなあとも思います。「こうきたらこう…」のような相手とのムーブがすべて一瞬にして構築できる感じなのでしょう。これぞプロの「間合い」ということもよくわかります。メキシカンレスラーたちは日本を大変楽しみにしているようで、(ホテルや会場までの送迎など全部やってくれるのは日本だけです)最終日のメインイベントを勝利とマイクで締めたマスカラ・ドラダは、「トーキョーノミナサン、アイシテマース!」と叫び、大会を締めくくりました。もちろん1月4日に引退した棚橋さんのキャッチフレーズ「愛してま~す!」までわかっているんですね。

大味なストーリープロレス(WWEはプロレスオペラと名乗っている)、関節を中心とした理詰めのイギリスプロレス、今回のレポートのメキシコのルチャリブレ、すべての要素を取り入れ進化させている日本のプロレス。どれか1つだけを知っていてもプロレスは語れない。また、その個性の合流が一番化学変化を起こしている日本のプロレスからも目が離せない。そして配信ビジネスが主流になる中、日本のプロレスは世界中で評判がよく注目されています。新日本プロレスのヤングライオン(新弟子)には、外国人レスラーが急増している。プロレスは、他のスポーツと比較するよりも、アニメ同様、文化としてもっと世界から注目されるようにしていきたいですね。

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