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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝プロレスチャリティ興行ALL TOGETHER ミッションとは何か

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
103回目のコラムです。今回は、プロレスオールスターによるチャリティ興行の話です。2024年5月6日に日本武道館において、ALL TOGETHER 〜日本プロレスリング連盟発足記念・能登半島復興支援チャリティ大会〜が行われましたので行ってきました。主催は、ALL TOGETHER 実行委員会。参加団体は、新日本プロレス、プロレスリング・ノア、DDTプロレスリング、大日本プロレス、ドラゴンゲート、スターダムの6団体になります。このブランドでは4回目の開催になりますが、今回初めて女子団体も参加しました。


■ ALL TOGETHER 〜日本プロレスリング連盟発足記念・能登半島復興支援チャリティ大会〜

2024年3月26日、記者会見にて日本プロレスリング連盟発足による記念大会を「ALL TOGETHER」として開催し、能登半島復興支援のために収益の一部を寄付することが発表されました。会見には菅林直樹(新日本プロレス株式会社・取締役会長)、棚橋弘至(新日本プロレス株式会社・取締役社長)、高木三四郎(株式会社CyberFight・取締役社長)、丸藤正道(株式会社CyberFight・取締役副社長)が出席しました。


■ 日本プロレスリング連盟

日本プロレスリング連盟は、日本国内におけるプロレスへの認知を高め、プロレスが社会の文化的公共財であることを認識し、これを普及して国民生活の明朗化と文化的共有の向上を図るとともに、プロレス事業の推進を通してスポーツおよび文化の発展に寄与し、プロレス業界の繁栄に貢献することを目的とする連合で、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、DDTプロレスリング、ガンバレ☆プロレス、大日本プロレス、DRAGONGATE、スターダム、東京女子プロレスの9団体が現在賛同団体として名乗りを上げています。以前にも同じようなコンセプトの会合が発足し、たとえば怪我がつきものの選手の保険なども議論されましたが、実質的な活動や効果はなく時が過ぎていました。アメリカのWWEのスーパースターたちは、NBAやNFLやMLBなどのスーパースターと同じ立ち位置にいたり、チャリティや子供たちのイベントや軍隊の慰問などにも積極的に登用されています。日本は、文化という点では各団体もバラバラでまだまだ成果のある状況にありません。


■ ABEMA独占配信

いろいろなプロスポーツでもABEMA独占配信が話題です。また、ABEMAを運営するサイバーエージェントの傘下には、プロレスリング・ノア、DDTプロレスリングなどが所属しています。この独占配信は、前売りチケットを3,000円(税込)で販売、また、当日チケットは4,200円(税込)にて販売していました。この配信のチケット販売期間内に、「ABEMAプレミアム」会員に新規登録し、チケットを購入した方に1,000円のキャッシュバックを行うキャンペーンも実施していました。さらにローソンチケットにて、大会を現地にて観戦し、自宅でも映像を楽しめるPPV配信付きチケットの販売も行っていました。リアルと配信、その場の興奮と振り返りでの発見などファン心理をよく理解したコンテンツの販売手法の一例ですね。日本国内に加えて、アメリカ、韓国、タイ、フィリピンでも「ABEMA Live」にて独占配信するということで、先行投資になると思いますが、いろいろとチャレンジしています。


■ 過去のALL TOGETHER

第1回、第2回は東日本大震災のチャリティー興行として行われました。東日本大震災では、巡業中の選手の被災、東北で興行をしているみちのくプロレス、センダイガールズプロレスリングの選手や家族の被災、そしてプロレスをやる意味を考えた選手たちの苦悩など、様々なことがありました。
東日本大震災に対し、『より大きな支援の輪にするため、団体の垣根を越えて力を合わせ、チャリティーマッチを行いたい』という東京スポーツの考えのもと、復興支援チャリティー興行として、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアと日本のプロレス界におけるメジャー3団体による初の合同興行として第1回武道館大会が開催されました。1979年8月26日に東京スポーツ新聞社は、当時のプロレス3団体であった新日本、全日本、国際プロレスによる合同興行「プロレス夢のオールスター戦」を主催しており、メジャー3団体の合同興行という意味では32年振りの開催となりました。この大会終了後には、翌年2012年2月19日に第2回興行を被災地である東北・宮城県仙台市での開催を発表し、復興支援は一度では終わらない宣言となりました。そして第3回興行は、2023年6月9日に「ALL TOGETHER AGAIN」として両国国技館にて開催されました。

第1回大会 ALL TOGETHER 東日本大震災復興支援チャリティープロレス 2011年8月27日
日本武道館、入場者数17,000人(超満員札止め)
会場での募金額102万6,141円を日本赤十字社へ。チケット、PPV、グッズ販売の他、大会以降に各団体で販売した関連グッズ等の売上総額5,827万3,560円を日本赤十字社へ寄付することができました。
主催:東京スポーツ新聞社
後援:ベースボール・マガジン社「週刊プロレス」
提供:新日本プロレスリング/全日本プロ・レスリング/プロレスリング・ノア

第2回大会 ALL TOGETHER〜もう一回、ひとつになろうぜ〜 2012年2月19日
仙台サンプラザホール、入場者数3,500人(超満員札止め)
2階スタンド席は宮城県・岩手県・福島県在住者対象の招待席。
主催:新日本プロレスリング(株)、全日本プロ・レスリング(株)、(株)プロレスリング・ノア
後援:東京スポーツ新聞社/ベースボール・マガジン社「週刊プロレス」

第3回大会 ALL TOGETHER AGAIN 元気があれば何でもできる! 2023年6月9日
両国国技館、入場者数6,569人
サブタイトルは昨年に亡くなったアントニオ猪木の追悼の意を込めつけられた。収益の一部はチャリティー寄付 主催:ALL TOGETHER AGAIN 実行委員会


■ 第4回大会は

レジェンドである棚橋弘至(新日本プロレス株式会社・取締役社長)、高木三四郎(株式会社CyberFight・取締役社長)、丸藤正道(株式会社CyberFight・取締役副社長)が第一試合に登場し、海野翔太(新日本プロレス)、清宮海斗(プロレスリング・ノア)、上野勇希(DDTプロレスリング)VS 上村優也(新日本プロレス)、竹下幸之助(DDTプロレスリング/AEW),シュン・スカイウォーカー(ドラゴンゲート) というプロレスを見ていない人だとしらないかもしれない若手のエースたちが、メインイベントに登場して興行を締めくくりました。世代交代であるとかプロレスの未来を見せるという意志が込められています。
日本武道館にて、入場者数は4,583人。
プロレスの未来を示すという意味では素晴らしい大会であり、各試合も熱のこもった熱狂の試合が続きました。1つ課題をあげるとすると、観客動員数。残念ながら空席も目立つ印象でした。東日本大震災の復興にプロレス界が寄与したいという強い思いの観客との共鳴。時間がたつと、観客もその思いが薄れてきたのかもしれません。
また、日本プロレスリング連盟発足記念・能登半島復興支援チャリティ大会と銘打たれています。少しチャリティがついでになってしまっていないだろうかと思います。復興支援をしたい思いがもっと強ければ、各団体もっと会場やSNSでチケットを売ることを頑張れたのではないかと思います。最後に若手のエースたちが観客に呼びかけました。「プロレスの未来を見せる」と。しかし、「能登」という言葉はありませんでした。とても大事なミッション(プロレスが社会に貢献する)への思いが少し弱まり、合同興行をやる、プロレスの未来を示すことが優先されてはいないだろうかという危惧が残りました。プロレスの未来、プロレスラーの社会での存在感は、このミッションがあっての行動であるというところの見直しからスタートしなければいけないのかもしれません。企業経営にも全く同じことが言えますね。そんな学びもある大会でした。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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