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田舎暮らししながら世界に向かって音楽を配信しつづける人の話素人

eastern bloom 小島美紀&崇

小島美紀

eastern bloom ボーカル
岡山県出身。ミュージカル俳優を目指して上京した後、ボーカリス...

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美紀:さあ、始めましょう。第2回です。

崇:はい。突然ですが、大変ですよ。来ますよ。10月から消費税10%。

美紀:はあ…。

崇:大吟味社会です。断捨離経済です。数年前から世の中のおとーちゃんたちの昼飯は1,000円くらいだったのが、ワンコイン(500円)になったとかなんとか言われてますが…。

美紀:はあ…。

崇:これからは、究極の行きつくところは「0円」です。断昼メシ。削りまくりです。大体消費税導入されて20年位経つのに、大学まで学費がタダになるとか、医療費、高速道路が安くなるとか、還元できないどころか食べ物が小さくなって、消費が縮小化するのが分かってきたのに、もう止めりゃいいのにねぇ。失敗を認める。そんな時代に我々の音楽は…(以下略)。

美紀:うん、それは今度ゆっくり話そう。

崇:はい…。

美紀:今日は初めての録音の話をするんじゃなかったの?

崇:はい。というかもう「曲作り」の話やね。まあとにかく作曲なんぞは夢のまた夢の話でしたわ。神々より選ばれしものの御業。天賦の才が必要だと思ってたもの。

美紀:そうだったのね。

崇:そうだったのです。しかしね、そもそも、音楽って色々な楽しみがあると思うけど、演奏家の技術を楽しんだり、アーティストのカリスマ性とか、個性とか革新性を楽しんだり、はたまた見た目がとにかくカッコいいとかいろいろありますが…。

美紀:はい。

崇:自分はとにかく「いい曲を作る人」に惹かれてた気がする。なのでモチベーション的にはよい方向性だったと思います。いい曲って言っても結局自分の趣味の曲ということだけれども。世界観がしっかりしている曲。その人しか出せない雰囲気が出ている曲。

美紀:そうそう。そういうのを私も求めてて、私が想像している世界観の曲をパパが作れると普通に思ってた。

崇:むちゃくちゃな…。そういう勘違いから作品作りが始まってたのですね。ど素人だったじゃん。ちなみに人生で初めて一生懸命作った曲は、「The secret of the acient forest part 1」と言う曲で、もれなくボツになりました。

美紀:はい。

崇:その後作ったのが、「Wood's voice」という曲ですが、これは初めアレンジ酷評でした。忘れもしない。

美紀:あー私も覚えてるわ。

崇:そうです、かなーり頑張って、ドキドキしながら「どう? こんなの?」って聞いたら、出てきた言葉が…。

美紀:「なんか水戸黄門みたい。」

崇:そうでした…。しかしまさにその通りだったので、キレることができませんでした…。以後ダメ出しはキツい言葉が遠慮なく飛び交います。それが我々のスタイルです。

美紀:つーか、キツい言葉だと自覚してないんだけどね。それから私もアレンジに参加するようになったんだよ。まあそもそも曲の作り方を知らなかったし。音の構成とか、音の大小、音質、どの楽器がどこで鳴るかとか、そういう観点で曲を聴いたことがなかったから試行錯誤だったね。

崇:ロリーナの曲なんか謎だらけだったね。衝撃を受けたのは「The Mask and Mirror」「The book of secrets」でしたが、結構惹かれたのが「ドローン」だね。

美紀:ドローンっていうと今は別のモノになっちゃうけど。

崇:そうですね。知ってる方も多いと思うけど音楽でいうドローンっていうのは、一定の音を(キーの音)を低音でブーーンって鳴らし続けるモノで、瞑想の世界に入っていくような。聴いていると精神の内面に気持ちが深まっていくものですな。例えばインドでいうと「タンブーラ」っていう楽器なんかはそれ用だったかな。普通のコード進行とは違い「動かない」感じがなんかカッコイイなあと思ったものです。我が家の場合は「ディレイ・ラマ」っていうソフトシンセが活躍しました。

美紀:お坊さんのやつ。

崇:実は4th.アルバム(トラ猫のワルツ)でもこっそりところどころ入ってます。時の流れは残酷なもので音質的にも環境的にも動かすのに無理があるんだけど…。そんな風に試行錯誤を繰り返して、水戸黄門からは段々脱却し始めました。

美紀:「Wood's voice」では、4つくらい旋律が徐々に重なって同時に動くっていう構成になってて、それを考えるだけで楽しかった!

崇:ピュアですねー。(当時20代前半。)そんなんが出来ただけでも楽しかった訳ですね。

美紀:バッハの曲なんかそういう要素が多いから割とイメージしやすかった。ピアノ習ってた時、バッハ好きだったから。

崇:はい。

美紀:昔、ちょこっと作詞を習ったとき、曲っていうのは「Aメロ・Bメロ・サビ」っていうのがあるんだと言われて、そういうものがあるとその時知ったんだけど、ロリーナって結構「ずっとAメロ」っていう曲なんか多いんだよ。そんなのを参考にして、一度好きな様に曲を作ってみたんだよね。

崇:いままで作曲をやってきてないが故、とくに問題なく作業がすすみましたな。「知らないのは罪」っていう言葉があるけど…。

美紀:「知らぬが仏」。

崇:そうですね。まあ、あとあと未熟さを突っ込まれることもありましたが、そんなものは知りません。未熟だという感覚すら分からないんだもの。コード進行も特に拘らなかったし。

美紀:「後の祭り」。

崇:すごいシンプルだよ。でも好きなアーティストはよく聞くとみんなシンプル志向の曲作ってるわ。

美紀:そういえば、「聞こえない音」ってのが大事ってパパがよく言ってたね。

崇:聞こえない音なら、必要ないでしょ、という…。

美紀:そうじゃないでしょ。

崇:はい、聞こえるか聞こえないか絶妙な音のことで、映像でいうサブリミナル効果みたいなもので、有ると無しでは曲の世界観が変わるんですよ。だから、「世界観を強調したいなら、聞こえない音に拘るべき」といまだにおもっております。

美紀:これは割と曲作り最初の時点で気づいたことだね。

崇:当時、耳良かったんかな。今は「小島さん」3回くらい言われて気が付くときがあるけど。

美紀:あと、同じフレーズをループさせるの好きだよね。(ツッコミなし)

崇:あーそれはもしかしたら、その時"Under World"とかが流行ってたからかも…。フレットレスベース一発取りして、永遠に回してる曲作ったねぇ。

美紀:民族音楽どっぷりじゃなくて、畑違いの音楽を聴いたり演奏したりしてきた人の面白さみたいなのが出せたのかもしれないね。
 では今回はこの辺にして、次は民族音楽の魅力の話か、1st.アルバムを完成させたときの話でもしますか。あ! 都会の狭いマンションの一室での録音生活の話してないね。それはまた後程。

崇:へい。

「The Mask and Mirror」(右)「The book of secrets」(左)ケルト系カナダ人アーティスト、ロリーナ・マケニットの5th.アルバムと6th.アルバム

「うろ覚えだったジャケットのイメージ」、「ダビングで劣化したカセット」、「カナダ人」というヒントしかない中、小島崇がアレコレ調査しながら、(当時はインターネット黎明期)奇跡的に見つけ出した。
まちがってローリン・ヒルのアルバムに出会ったりしてる。(これはこれですごく良かった。)
もし、見つからなかったらイースタン・ブルームは生まれなかっただろう。

ちなみに7th.アルバムまで長らく活動休止となってしまう。

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