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Logo Mark歯を磨く様に演じるシニア劇団第2回公演を終えて

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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この4月24日無事にシニア劇団スターライト第2回公演を大成功で終え、少しホッとしたところである。自分で大成功というのもお恥ずかしい話だが、本当に今考えても大成功で大盛況だったと思う。
しかし稽古スタート時から順調な訳ではなく、今回は海野十三の『見えざる敵』を私が脚色して台本にしたのだが、やっぱりしっかりした既成台本の芝居をやった方が良かったのかなと何かにつけて考えていた。その方が完成度は高いだろうし…。
しかしそれも稽古後半になってくるともう後戻りも出来なく、腹も括らざるを得なくなり、
『この公演にとって何が成功なのか。』
に思考が転換していった。
自分が育った商業劇団では、技術的にも上手くやるのは必須事項であり、駄目出しなんかも心が折れようが折れまいが容赦なくくる。1番下っ端の時は食事時、駄目出し集中攻撃にあい、食べ物が喉に通らないことも度々あった。
さて、それではシニア劇団スターライトでは何が勝ちなのか?
勿論上手く出来るに越した事はないが、それ以上にメンバーの皆が一生懸命楽しそうに演じている事、輝いている事かなと思う。あと私が願うのはチームとしてコンビネーションが良く、持ちつ持たれつ芝居中過ごしている事。
思い返すと公演2ヶ月位前までは、昨年の第1回目の公演の評価が思いのほか高かっただけに、観て頂く作品として心配な面もなくはなかった。
今ひとつ演出していてこれが見せ所という決め手が見えてこなかった。
でもそれから後、本番までの作品完成への前進スピードはとても早くて最後の方では、皆の芝居を見ながら笑っている自分がいた。
『他の誰がなんと言おうと面白い!』
稽古期間中は常に皆様の様子も面白かった。
私の迷いとは裏腹に、衣装を着ると役へのスイッチが入る様で、衣装が早々と自ら用意されて稽古中もほぼ本番の衣装だったり(勿論、今回は1人何役もやるので、稽古中に慣れておかないと出番の前にミスをしたりするので、なるべく本番使う物は使い慣れてと、お願いしておいたのもある)。
また、日に日に小道具が増えていった。もともと上海を舞台にしたお話なので、“上海”で“パンダ”とオープニングのところでパンダを登場させるべく、
『パンダの被り物を(私が)買いました。』
とLINEに画像と共にメッセージを入れたら、メンバーから即座に犬の耳のカチューシャと首輪の画像が送られてきて、 『実は私も(買いました)』と。
『犬耳、何処に使うの??』
と私が思った位些細な箇所だったのだが、そこにも早々と小道具が用意されていた。
自作のアイドル応援用の団扇も犬の尻尾も登場したりした。
今回はバック幕あたりに書割(舞台の背景の絵)が無いので、その代わりに元々その場で登場しない役者は街にいる様々の人物になって登場して欲しいとお願いしておいたら、ある時買い物籠をさげてエプロン姿のお母様が芝居中何気なく通って行った。
『ALWAYS 三丁目の夕日』には出てくるかもしれないが、上海の観光地にはおそらく、いや、決していない人物。
でも、この位の遊びはいいかとそのまま生かしておいた。
そして大変有難かったのが、生演奏、音響を担当してくれたツルタハルさんが何度も何度も稽古に付き合ってくれて、いつも、
『面白い! 面白い!』
と言ってくれた事。盛り上げることがあまり得意ではない私にはとても心強かった。
照明のRONくんにはきっかけ数箇所は必ずとお願いしたが、他は役者の顔、身体表現が見えること、袖幕にちゃんと入れる明るさであること以外はお任せで、とお願いをした。
最終的にはメンバー皆さんの長年培ってきたパワーと技量と生演奏、照明、そして沢山のお客様との化学反応で大成功に終わったと言いたい。


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