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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくてストラト〜ネジをゆるめたら音が変わってびっくりした話

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 ある日ただ普通にご飯を食べている時にふと頭をよぎったんだ。
「ストラトの場合、ボディ材やネック材で音が変わるって…おかしくないか?」
 え? なんの話だって? え〜とまず「ストラト」っていうのはフェンダーという会社から売り出されているエレキギターの大ベストセラー・モデル「ストラトキャスター」のこと。で、なんでボディ材やネック材なんて言ってるかというと、通常ギターってのは木材で作られていて(タルボやスタインバーガーみたいに金属やグラスファイバーで作られてるのもあるけど)、その材質の種類とか、その木目の詰まり具合とか、さらには塗装材の違いとか、まぁいろいろな要素によって音が変わると言われていて、その理由は、弦の振動がそういった材に響いて鳴る際に違いが出るからだということで、まぁなんとなくだけどきっとそうなんだろうなぁくらいには思っていたんだけれど…だってお金ないからさ、ストラトと言ってもジャパンしか使ったことないし(つまり本場アメリカ産のものじゃなくて日本でライセンス生産したものってことね)、例えば50年代や60年代のマジもんのストラトなんて触ったこともないのよ。それに自分のストラトだってストラトの中ではだいぶ安物だし、それをピックアップ変えたり配線いじったりして使ってるという感じだもの、当然に材なんてなんだか分かったものではないし、塗装なんてクソ安いポリ塗装に決まってるわけですよ。
 でね、なんでおかしくないかと思ったかと言うと…これはちょっとギターの構造的な話になるので、ストラトを見たことがないという方にはちょっと分かりにくいかもしれませんが、もしここから先を読んでちょっとでも興味を持っていただけたら是非ググってみていただきたいんですけど、つまりストラトのピックアップ(弦の振動を拾う部品ね)は、ボディに触れてなくて、その上にネジ止めされているプラスティックのピックガードにネジとバネでぶら下がってるんですな。つまり、弦振動を拾うそのピックアップが、材によって左右される部分に触れてない。じゃあ材の影響なんて受けないんじゃないの?…なんてことを思ったという次第。
 とは言えギターの音の響きっていうのはそんなに単純なものではなくて、弦が張ってあるヘッド(多くの場合チューニングするための糸巻き(ペグ)がついてる場所ですね)側からの響きとか、ボディのブリッジ(右手の下に来ることが多い場所ですね)辺りからの響きとかがあって、その影響があるんだと言われればねぇ、まぁ確かにそうかもとも思うんですが…でもさ、ストラトって、ネック(音階を作るために左手で押さえる竿みたいな場所ですね)とボディのジョイントってネジ止めよ。セットネックのギター(レスポールとか)みたいにガッチリ接着してないのよ。そしたらその響きの伝達だってロスが出るじゃん。ブリッジだって浮いてるようなものよ?…アームアップできるようにフローティング(右手側にある細い棒を動かしてグイ〜ンって音を変える技の一つで、音階を上げることもできるようにボディから浮いたセッティングにしておくことです…こんなこと言われても分からないかw)していればそれこそ本当に、弦と裏のバネのバランスだけで宙吊りよ? 弦の鳴りがネックやボディから伝わるって言ったって、けっこう限度があるんじゃないの?…と思うわけですなぁ。
 まぁ自分の場合は、アームはやり過ぎて折っちゃったから(それも2回も)、以後ブチギレて裏バネを4本強めに張ってボディにベタ付だし、そのブリッジをボディに止めてるネジも、ボディとネックの接続ネジも、これでもかと締めてるから、それでも音の伝わりはいい方だとは思うんだけど、でもねぇ、限度があるんじゃないの?…と思うわけです。  でもなぁ、ヘッドにフェンダーのファットフィンガー(ギターのヘッドにつけるように作られたおもりですね)をつけたときは、本当に劇的に音が変わったもんなぁ。あれは一体なんだったんだろう…とか、まぁご飯を食べながらポケ〜っと考えておりました。

 で、ふと思いました。
「ってことはピックガードの材質で音が変わるんじゃね?」
 だって、ピックアップにもっとも接しているのはボディ材でもネック材でもなくピックガードなんだから、これの材質(大抵はプラスティック)や厚みを変えれば、当然そこにぶら下がっているピックアップへの音の伝わり方が変わる…つまり音が変わる…はずと。
 こういうことはね、大抵もう実験している人がいるのが今の時代ですよ。ということでググってみました。するとすぐ出てきますねぇ。
「ピックガードを金属製にすると音が変わる!?」
とかっていうブログやらYouTubeの動画やらがいっぱい。なるほど、金属製にしたらだいぶ変わりそうですなぁと読んでみるとこんなことが書いてあります。
 ・結論から言うと音は変わる
 ・高域が減って丸い音になる
 ・ノイズが減るという効果もある
 へ? ハイ(高域)が落ちるの?…なして?…ノイズが減る?…まぁ金属だと電導効果があるってか。なるほど…ん?…ハイ落ちするのはその副作用みたいなものだってか。確かにありそうだな。へ〜。
 となれば、例えば木材にするとか、厚くしたり薄くしたりしてみるとかすると、それはそれで影響が出そうだなぁ…なんて思いつつ、まぁ今度やってみようかなぁなんて思ったりしていると…おやや? なんじゃこれ?…と思う記事に出くわした。

 それはベーシストの方の記事。
 なんでもこの方はジラウドのブラッククラウドという…実は名前も聞いたことがなかったんだけど、なんでもとっても高額なベースを使用しているけれど、どうもそのベースの音に不満を感じていて、楽器店の方等といろいろ考えていったらなんと、ピックガードががっちりキツキツに入っていたことで(このモデルはネジ止めではなくハメ込み式なんだそうな…正直想像がつかん)、それがボディの鳴りを阻害していたのだというお話。
 ポングのベースブログ「ピックガードの鳴りに対する影響、実体験から語る注意点」
 ポングのベースブログ
 なに?…そんなことがあるのか?…と読み進めていくと、
「あなたも他人事ではないですよ?
と、ここであえて脅かすとしたら、プレベやジャズベ、フェンダースタイルの楽器を使用してる人であれば、一度チェックしてみるのがおすすめ。
物凄くタイトに作られていたり、ネジがめちゃくちゃキツく締められているようであれば、その影響が出てしまってる可能性があるかもしれません。」
なんていう一文が。
 え?…ピックガードを止めているネジをゆるめてみると音が変わるって話か? マジか。それなら今すぐ試せるぞと。

 ということでやってみました。
 自分のギターを取り出しアンプにつないでまずはひとしきり弾いてみます。まぁいつもの音なので特に違和感もなく、まぁ強いて言えば相変わらず「俺って下手だなぁ」と思いつつ、それもいつものことなので違和感もなく、まぁこんな感じかなと。
 そしてプラスドライバー出てこいやっ!…と無駄に気合を入れて(嘘)、とりあえずピックガードの周囲に11個ある(合ってる?)ネジを、すべて角度にして10度くらいゆるめてみます。
 そしてまたジャ〜ン…お?…マジ?…なんか音が柔らかくなったような?
 気のせいかなと思ったりもするのでもう一度締めてみます。ジャ〜ン…おお〜やっぱり違う!
 そしてまた同じくらいゆるめてジャ〜ン…お〜!
 なんていうんでしょ、柔らかくなったという表現が一番合ってるかなとは思いますが、硬さが減ったと言うか(同じことを言っているようですがニュアンスの違いですなぁ)、歪ませた場合は、芯の要素がすこし丸くなって、音周縁部のザラザラした感じとかチリチリした感じがちょっと大きくなっているような、主観的な物言いとしては温かみを増したような感じがします。だからクランチ状態だとより一層、ちょっと味的な要素が増えて、ピッキングのニュアンスでけっこういろいろできるかもなんて思ったり…(そもそもそんな小技できねぇだろってw)。
 いやぁ、たったこれだけのことでこんなに違いが出るもんなんですねぇ。本当に今の今まで知らなかったです。こういうことって誰も教えてくれないもんなぁ。
 そういう意味では、あちこちネジ止めでできているストラトは、自分の好きな音を探すためのギターとして面白いギターなのかもしれませんねぇ…まぁ、テレキャスでもムスタングでもジャガーでも、フェンダー系ならみんなけっこう遊べそうですね。まぁ、ギターの音をマジで追求している方達って、ボディー材やネック材だけじゃなくて、ペグやナットやバネの材質までまぁ細かく試して、しかもけっこう高額なものを使ったりしている方もいるけど、それも確かに分からなくもないなぁ。これぞ「沼」でしょ、マジで。
 とは言えこんな感じでめちゃくちゃお手軽にちょっと試せちゃうようなカスタマイズもあるということで、フェンダー系のギターをお使いの方、是非ね、ちょっとやってみてください。もちろんそれが気にいるかどうかはご自身の主観がすべて。気に入らなければ戻せばいいだけです。
 あ、それとくれぐれも壊さない範囲でやりましょうね。ネジとかね、締めすぎるとネジ切れたりしますからご用心を。もし壊しても私はもちろん責任は取りませんからね。自己責任でよろしくお願いします。

 で、この音、しばらくこのまま使ってみようかなと。まぁ、ちょっと自分の感覚的には柔らかすぎるかもしれないとは感じているので、すぐに戻すかもしれませんけど。

 さてここからは後日談。
 冒頭に書いていた「なんでストラトの音が材で変わるんだ?」的なことをX(旧Twitter)でつぶやいてみたら、見知らぬ方からレスをいただきました。曰く、
「振動はピックアップから拾っているのではなくて、ピックアップはあくまで弦振動を拾っているだけ。
材が変わると弦振動が変わるので音が変わる。」
とのこと。
 ん?…あ、そっか。ピックアップが拾うのはあくまで弦が揺れることで発生した磁界によって生まれる電磁波的な信号ってことだからピックアップ自体に物理的な振動が伝わってもそれは影響がないてこと…そりゃそうだな〜w とはいえ弦はネックのヘッドにつながっていて、手元側はブリッジを経由してボディ材につながっていて、さらに指で押さえたフレットからもつながっていると…で、弦を鳴らすとそのつながっている部分からその弦振動が伝わって、さらにボディやネック側で別の振動が生まれてそれが返ってきて、弦の振動に影響を与える…ってことか。なるほど…そう考えれば、ネックとボディのジョイント部とか、あまり関係なく振動としては影響するかもなぁ。なるほど〜。
 もう少し調べてみると、古いテレキャスターのピックアップなんかでは「マイクロフォニック」と言って、周囲の振動を拾っちゃうピックアップもあるようですが、今のピックアップでそれはほぼないと…。てかそれってピエゾ・ピックアップじゃん(アコギの表板等に貼り付けて音を拾うピックアップ)。待てよ…じゃあエレキにピエゾをつけたら面白くなるんじゃ?…なんて思ってさらに調べてみたらありました。ブリッジ(多くの場合右手下に来る弦を止めている金具のこと)の各弦にピエゾを仕込んだものが。これは面白そうだ。今度つけてみようかな…え? ライヴするわけでもないのに?…ですね。調子に乗りました。すみません。  とするとピックガードのネジをゆるめると音が変わるというのは?…ええと…ピックガードのネジをゆるめると、ボディ材への貼り付きが弱くなって、ボディがより一層振動しやすくなる…みたいなことなのかな? そんな違いが、ソリッド・ボディ(ボディの中に空間がなくて、木材のかたまりでできてるギターのことですね)のギターでも起こるものなのか??? だとすれば音って繊細なものですなぁ。まぁだから面白いのかもしれませんが。

 とかなんとかぶつぶつ言いながら、今日も時間が過ぎていくのです。てかこんなことを考えるより練習した方がいいぞw てか、こんなことが気になるなら、電子工学的なことでも勉強したらいいんじゃね?w
 ともあれお教えいただいた方、本当にありがとうございました。

※ちなみに写真は栃木県那須高原の茶臼岳。
 茶臼岳っていうのは活火山なので、いつもではないけどけっこう頻繁に煙が上がってるんですが、その煙が夕陽を浴びてきれいだったので、慌ててカメラを取り出してシャッターを切ったという写真です。
 那須高原というのは自然豊かな場所ではあるんですが、那須に住んでもう20年超…そんな光景にも慣れきって普通に暮らしていると、突然、本当にすごい光景に出逢ったりするので油断なりませんねぇ…とか言いつつ最近はカメラを持たずに出かけることが増えちゃってて、ついついiPhoneですましてたりしますけど。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 50D + Sigma 70-300mm F4-5.6 APO DG

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