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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝オンラインとライブ戦術〜ブシロードのコンテンツ経営に学ぶ

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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 野林徳行です。
 「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただくことになりました。
 アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
 1回目は、2020年1月4日・5日東京ドームで7万人を動員した新日本プロレスから親会社のブシロードの考え方を学びます。


■ 新日本プロレスの躍進

 ブシロードが新日本の親会社となってから躍進を続ける新日本プロレス。広告宣伝力、配信戦略、海外戦略、グッズのレベルの向上、世界のプロレス団体との提携など、ブシロードのナレッジや資金力で大きな成長を遂げました。また、最大のコンテンツである選手についても、ブランディング、SNSの促進による発信力の強化、アミューズとの提携による露出強化、そしてなによりも人材育成や他団体選手の獲得とまさに経営レベルの向上が見て取れます。現在ではアメリカのWWEに続き世界第2位の団体となっていますが、木谷会長としては1位との差がまだまだ大きく、これをどう詰めるかだ、とおっしゃっています。
 この1月にはさらにメキシコ最大のプロレス団体CMLLとの提携により、ルチャリブレと呼ばれるメキシコのプロレス大会を日本で開催しました。新日本プロレスは、どちらかが立ち上がれなくなるまで戦い決着をつけるイメージ、WWEは、シナリオライターによるスーパースターのドラマに共感しているイメージ。ルチャリブレは華やかなマスクマンたちが飛び技や関節技を得意のパターンで楽しませてくれるイメージ、必ず正義の味方側と悪い側に分かれて戦うパターン。こういった違いがあるのでそれぞれを楽しめるのと、それぞれの団体のレスラーの融合を楽しむこともできるのも魅力です。新日本プロレスは、イケメン選手や楽しいメキシカンを投入することで女性ファン層を獲得し業績拡大を実現しています。ブームは、女性がついた瞬間に爆発を始めます。以前のコアファンだけのエヴァンゲリヲンが女性ファンを獲得したことによって一気にメジャーに躍り出たのも納得できます。コンビンのキャンペーンでもジャニーズ事務所やLDHとのタイアップが行われるのも女性がわざわざ店に足を運ぶことが期待されているからなわけです。


■ スターダムの買収

 海外のプロレスは、男性だけでなく女性も活躍していて、同じ興行の中で男性の試合、女性の試合が行われます。木谷会長は、日本は、男子プロレスと女子プロレスが明確にわかれていて体質が古いと感じていたようで、現在の女子の最強団体で、アメリカのWWEにも選手を輩出するスターダムをブシロード配下に置きました。前述の1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会にはスターダムの提供試合も行われました。またテレビ朝日のワールドプロレスリングの放送でもスターダムのTVCMが入っています。1つの興行で男女の試合があることが当たり前になることが、世界標準であるし、配信ビジネスをしているということは、2ブランドで行うよりも1ブランドで行う方が効果的です。今後の進展が注目されますが、世界に目を向けたところで、過去にはありえなかったことが、スピーディーに行われるいい事例だと思います。


■ ブシロードの考え方

 もともとカードゲームで躍進したブシロード。次々に登場するアニメコンテンツを駆使して上場まで果たしました。ブシロードが注力する戦術は、デジタル戦術とライブ戦術だと思います。音楽は、ダウンロードが当たり前になりCDは売れなくなりました。そんな中、ライブビジネスは伸び続けています。デジタルによって便利に好きなものに触れられるようにはなりましたが、ライブにおける感動体験は大きく心を突き動かします。日本ではライブを動画で撮影して拡散することは多くの場合禁止されていますが、海外では、スマホで拡散されたところでライブに行きたいという欲望が減ることはなく、むしろ最高の宣伝ととらえているようです。とくに世界をまたぐアーティストやスポーツなどは配信や動画での拡散をすることで期待を煽る効果があります。
 グローバルを意識すればオンラインであることがマストになります。拡散のスピードが圧倒的に違います。オンラインで見ているとやはりライブに行きたくなります。そこでの感動体験が濃いファンを作り、またオンラインで拡散してくれます。2つの戦術というよりは、深いファンになっていくための連携という感じです。ネットビジネスの雄の方々と話していると、成功しているのにリアルビジネスの質問が増えていきます。感動している姿を実際に見ることでもっと喜ばせるアイデアが生まれるのも事実です。一人で楽しむ、みんなで楽しむ、その場で共感する これがオンラインとライブを通して体感できるわけです。ブシロードのコンテンツはアニメが多いですが、オンラインゲームでファンを作り、それがミュージカルやイベントでさらに深いファン、新しいファンを作っています。この成功の図式、世界を見据えたブシロードの考え方が新日本プロレスの躍進と今後のビジョン設定に生かされています。そしてすでにコンビニエンスストアというプラットフォームにも展開しています。
 これもリアルな場の活用ですね。今回は、オンラインとライブは別の戦略ではないということ、意外と多くの会社や商品やコンテンツでうまくできていない気がします。いかがでしょうか?

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野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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