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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ワンマンミュージカル『Without You』とミュージシャンのすごさ

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
99回目のコラムです。アンソニー・ラップによる自伝『Without You』を舞台化したワンマンミュージカルをIMMシアターにて観てきました。Spinartで大変お世話になっているハイブリッドロックンロールバンド「LiNX」のリズム隊、沢木優さんとAki(岡田暁彦)さんが参加しています。2人を観るのが目的でしたが、アンソニーのストーリーと表現力に魅了される時間となりました。また、このショーに指名されること、短期間に一体感のある音楽を仕上げてしまうことにミュージシャンのすごさを感じたとも言えます。


■ WITHOUT YOU

舞台&映画版のミュージカル「RENT」でマーク役を務めたアンソニー・ラップによる自伝『Without You』を舞台化したワンマンミュージカルです。「RENT」作者のジョナサン・ラーソンとの出会いと深く結ばれた絆、大切な母との愛と別れのストーリーになっていて、舞台オリジナルキャスト本人が描いた作品です。
これまでアメリカ各地、ロンドン、カナダ、韓国で公演を重ね、2023年1月25日にブロードウェイで開幕し、4月30日までの期間限定公演でスタートした後、6月11日までの延⻑が発表された話題作の待望の日本公演が実現しました。
来日公演におけるバンドメンバーは、キーボード:Daniel A. Weiss、ギター:Lee Moretti、そして、ドラム:沢木優(LINX)、ベース:岡田暁彦(LINX)、チェロ:田元真木という構成です。
沢木さんと岡田さんは、確か日本のヘヴィメタルバンド「アンセム」の周辺の方からお声がかかったというようなことをSNSで投稿していたのを拝見したことがあります。


■ Anthony Rapp

アメリカ・イリノイ州出身。 9歳から俳優としてのキャリアをスタートし、ジョナサン・ラーソンのトニー賞、ピューリッツァー賞を受賞したミュージカル『RENT』のマーク・コーエン役で知られています。ブロードウェイには「Precious Sons」でデビューしドラマデスク賞、アウター・クリティクス・サークル賞を受賞。
映画界でも活躍し、「ベビーシッター・アドベンチャー」「青春の輝き」「バッド・チューニング」「私に近い6人の他人」「Man of the Century」「ロード・トリップ」「ビューティフル・マインド」などに出演。テレビは「X-ファイル」「LAW & ORDER:性犯罪特捜班」「サイク/名探偵はサイキック?」「スタートレック:ディスカバリー」などに出演しています。2006年にニューヨークタイムズでベストセラーとなった『Without You: A Memoir of Love, Loss, and the Musical Rent』がサイモン&シュスター社から出版され、この作品『RENT』を自らが出演するワンマンミュージカルとして上演し高く評価され、日本公演も実現しました。


■ 感想は

前述したようにLINXの沢木さんと岡田さんを観に行ったのですが、もちろんすばらしい演奏ながら、このストーリーを1人(と5人のミュージシャン)で演じる姿に圧倒されました。歌の部分もあり、セリフの部分もあります。大切な人とのやり取りは、自分のその人のトーンを分けて演じています。ショーでしゃべっている人はアンソニーだけなのです。歌声、セリフの表現力が心を揺らします。日本語字幕が出るので内容も理解できます。演技も素晴らしいので、アンソニーとバンドメンバー、そして日本語訳を追いかけるためやや首に負担はありましたが…。期待を大きく上回るショーでした。ミュージシャンは、アンソニーたちが、来日してからこのストーリーをリハーサルするのですが、よくここまで一糸乱れぬストーリーを創れるなと圧倒されました。MCがあるわけではありません。ずっとアンソニーのストーリーの中にいるのです。沢木さんと岡田さんのSNSでリハーサルの様子やアンソニー、ミュージシャン、スタッフとの会話なども投稿されていましたが、積み重なる自信を感じとれました。今まで体験したミュージカルとは違うステキな空間を味わうことができました。


■ 熊本のMusic Bar Slap

話は変わりますが、先日このコラムでも何度も登場するGinza Edit!というバーのオーナーと常連客で熊本ツアーを行いました。バーらしく、目的は、日本酒・球磨焼酎・ワイナリーの見学でした。みなさん通の方々ですので、行きたい蔵やワイナリーがありましたが、これもまたEdit!常連の熊本在住のプランナーたちがステキにツアーコーディネートしてくださいました。2日目に行ったMusic Bar Slapは、お客様が歌えるライブバーです。リクエストできる冊子が置いてあるわけではなく、紙に歌いたい曲を書いて渡すというもの。よく見ると店員さんが二人しかいません。「お客様、用意ができましたのでステージへどうぞ!」ということで、ツアーメンツが上がっていきます。歌謡曲からフォークまで。ステージに上がってくるミュージシャンは、お店の人と、なんと演奏しに来ているお客様。ギター、ベース、ドラム、キーボードが揃い、ヴォーカルの前にはモニターに歌詞が出てくるのですが、歌詞にコードがついています。ミュージシャンたちはそれを見ながら演奏するようです。リクエストしてからちょっと時間がかかるのは、知らない歌もあるようで、ケータイを耳に当てて耳コピしているようです。みんなとても気持ちよく歌っていました。わからなくなってしまうとギターの人が歌詞とコードの部分を指さしてリードしてくれます(笑)。じゃあ、私も!ということで、Deep PurpleのSmoke oin the waterをリスクエスト。この曲には耳コピはいらないようで楽しくライブしました。これならどうだ!と、NirvanaのSmells Like Teen Spiritをリクエストしてもいきなり、「準備OKです」ということで演奏スタート。なんと快適な時間でしょうか! ここでもミュージシャンのすごさを感じたのでした。


自分も「とことん観察マーケティング」の講演であれば1秒後から始められますが、こと音楽については何度も何度も繰り返し練習しないとできないので、天才的な音感の人たちにはリスペクトしかありません。そんな中でもトップを取っていく一握りの方々のライブは、ジャンルに関係なく体験していかないといけませんね。沢木さんと岡田さんも、いつものハイブリッドロックンロールではなく、バックで、「音を楽しみながら」ストーリーを一緒に創っていく瞬間を堪能しているように見えました。アーティストはステキです。いろいろ応援していきたいです!

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野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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