[ Spinart(スピナート) ] - あらゆる表現者・アーティストと出逢えるサイト

Logo Mark連載記事

Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝【定点観察】コンビニの店頭幕 2023.9〜2024.3

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
101回目のコラムです。今回は、定点観察として定期的にレポートしている「コンビニの店頭幕から戦術を読み取る」です。今回は、2023年9月から2024年3月の店頭幕です。みなさんにとって当たり前の風景のコンビニエンスストアですが、よくよく観察してみるとそれぞれの戦術が見えてきます。コンビニがどれもこれも同じ戦術なわけではないのです。


■ ローソン

10月:今日のパンどれにする メロンパン&塩メロンパン
10月:おにぎり350円購入ごとに 対象飲料無料券もらえる
11月:95%のお客様がおいしいと答えた Lから新登場
11月:今年のクリスマス ローソンにする? メリーデリシャス
12月:マチカフェドリンクを買うとカフェラテミルク各種39円引レシートクーポンもらえる
1月:復活!今年はWの明太 新作明太キュンキュン
2月:クリームうふふんわり~ とろ生バニラミルクシュー 濃厚生ショコラシュー
2月:盛りすぎチャレンジ お値段そのまま 47%増量
3月:天下一品こってりフェア
3月:新Wチーズケーキ 1度で2度おいしい

ローソンはこの半年は、新商品開発を訴求してきました。メロンパン、からあげ(Lから)、シュークリーム、Wチーズケーキ。ジョブチューンなどで商品開発でドラマを見せているコンビニ各社、その成果を大きく訴求しています。
偶然かもしれませんが、各商品群の発表が少しずつファミリーマートが先に発売しているところが気になります。ローソンのスイーツはコンビニの中でも評判が高いですが、ファミリーマートの質の向上とスピードの方が目立っています。クリスマスはローソンに限らず、ケーキとチキンの訴求で各社ともオリジナリティが難しいですね。やらないわけにはいかないので…感が否めません。
盛りすぎチャレンジは評判がよく、とくにプレミアムロールケーキのクリーム増量には行列ができていました。前回もあまりにも早々の売り切れでしたが、店舗への発注の徹底の問題なのか、そもそもの製造キャパの問題なのか、品切れ感が前回と変わらないのが気になるところです。
天下一品こってりフェアは今までにない取り組みでしたね。お客様アンケートのくだりとか、カフェ39円引き、対象飲料無料券などは年間を通じて定着しているようで繰り返し実施しています。52週(店頭幕はだいたい26回程度の掲示)常に新しい告知よりも、評判のいい企画は年何度も繰り返すという傾向が見られます。コンビニ4社の店頭幕をFacebookにアップしていますが、ローソンのスイーツへの反応が一番多いですね。


■ ファミリーマート

10月:ふっくら食感にたっぷり満足感 新!手巻おにぎり
10月:これがメロンパンの新常識 中までおいしいメロンパン
   生メロンパン(ミルクホイップ)バタークロワッサンメロンパン ファミマ・ザ・メロンパン
11月:新作!超濃厚チョコスイーツ登場
   濃厚ショコラバウム 濃厚なめらかショコラケーキ 濃厚ショコラエクレア
11月:ファミマのブラック「フライ」デー 揚げ物を2個買うとファミからが1個もらえる
11月:新 絶品パスタできました 麺のおいしさ極まる
   濃厚チーズソースと完熟トマトのパスタ ファミマ・ザ・ミートソース ファミマ・ザ・ナポリタン
12月:クリスマス ファミマのチキンでしょ(TWICEコラボ)
12月:あつまれどうぶつの森 コラボ商品や景品が盛りだくさん 年末年始はファミマにあつまれ!
1月:ぜんぶ自信作!ファミマのいちご狩り
2月:ごくうま四福弁当
   特製とんかつ弁当 きくらげ玉子炒め弁当 ねぎ塩チキンステーキ弁当 ビーフハンバーグ弁当
3月:中身に衝撃 ファミチキ新時代 タルタルソースin ファミチキ
3月:驚く食感 パンは生でうまくなる 生しっとりパン誕生
   生クロワッサンダブルチョコ 白生コッペパンカスタード&ホイップ 生コッペパンコロッケ
3月:ぷるあま&ほろにがさらに新感覚も 最高!プリンスイーツ登場!
   しゅわスフレプリン ふわっプリンサンド ほろっプリンタルト とろん窯出しとろけるプリン

ファミリーマートは、店頭幕を、がっちり新商品推しのツールとして使っています。さらに店内のレジ後ろの3枚の大きなサイネージ設置店舗が1万店を超えました。ツールの進め方が、足立CMOになって大胆です。
商品・販促両面での圧倒的な進化を感じます。メロンパン、チョコスイーツ、パスタ、四福弁当、生しっとりパン、プリンスイーツ。どの展開も、3~4種類の商品開発をしていて、その商品イメージを店頭幕に、そして外向けポスターに訴求しています。ファミマは商品開発に力を入れていて、今までよりも格段に美味しくなったので食べてほしいという訴求を感じることができます。
商品イメージだけでなく、言葉の使いかたもいいですね。商品名だけでなく文字にもこだわっています。数秒しか見ない店頭幕ですから、文字を少なく数秒でわかるシンプルさを求めるという考え方もありですが、ファミリーマートはあえて自信の商品を思いっきり説明しています。ブラック「フライ」デー、ファミマのいちご狩りなどステキなストーリーを感じる言葉も見逃せません。
エンタメコラボは、クリスマス×TWICE、あつまれどうぶつの森でした。
とにかく、商品開発によりファミリーマートを見直してもらおうという気概がすごいです。


■ セブンイレブン

10月:旨さ、ほとばしる!熱烈中華フェア
10月:スーパーマリオブラザーズ・ワンダー セブンネット限定特典付き アプリキャンペーン実施中
10月:ふんわり・しっとり おすすめのパンが大集合 Cycle.me新登場
11月:#めちゃハピハロウィン
11月:セブンイレブン50year 熱狂 麺フェス
11月:セブンイレブンアプリでポケモンキャンペーン実施中
11月:選べる美味しささらにひろがる カップデリ 温めておいしいホットカップデリが新登場
11月:セブンイレブンアプリ×乃木坂46 お買い物イベントが抽選で当たる
12月:SEVENTEENとスペシャルスマイルなクリスマスを
1月:セブンイレブンアプリでお買い物回数に応じてクーポンもらえる!最大15枚
1月:THE SEVENSWEETS スイーツできょうもしあわせ
1月:北海道グルメフェア
2月:節分恵方巻 ご予約承り中!
2月:キモチときめく チョコフェア
3月:進化し続けるおいしさ!おにぎり
3月:京の米老舗 八代目儀兵衛監修 こだわり尽くした至高のおむすび

セブンイレブンは、この6か月で店頭幕を16回変えてきました。ローソン10回、ファミリーマート12回、ミニストップ10回です。セブンイレブンの店舗数からすると1回あたりコストは2000万を超えると思いますが、そこを惜しんでいないということですね。
単品訴求よりも、熱烈中華フェア、熱狂麺フェス、北海道グルメフェア、チョコフェアなどずっと継続しているフェア展開が目立ちます。各ジャンルが関わる多商品展開ですので、商品開発部隊もかなり大変だと思います。開発の発想も大変ですが、飲食店コラボ先がある場合の調整なども大変でしょうね。年間計画で動いているのだと思います。
パンの訴求も各社しのぎを削っていますが、セブンイレブンは、Cycle.meという体にいいコンセプトの商品をいろいろなジャンルでオリジナルで展開しようとしています。
おにぎりといえばローソンなのですが、セブンイレブンの京の米老舗八代目儀兵衛監修おにぎりは、かなりの注目を集めています。以前目隠しでおにぎりを食べてもらい、ローソンのおにぎりを食べた人が、「やはりこのセブンのおにぎりの方がおいしい」と言われてしまったことがあります。TVCMの力、そして近年の商品開発のレベル向上によって、印象がアップしているようです。
エンタメコラボは、スーパーマリオブラザーズ、ポケモン、乃木坂46などで、セブンネットやセブンアプリとのタイアップが積極的です。セブンは一度組んだコンテンツは長期的にタイアップしています。クリスマスは、SEVENTEENとコラボ、ずっと続いていたKing & Princeから変更となりました。福田淳さんが改革するSTARTO ENTERTAINMENTとコンビニのこれからはどうなるのでしょうか? ここも注目しましょう。


■ ミニストップ

10月:白いハロハロ
11月:プレミアムショコラソフト
11月:ピスタチオカカオパフェ
12月:クリスマスチキンはミニストップで!!
12月:愛されて20周年 Xフライドポテト ドドンと増量 1.5倍
1月:とよのか練乳パフェ フレンチフライポテト 増量 1.5倍
2月:プレミアムほうじ茶ショコラソフト 鶏肉・ごぼうの香り 九州の味!かしわめし
3月:ミニストップ大感謝祭 愛されて20周年 Xフライドポテト
3月:プレミアムとちあいかソフト
3月:ハロハロ まっちゃ×MATCHA

ミニストップの戦略は変わりません。ピスタチオカカオパフェ、とよのか練乳パフェ、とちあいかソフトなど素材や品種など限定感のあるスイーツ戦略にブレがありません。
年末年始は恒例のポテト増量企画。増量企画は各社に倣うように展開していましたが、店頭幕がXフライドポテト訴求であったため、店内に入って他にもいろいろ増量企画があったことに気づきました。2つののコンテンツを2in1で訴求している省エネ店頭幕が多かったですね。
この半年では、寒い時期にハロハロの新作を出してきた印象はありますが、わりと季節の定番に終始した感じではあります。
街でもほうじ茶を使ったスイーツをよく見かけるようになった気がしますが、ほうじ茶ショコラソフトはいち早く開発してきました。そしてモバイルオーダーに力を入れているようで随所に訴求が入っています。


各社とも一時はファミペイ、ペイペイ、auペイなどとのお得訴求が続いていましたが、この半年を見ると、商品開発競争の感じがします。そして、スイーツ、パンなどの商品推しや、大盛企画など、わりと似通った企画も多かったですね。訴求内容で勝負するか、訴求量で勝負するか、TVの食べ比べに賭けるか、以前よりも近いところでの勝負が見られそうです。味だけでなく、言葉も勝負ですね。

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

関連記事

準備中