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Logo Mark歯を磨く様に演じるシニア劇団スターライト第3回公演終演!

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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やっと終わったのか? あっけなく終わったのか? 長かった様でもあるが、いざ終わってみるとなんだかもの寂しいもので…。
2月19日(日)シニア劇団スターライトの第3回公演が無事に終わった。
スタートから振り返ってみるといつもに増して大変だった。
まず脚本。女性3人男性3人でそれも全員シニアメンバーがやってもシックリくるもの。本当、ないんだよねぇ。これが全員若者だったらそうでもないんだろうけど。何本脚本読んだろう。
やっと見つけた台本『雨と猫といくつかの嘘』。調べてみると若者達が公演した資料は出てくるが、シニアさんがやった情報はなかった。でもこれならこのメンバーでいけると思う。
そう思って読み合わせをしたのだが、キャスト皆そこそこ台詞の量がある。覚えられるかしら? 不安…。定年して初めて舞台に立つ方もいる。恐る恐る、
『これ…、覚えられるかなぁ…。』と言う私にたいし。
『覚えられるんじゃない。』とさっぱり返答されたには驚いた。
実はその時もう少し短い台本も保険として持っていた。そんなには気にいったものではなかったが、覚えられないんじゃ仕方がないと思って。
そして台本を持ちスタートしたのが確か去年の7月位。
今年度は来春に転勤の可能性があるメンバーと3月は忙しいメンバーがいたので、本番が前回よりほぼ2か月早い。もうこの時点で、既にカウントダウンが始まっている。
読み合わせ、配役決定が8月16日。この日にちを見てしまうと、まだまだ先と思えてしまうところが恐ろしい。
そして台本を3分割して読みから覚える作業に入る。
本当、学生の脳には勝てないんだよね。一旦覚えたかなと思っていても次の時には何処かへ流れ出てしまうのか、ところてん方式で押し出されてしまうのか台詞が身体に留まってくれない。
『お正月、お家で覚えてくださいねー』で2022年の稽古はあっけなく終了。この調子で行けば台詞は覚えられるはず(と思いたい)という希望のもと。
本当に確かっているのが第1回から演奏を担当してくれ、今回はオカリナ演奏をしてくれたツルタハルさん。既成の曲もありだが、イメージがいまいち。それに何かの時に役者に合わせてくれないし、メンバーも盛り上げてくれない。彼女は人を盛り上げる才能がある。それは凄く有難い事。役者のモチベーションによっても芝居の良し悪しが大いに左右されてしまう。
年が明け、稽古を週2回に増やし、稽古は進み、なんとなく形になってきた。
これでいけるだろうと思われたのが1月中頃。公演約1ヶ月前。
照明に関しても前回頼んでいた方が、都合が悪く関われないとの事で、出番が後からのキャストと私とでいけるんじゃないかとおぼろげには考えていたが、各所に流れる雨音も同時に操作するので少し不安。結果、機械物に弱い私はパソコンと闘いつつ雨音をCDに落とし、誰でも簡単に照明操作できる様、単純な照明に。照明機材の取り扱い説明書を読む事から始めた。
舞台の飾りはどうしよう? 雨に見える物はなんとかして吊りたい。でも予算が…。毎日のようにAmazonのページともにらめっこをしていた。
ある時、稽古をしていてト書きにあるように傘(ビニール傘)をさしながらブルーの照明の下を通ったらとっても綺麗だった。
『これでいこう!』
最近流行っているアンブレラスカイを参考にし、ビニール傘を吊り、それに色の照明を当てることにした。
お客様も本番1週間前位に2公演とも完売。キャンセル待ちまで出た。これは凄い事。
芝居に関しても本番前日のゲネプロまでは、そこまで思わなかったのだが(私にも余裕がなかったからかもしれない)、本番当日照明と音を入れながら芝居を見ていたが凄く良かった。本当に良かった。なんだろうこの最終のパワーは?? これが人生を走り抜けてきた人達の力なのか。
こうやって振り返ってみると、本当に大変だったが、やっぱり公演が終わってしまうとなんだか寂しい。


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