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Logo Mark田舎暮らししながら世界に向かって音楽を配信しつづける人の話撃沈

eastern bloom 小島美紀&崇

小島美紀

eastern bloom ボーカル
岡山県出身。ミュージカル俳優を目指して上京した後、ボーカリス...

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崇:はい、第7回です。

美紀:はい。

崇:前回は「夫婦ユニット、ボニーピンクの前に撃沈」という話だっけ?

美紀:ちゃうわ。

崇:ボケ止めますか?

美紀:本題ですが、子連れプロモーション後の話です。実はその時、「絶賛、次のアルバムを来年リリース予定!」とか言っちゃってたのよ。

崇:だけど、アトピっ子との生活にどっぷりハマってしまい。アッという間に一年以上が経ってしまいました。まあ仕事もトラブル続きだったしね。

美紀:そうこうしているうちになんと。

崇:なんと。

美紀:2人目ができてしまいました。

崇:おめでとうございました。

美紀:それで、これは流石にヤバい。半年後位には録れなくなる!!となり。またまたストーリー作りから始めたんだよ。

崇:ほう。

美紀:でも、具体的にどうやって作ったのか覚えてない。忙しくて。あ、でもその頃、音楽家の友人が紹介してくれた「ラッチョドローム」というロマ民族のドキュメンタリー映画にハマって、次回作はロマのテイストを取り入れようと思ってたのよね。

崇:インドからヨーロッパへのロマ族の民族移動と共に音楽性がどの様に変わっていったか、どのように地元に根付いていったか、すごく分かりやすくて、ハマりましたなぁ。

美紀:いい映画だよねぇ〜。

崇:そもそもケルト音楽をベースとしながら、インドの楽器とか使っていたので、大分ケルトから脱線してたんだけど、この映画のお陰でさらに脱線したわ。別路線に。あと、「サードミラクル」というエド・ハリスとアン・ヘッシュの映画が印象深くて、それもストーリー作りのヒントになったんだよね。

美紀:そうそう。セカンドもストーリー仕立て。

崇:実際、セカンドの歌詞の中にファーザー・ゴルシュという名前が出てくるんだけど、その映画のエド・ハリスのイメージだったりする。

美紀:でも、内容全然覚えてない。今観たら全然印象違うんじゃない。

崇:覚えてないねー。ダメだートシだねー。

美紀:あとは、自分の実体験を基にしつつ、架空の話を作ったんだよね。で、曲が出来たから録音じゃー!となりましたが、今回はどっちかが常に長男を見ないといけないから、作業が偏ったね。アレンジはパパに丸投げ。

崇:ママの作詞作業は、僕と息子2人で公園に遊びに行って、その間にママは「モス」とかに行って集中してガーっとやるという。逆のパターンもあったね。

美紀:家には居られないんだよね。日頃子供が居るとできない家事をついついやってしまう…。

崇:録音自体は、割と順調にいった。前回話したCM録音のときの経験が功を奏したのか「しー」っていうと静かにしてくれるんだよ。

美紀:確かに、静かに遊んでるのよ、本人的に。おもちゃの電車で。だから、たまーにゴロゴロ音が入っちゃったり、走らせながらついつい「プシュー」とか、効果音を出しちゃうの。

崇:かわいいんだけど、結構イライラしてしまったねぇ。

美紀:で、「またやっちゃったー」っていうような申し訳なさそうな顔して、隣の部屋の布団に潜って「いいよー」って言うんだよ。結構苦労させたよね。

崇:今考えると、大変申し訳ない。

美紀:結局あまり集中できなくて、歌に関しては大していい歌が録れなかったんだよね。引っ越した後、歌だけ全部録りなおすことになる。

崇:というか、当時アパートの両どなりの世帯が、それぞれ問題があったみたいで、録音がしばしば中断されんだよ。

美紀:そうそう。防音の部屋じゃないし、もろに音が入っちゃう。

崇:片方は小6位の子がいて、しばしば夜になると急に大声出して怒り出して。

美紀:ドンドンドンドン!!!って地団駄踏むの。

崇:小6位になると地団駄のパワーがちょっと違うよね。NZのオールブラックスみたいな迫力。大地の鼓動。こっちの部屋まで地響きが伝わってきた。下の階の人が心配だった。

美紀:その度にその日は録音終了〜。で、反対側もさらに凄かった。

崇:こっちは夫婦喧嘩が絶えなかった。

美紀:その度にその日は録音終了〜。

崇:音から察するに、取っ組み合いの喧嘩になってて、何度か警察呼ぼうかと思った。

美紀:最後の喧嘩がやばかったね。

崇:「もう離婚だーーー!」「キャーーー!!」⇒ドスンッ!!⇒シーン………その後ずっと無音。さすがに110番しようか迷った。

美紀:こっちは怖くて、超静かに聞き耳立ててたね。ちなみに丁度その時、私は出産予定日の頃で、陣痛らしきものが来てたの。助産師さんにも「陣痛みたいなの来ました」って電話してたんだよ。だけど、その衝撃で、お腹の方も静かになっちゃった。

崇:陣痛って止まるんだ!って超びっくりした記憶がある。ドラマとかでよく「うっ!」って急になって出産のシーンへと向かうシーンがあるけど、あんなのウソだね。もっとデリケートだよ。

美紀:ハハハ…。で、その後しばらく陣痛来なくて、結局出産予定日を大幅に遅れて出産となったんだよね。赤ちゃんも、外に出るのが怖くなったのかもねー。

崇:で、その騒動の翌朝、お隣にご両親らしき人たちが来て、引っ越して行った。どうやら無事だったらしく、安心したよ。でも、やっぱりあれは110番すべきだった…。

美紀:とにかく、怖くてね…。その後両方とも新しい家族が入って、どちらも凄くいい人たちで、平和になったね〜。

崇:まあ、そんな困難を乗り越え、なんとか出産までに録音を終えることができました。

美紀:なんとかね。

崇:しかし、よく考えると、出産まで7か月位の間に、構想から作曲、作詞、編曲、録音ってよく終わらせられたよね。超特急だよね。やればできるんだね。なんで今やらないんだ。

美紀:…そして、私は産後、編集作業をパパに丸投げ。

崇:そして、完成した音源を遅ればせながら、約束通りレコード会社の担当者に送りました!!

美紀:おーー!

崇:で、連絡しました!

美紀:おーー!

崇:そしたらさあ、何て言われたと思う?

美紀:何でしたっけ?

崇:「今、パフュームで忙しいから…」だって。

美紀:…。

崇:……。

美紀:ということで、2nd.アルバムはその後数年間、人目に触れることなく、眠りにつくことになったのでした…。

崇:ということで、今回はこの辺で。

eastern bloom 2nd.アルバム「The Dreams of A Puppet」

私たちeastern bloomによる。セカンドアルバム。1st.同様アジアンとケルトの融合に加えて、ロマのテイストを取り入れ、今のところ、最もエキゾチックなアルバムに仕上がっている。
完成後数年眠っていたが、2012年ボーカルを再録音し、自主レーベルにてダウンロードで発売された。のちにCD化し、現在Amazonでも購入可。
Amazon

「Latcho Drom(ラッチョ・ドローム)」

トニー・ガトリフ監督によるドキュメンタリー映画。
インド・ラジャスタン地方を出発点に、ロマ民族のヨーロッパへの長い流浪の旅路が音楽と踊りなど映像で綴られている。
なんと8か国も巡っている! ロマの音楽は、それぞれの地域でその土地の音楽と融合し、全く違ったものになっていくのだが、どこか根底に共通するものを感じてしまう。
その変遷、それぞれの世界観、歴史、とても興味深い!!

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