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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ファンを知る〜ゼクシィが活用する『花嫁1000人委員会』

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
4回目は、結婚するならゼクシィ…25年も雑誌メディアとして続いているゼクシィのなぜ?に触れてみます。


■ なぜ、結婚することになったら、「ゼクシィを買おう」と思ってしまうのか

実は私事ですが、一昨年54歳にして結婚しました。相方は初婚、「式を挙げましょう」という話になった時の最初の行動は、「書店に行ってゼクシィを買いましょう」でした(笑)。私はリクルートのときにゼクシィのマーケティングも担当していましたから雑誌の内容も結婚式場の情報もよく知っていたのですが、大事なことは役に立つ本であることもそうですが、婚約したらゼクシィを買いたいという気持ちが大きく出ることです。幸せの証明のようなものですね。以前ゼクシィのカスタマーにインタビューしたときも、「婚約するまではゼクシィを書店のカウンターに出すときはうつむき加減に本を差し出す、婚約が決まったら、これくださいっ!という感じでどんと出す」とおっしゃっていました。まずは幸せになったら手に取りたいものというブランドができています。

ゼクシィ編集部は、『花嫁1000人委員会』というモニターを持っています。毎年、入れ替わります。この人たちに、使っているタレント、TVCMの内容、編集記事の内容や広告宣伝の文言などを聞いています。また、彼女たちの生活や気持ちを聞くことにより、『カスタマーを知る』が大変よくできています。
ゼクシィは、創刊から25年を超えている紙メディアですが、情報誌がフリーペーパー・インターネットに主戦場を変える中で、市販の結婚情報誌として圧倒的王者として君臨しています。私が出席した結婚式では、必ず情報源を聞くのですが、個人の体験ですけれどもゼクシィの利用率は100%です。首都圏版はとても厚いですよね。5kg以上あります。お米くらいの重さですが、幸せが待っている方々には重さよりもうれしさを感じるようです。


■ 花嫁の本音を、花嫁本人たちに徹底的に聴く

ゼクシィの販売部数を上げるのには、記事や広告もさることながら、付録が大きく寄与します。
花嫁1000人を熟知するゼクシィ編集部は、付録を広告代理店に考えさせるのではなく、彼女たちから出たヒントをベースに企画し、ステキに作りあげることができる制作会社に依頼します。
若い花嫁たちは、すでに結婚式の前に同棲している方々が多くの比率で存在します。幸せいっぱいの彼女たちは、すでに生活をしていることになります。たとえば新婚前の生活において、市販品のゴム手袋は幸せな気持ちが減退します。ちょっとしたねじを緩めるにも非力な彼女たちはドライバーが使いこなせません。
編集部はそういった彼女たちの不満をステキに変えられないかと考えます。ここから、『花嫁すぎるゴム手袋』『乙女すぎるドライバーセット』という発想が出てきます。純白のドレスに装着してもステキなゴム手袋、花で飾られた貝殻の中に入っている回しやすい形状のドライバーセット。この発想が、インターネット時代であっても紙メディアとしての販売部数ギネスを叩きだします。
もし広告代理店がプレゼンテーションすれば、ステキなブランドと組んでゼクシィのロゴの入ったトートバックなどを提案することでしょう。それでは他の女性誌の付録でもよくてゼクシィならではのものにはなりません。
『花嫁すぎるゴム手袋』は、大ヒットとなりました。蛇足ですが、結婚する予定のない人もステキすぎて買ってしまったようです。まあ、それは効果読者ではないのですが(笑)。
『乙女すぎるドライバーセット』も同様の効果であったと聞きました。付録だけでなく、電車の中吊広告の文字や問いかけが自分たちに向いているかなどについてもたくさんの意見を言ってもらえるようです。


■ カスタマーが幸せになるストーリー、そこから上がる数字が、深く長く愛される商品・サービスを創る

カスタマーを知る、カスタマーに聞く、ことは大変重要です。
「聞きすぎるとよくない」とか、「一部の意見に左右されるから危険だ」ということでやるべきではないという方もいますが、たくさん聞く・聞き続けることによる引き出しから出てくるストーリーは効果が高いですし、ミスがあっても修正が早くできます。
そして、ぴったり合わせるのか、ちょっとずらすのか、先の提案をするのか、というジャンプをじっくりと検討することができます。これは、『誰はなぜ反応するのか』がストーリーになるようなヒアリングができていれば、本当に有効です。

私が講演で呼ばれるところは悩んでいる企業や部署です。わかってます!とみなさんおっしゃりますが、ほぼすべての企業が、「目からうろこが落ちました」という反応になります。
みなさん忙しいです。忙しい企業で組織がうまく機能していないと、人材育成とカスタマーマーケティングが、大事だとわかっているけど後回しになります。

『すべての顧客は』とか『シニアって』とか『20~30代のOLって』と、お金や時間などの物理的な条件や、憧れている・困っている・不安だなどの精神的な条件を考慮することなく打ち手を打ってしまいます。
効果的に施策を行いたいのであれば、打ち手が効果的になり、なおかつボリュームもそこそこあるターゲットをきちんと設定して打ち手を設計していくことが重要です。

アーティストにとっては、ターゲットを選定して説明できることが大事かどうかはわかりません。でも、どんな人の心を揺らしたいか、ファンの人はどんなライブ、どんなグッズ、どんなコミュニケーションが好きなんだろう…それを実現するステキなストーリーとはどんな感じだろうと考えるくせは邪魔にはならないと思います。もし、事務所やスタッフと動いているのであれば、このことを共有することは非常に有意義です。よりたくさんの方の心を揺らします。ぜひ、ステキなストーリーを描いてみてください。

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